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#119 宮沢賢治と大谷翔平(8)

(続き)

宮沢賢治が書いた「農民芸術の興隆」の中にも、「エマーソン」が登場します。

「農民芸術の興隆」の一部を、以下に引用します。

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「芸術はいまわれらを離れ多くはわびしく堕落した

(中略)

  エマーソン 近代の相違と美の源は涸れ 才気 避難所

 ここに我らの不断の浄い創造がある

 (中略)

  →エマーソン 斯ノ如キ人ハ」

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エマーソンが登場するこの部分は、賢治が、戸川秋骨訳の「エマーソン論文集 上巻」を読んで、書いたものと思われます。

また、詩ノートの中の「わたくしの汲み上げるバケツが」で始まる詩の中には、

「zigzag streeter,desert cheerer」

という部分が登場しますが、この「zigzag streeter,〜」という不思議な英語は、エマーソンの詩「THE HUNBLE-BEE」に登場する「zigzag streeter,desert cheerer」から引用されていると思われます。

エマーソンの詩では、蜂が飛び立つ様子が表現されているのに対し、賢治の詩では、蛾が飛び立つ様子として表現されています。

エマーソンの詩が原文のまま引用されているということは、賢治が何らかの方法でエマーソンの原文を知っていたと思われ、日本語の翻訳だけではなく、エマーソンを英語の原文で読んでいた可能性が高いと思われます。

賢治は英語などの外国語が堪能であったと言われ、作品中にもしばしば外国語が登場しますが、作品中の言葉の中には元ネタとなった海外作品がある可能性もあり、その作品がエマーソンであった可能性もあります。

(続く)

2024(令和6)年2月11日(日)

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