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産後0日から働く方法

私が出産前に気になっていたことの一つが「産後いつから働けるのか」という問題だ。なぜなら、産後休みたくないからである。産後すぐから仕事がしたいからである。

法律上は最短でいつから働けるか

結論、会社員など組織に属して働いている場合、産後6週間から働くことができ、それ以外の会社経営者、個人事業主やフリーランスなどで働いている場合は産後0日から働くことができる。

日本では、労働基準法第65条により、出産予定日を基準に、産前6週間(多胎妊娠は14週間)と産後8週間は休業することができ、休業の請求をしたにもかかわらず、使用者が就業させると同法違反となり、処罰の対象となる。

産後6週間を経過した女性が就業を請求した場合、医師の許可があれば仕事を再開することができる。ただし、産後6週間は、当該女性の請求と否とにかかわらず、休ませなければいけないということになっている。

正直これを知ったとき、私は疑問に思った。私は働きたいのに、いつまで休んで、いつから働くか、なぜ他人に決められないといけないのか。「出産は病気ではないので」出産に関する医療費は自己負担なのに、産後働けるかどうかは医師の診断が必要だというのはダブルスタンダードではないかと思う。

以上のことから、私の場合は、個人事業主として受けている仕事は産後0日から、大学教員の仕事は産後6週間後からが最短の復帰日となった。


体調面は最短でいつから働けるか

結論、産後0日から働くことができる。体調面で最も負担が少なく、回復が早いのは無痛分娩による経腟分娩だと思う。私もこの方法で出産を経験した。以下に私の場合の体調面の回復度合いを記載する。

出産したのが朝の10時頃で、そこから1時間は分娩室で横になったまま出血観察をし、車イスで個室に戻る。個室に戻った時点から、スマホでのメールやビジネスチャットのチェックと返信、電話での指示出しなど、寝た状態でできる仕事が可能になった。貧血で立ち上がることができなかったため、移動はできない。座ることは可能だが、初産婦は多くの場合、会陰切開(赤ちゃんを出やすくするために分娩台で会陰部を産婦人科医がはさみで2~3cm切り広げる)を行うので、産後しばらくは会陰切開の傷が痛く、普通に座るとかなり痛かった。円座クッションを病院が用意してくれるので、円座クッションを使うと座ることができるが、一度に15分くらいが限界だった。それ以上座っていると円座クッションを使っていても痛みを感じてきた。15分程度で行うことのできるPC作業であれば可能になる。産後1日目になると、貧血はかなりましになり、立ち上がって病院内のコンビニまで歩けるようになった。産後4日目には会陰切開の傷の痛みもかなり引き、円座クッションがあれば通常通り何時間でも座れるようになった。この頃から、PC作業も産前と変わらず可能になった。

ただし、上記の内容は30代前半で、問題なく出産を終えた場合なので、高齢出産の場合、無痛分娩ができなかった場合、吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開の場合などは回復にさらに時間を要する可能性がある。

また、体調が回復しても、産後の入院中は毎日、授乳指導や沐浴指導などの指導プログラムのようなものがあり、母子別室の病院を選択したとしても、母子同室の時間もあるため、結構時間を取られる。また、医師や看護師が頻繁に部屋を出入りするため、Zoomでの会議などはやりにくいと思う(社内の小規模なミーティングなど、事情を理解していて気にしない相手であれば可能だが)。基本的には入院中は、前半はスマホでの作業のみ、後半はスマホでの作業+PCでの作業のみで、オンラインでの会議や直接会っての打ち合わせ等は自宅に戻ってからというのが現実的かと思う。


