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物語は変わってもいい

史実にもとづいた話でなければ、おとぎ話や絵本の名作も少しずつ、その時代のこどものために物語は変わってもいい。

『説教したがる男たち』で男性のする無意識な上から目線の物言いを痛烈に批判したレベッカ・ソルニットは新しいシンデレラを描く。そこにはシンデレラが選ぶ自由があり、王子様に選ばれなければ幸せになれないわけではない、べつのあったかもしれない選択肢を示している。

べつにジェンダーに限ったことではない。ちびまる子ちゃんもドラえもんも、昔比べてずいぶんまあるくなった。物語はときどき残酷で差別的だ。無邪気だから、そうなってしまう。カチカチ山もさるかに合戦も、なかなかに辛い復讐譚だ。

毒をすべて抜く必要はない、毒には面白さをもたらすスパイスのような役割もある。けれど毒をそのまま受け入れて、こういうものだと慣れてしまうことは怖い。あまりにも自然にそれらが溶け込んでいると、毒に気づかないまま、偏った見方に毒されていることもある。

物語は、伝えていく過程でどんどん変わっていく。伝承とともに古い価値観は置き変わられ、過程も結末もいくつものパターンができ上がる。地域、時代、それぞれ、少しずつアレンジされた物語が見つけられる。

物語は変えてもいいし、変わっていく。新しく生まれる次の世代に語り継ぐなかで、少しずつ、その時代の空気や匂いを取り込みながら。


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