シシカ

こんにちは。シシカです。会って話すほどでもないことを。

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最近の記事

文庫本の解説の

文庫本には、解説文がついている。 例えば、古い作品の解説では作者の人生や時代背景について書かれていて、海外文学であれば社会背景・文化背景について説明されている。その中には、授業で聞いたようなものもあれば、全く知らないこともある。 また、何度も同じ作者の解説を読んでいると、その作者の人生を繰り返しなぞることになるし、特定の場所・時代・テーマの作品を繰り返し読んでいると、その分野に少しずつ詳しくなる。すぐに忘れてしまうこともあるけれど、また思い出す。 あるいは、この箇所はこ

    • 早起きゼミ(蝉)

      朝、五時前に目が覚めた。 いつもなら、時計を見て落胆し、二度寝をしているところだが、今日は少し元気があったので、そのまま起きてみた。 いまさら夏の早朝の明るさには驚かなかったが、毛布の中でごろごろとしていると、窓の外から音が聞こえた。 シウシウシウ シウシウシウシウ 蝉だった。 もう?と思うと同時に、それまでものすごく静かだったことに気づく。五時半だった。 そういえば、蝉って日中しか鳴かないな。 調べると、蝉の種類によって、鳴く時間帯は異なるらしかった。特定の時

      • テレビと世と、時間と

        『〇〇をもう一度見るなら〜』というTVerの案内。 番組の途中で流れるから、冒頭を見逃した人のことも、単にもう一度見たい人のことも、自然に呼び込めるのかもしれない。 しかし、私としては、テレビを付けてすぐにこの案内が流れると、なんだか寂しい気持ちになる。 番組終了直前でなくとも、もう結構番組は進んでいるのだ、終わりに近づいているのだ、というような感覚になる。 番組表を見て、短いニュース番組やスポーツ番組ばかりになるときも寂しい。 集中してテレビを見ているわけでも、何

        • 昼夜逆転のわけを考える〈後編・夜〉

          昼夜逆転しがちな私が、「習慣化しているから」以外の理由を探る。 朝の目覚めの怠惰と憂鬱、夜の憂鬱に別れを告げたい。いつかは。 前編のリンク(こちらもnoteです。) その2.夜眠れないのはなぜか朝起きられない理由と同様、夜眠れない理由についても同様に考えていきたい。今のところ思いつくのはこのようなもの。 ①日中体力的に疲れていないため。 ②ネガティブな考え事をしてしまうため。 ③その一日に満足していないため。 ④みんなが寝静まった時間に活動しているとお得な感じがするため

        文庫本の解説の

          昼夜逆転のわけを考える〈前編・朝〉

          昼夜逆転が治らない。 夜は寝られないし、朝は起きられない。 身体もしんどいので、やめたいと思うことも多い。ただ、一度定着した習慣はなかなか変えることができず、少しずつ起床時間を早めていくぐらいしか矯正方法はないのかもしれない。 しかし、昼夜逆転が治らないのは、単にクセ付いているからという理由だけではない。そこで、今回は他の考えられる要因を探ってみようと思う。 現状日中に疲れるような活動をしても、夜更かしできてしまったり、夜は早く眠れても、朝はなかなか起きられない。 用

          昼夜逆転のわけを考える〈前編・朝〉

          本屋の空気

          本が整然と並ぶ棚は、心を落ち着かせてくれる。 大量の本が並ぶ空間には、人間の脆弱なところを包むような、純粋な知的好奇心を守ってくれるような、そんな安心感がある。 どれだけわけのわからないことが起きたり、自分が失われそうな感情が生まれたりしたとしても、きちんと人間であることを肯定してくれる気がするのだ。 時間をつぶすのに困れば、外の空気を吸うか、本屋に駆け込む。 本屋なら、店内の客が、それぞれの世界に没頭しているのも良い。同じ空間にいながら、個別の世界が保証されているよ

          本屋の空気

          逃避的自責にさようなら

          他人のせいにしてはならない。 他人は変えようとしてはならない。 原因は常に自分にある。 だから、何かあれば自分が悪い。 そうしていつも、自分を責め立てていた。 他人を責めてから取り返しが付かなくなったり、 後で自分も悪かったと気づいたりすることを恐れていたのかもしれない。 だって、そういうのは恥ずかしいから。 他の人を責めないから攻撃的に見えないし、 自分を下げるのは謙虚そうで見栄えが良い。 しかし、これはあんまり健全なやり方ではないなと、あるいはこれらの言葉を誤って