会社や関係者に事前に伝えるべき内容

会社経営者、個人事業主やフリーランスなどで産後すぐの仕事復帰を希望されている方が、会社や仕事の関係者に事前に知らせておくべき内容は以下の4点である。

①入院、出産、退院の予定日
②最短でいつから復帰できるか
③最長でいつまで休むか
④スマホでの連絡は入院中でも取れること

私の場合は予定日前日に入院、出産後5日目に退院となっていた。例えば、4月2日に出産予定の場合、4月1日に入院し、4月2日に出産、4月7日に退院となる。

以下に私が連絡した内容を記載するので、必要に応じてコピペして編集の上、ご使用されたい。

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出産のおおよそのスケジュールが決まり、予定ではX月X日入院、X月X日出産、X月X日午前に退院予定になりました。入院より前にお産が始まる可能性が約20~30%ありますので、早まる可能性はありますが、無事計画通りX日に入院できた場合はX日当日にご連絡いたしますので、そこから1週間お休みをいただきます。

また、無痛分娩の副作用としてかなり低い確率ではありますが、脊髄液の漏れによる頭痛で最長2週間ほど起き上がれない可能性があるので、その場合は2週間お休みをいただきます。基本的には最長でも2週間で復帰する予定です。

無痛分娩の場合、回復が早い人もいるようなので、体調に問題がなさそうであれば1週間のお休みは不要となり、最短では産後0日から復帰する予定です。

なお、メールやSlack、Chatwork、Teamsでのご連絡はいつでもいただいて構いません。また、緊急の場合はご遠慮なくお電話ください。どちらも可能な範囲で対応させていただきます。
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以上、産後すぐの仕事復帰を希望される方の参考になればと思う。なお、私は仕事がしたいからしているのであって、休みたい方はぜひ休まれたら良いと思う。産後は無理しないことが肝心だ。

ちなみに私は産後0日から普通に仕事していたら関係者からはドン引きされた。こちらとしては、貧血で歩けないし、会陰切開が痛くて座れないから、スマホで仕事するくらいしかすることがなかったのだが、多くの方は休まれているようだ。

その他の注意点

多くの女性は産後8週間は産休を取っており、これが「当たり前」とされているため、それよりも早く仕事復帰すると弊害が生じることがある。

まず、出産した病院では母親の産後1ヶ月検診と、赤ちゃんの1ヶ月検診の予約を取ることになっているが、入院中に病院側で勝手に予約がしてあり、「この日のこの時間ですよ」と言われた。「その日は仕事なんですが」と言うと「えっ、もうお仕事されるんですか?」と驚かれた。産後すぐの仕事再開を希望される方は、あらかじめ「自分は産後すぐから仕事を再開するので、検診の予約を取る際は事前に日付を相談したい」旨を伝えておくと良いと思う。

また、「すくすく赤ちゃん訪問」(赤ちゃんが生まれた全ての家庭に保健センターの訪問指導員が訪問して健康チェックや育児相談にのる)のための電話がかかってきた際にも「明日か明後日はどうですか?」と聞かれたので、「仕事の予定を確認するので折り返しても良いですか」と言うと、「えっ、もうお仕事されているんですか?」と驚かれた。こちらも、あらかじめ退院後の1週間以内に自宅で対応できる日を設けておくと良いと思う。

大前提として、多くの女性がその時期働いておらず、私が例外的な立場であることはわかっている。しかし、働いていなかったとしても、普通の人間には色々予定があると思う。特に妊娠中は行動が制限されており、できないことや行けない場所、会えない人などたくさんいると思うから、産後にそのような予定を入れていてもおかしくない。それなのに、「産後の母親は当然全ての日程が空いているものだ」という前提になっていることに私は違和感を感じた。

退院後に仕事を続けるには

入院中は母子別室の病院であれば赤ちゃんを預かってもらえると思うが、退院後は仕事をするのであればその間赤ちゃんを預かってもらう必要がある。新生児はほとんど24時間泣いているので、新生児の面倒を見ながら仕事をするとか、昼は仕事をして夜は新生児の面倒を見る、ということは現実的ではない。産後もこれまで通り昼は働き、夜は仕事に備えてしっかり睡眠を取りたいという方は、なるべく早く良いシッターさんを見つける努力をする必要があるだろう。


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