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自分の学び方を振り返る

私は授業で,その授業で学ぶことになっていることを学ぶだけでなく,学び方自体を学んでもらいたいと思っています。その授業で学んだ知識がその後の人生で役立つことはめったにないと思いますが,学び方を学んでおけば,あとは学びたいことを自分でどんどん学んでもらえるからです。

学び方を学ぶような授業としては,たとえば初年次生向けのスタディスキルのような授業がありますが,学び方を学ぶことがメインの目的ではない授業でも,学び方を学んでもらえるといいなと思っています。

例えば,私は科学技術史の授業をしていますが,そこで歴史の学び方も学んでもらえるとうれしいと思っています。歴史を学ぶことは,それを専門としない人にとっても意味のあることだと思うからです。特に,高校までの歴史の授業で歴史を学ぶことが嫌いになってしまった人には,歴史を学ぶことは楽しいことなのだということをまずは感じてもらいたいと思っています。


さて,私は最近,来年度の授業をどうしようかと考え始めました。

そのために,次の二つのことを学ぶ必要が出てきました。

  1. 学生も教員もやりがいを感じることができる授業のやり方

  2. 「科学と技術の社会史」の教材となる幕末・維新期の科学史・技術史の興味深いテーマやトピック(人物・出来事)

そこでまず私がやり始めたのは,それぞれ次のことです。

  1. 新しい教育方法論を学ぶために,齋藤孝氏の著作を読む。

  2. これまで録画しておいたテレビ番組の中で,幕末・維新期を扱った歴史番組をリストアップし,順に見ていく。

ここに私の学び方が現れています。少し抽象度を上げれば,次のように言えるでしょうか。

  1. これまで読んだ本の中で,自分が学びたいことを書いている著者のうち,自分が一番共感できる著者を選んで,関連図書を読む

  2. 授業で扱うトピックは,それに関連するテレビ番組を観て情報を得,選択する

これらの学び方ができるためには,普段から幅広く読書をしておくことが必要ですし,授業で扱うことがあるかもしれないテーマについてこまめに録画し,しかもその番組情報をデータベースに入力しておく必要があります。ですので,万人向けではないかもしれません。

しかし,学びたいことを本を読んで学んだり,テレビ番組を観て学ぶということは誰にでもできることですし,特別な学び方でもありません。普段から,そうした学びをしていることが重要なのだと思います。大学で授業を受ける際にも,単に教室に来て教員の話を聴くだけでなく,関連して自分で本やテレビから情報を得て学んでほしいと思っています。