          逃避的自責にさようなら

          夜のチャイティー

          家にある一番小さな鍋で湯を沸かす。 100ミリを計って投入した水は、意外と少なく感じる。 今晩は、久々にチャイティーを湧かしていた。 キッチンの棚の中から箱を取り出す。友達のインド土産でもらった茶葉の箱には、大きなタージ・マハルの写真。 裏にはチャイティーの作り方が書いてある。お土産にもらったものだからすぐに飲んでしまうのは勿体ないと、たまにしか飲まないためにすぐに作り方を忘れる私でも、これを読めばちゃんと作ることができる。 「製造から1年以内に飲むことをおすすめしま

          夜のチャイティー

          冷めていくアイディア

          アイディアが浮かばない。 なにかを読んだり観たりするのは好きな一方で、自分で新しいものを生み出す体験をできていないのも、そもそものネタが無いことから始まる。 授業の作文にしろ描画にしろ、対象を何にするか、というところで一番時間を使うタイプの学生だった。夏休みの終わりにひねり出したつまらないテーマで、1日で仕上げて提出するというパターン。 技術があるわけでもないので、完成品も見返す気の起こらないような内容でになってしまう。先生もあまりじっくり読まないでくれ、真剣に見ないで

          冷めていくアイディア

          他人が求めるものって…?ドラマ『今夜すき焼きだよ』を見て

          久々に開いたNetflixで、とあるドラマ作品にハマった。 『今夜すき焼きだよ』。癒やされるというか、元気をもらえるというか、なんだか前向きになれる作品である。 作中には、タイトルから推する通り、食事に関するシーンがたくさん出てくる。しかし、同ジャンルの多くの作品がそうであるように、食べ物ばかりについて描かれているのではない。 ある人間がこれから生きていく上で直面する可能性のある、あるいはこれまで生きてきた中で直面したことのあるモヤモヤについても描かれる。それも、劇的す

          他人が求めるものって…?ドラマ『今夜すき焼きだよ』を見て

          何が欲しいの

          人生で成し遂げたいこと。 人生で手に入れたいもの。 やってみたいこと。 「ウィッシュリスト」と書いてから、ペンが動かない。すぐにページを破って、メモ用紙になる。いざ書こうとすると、何も思いつかない。もう一度PCで打ち込もうとしても同じ。題名だけ打ち込まれて、改行したところでカーソルが点滅している。 なんとかひねり出そうとするときも、他人事のような感覚でリストインしてしまい、ときめきとはほど遠い。すると当然、それを見返すこともない。私の望みとは何なのだろうか。 例えば、仕

          何が欲しいの

          スマホ依存かしら

          気持ちが落ち着かないと、スマホを見てしまう。 少し前は、スマホ依存というとSNS依存と結びつけられるのをよく見かけたが、それとは少し異なる。友人からのメッセージの有無が気になるとか、他の人が何をしているかが気になるとか、そういうのではなかった。例えばインスタグラムを初めてからは9年弱が経つが、アプリの起動時間は1日あたり2分ほどである。 代わりに多いのは、YouTubeの閲覧時間である。スクリーンタイムを見るのが恐ろしいぐらい、何時間もアプリを起動している。 興味のある

          スマホ依存かしら

          2023年の終わり方

          2023年が終わる。これまでの年と同じように。 昔は一年が終わるとき、周りが「早い」と言っていても、まぁこんなもんかぁ、ぐらいの感覚でいた。それが、ここ数年はあっという間に時間が過ぎていく。学生の終わりが近づくにつれて、自分の道筋を決められないことに焦るにつれて、その感覚は強くなっていた。 今年も。ただ、今年はいつもとは違う感じがあった。特に夏以降は記憶がぐちゃぐちゃというか、記憶があるようで無いような期間だった。 それは、嫌で仕方の無かった就職活動を急に始めたり、勢い

          2023年の終わり方

          金曜の夜、映画の帰り

          繁華街の隅、歓楽街からの空気が流れ始めるのを感じながら、私は駅に向かった。商業施設の光とクリスマスに向けて設置されているイルミネーションが、雨上がりの黒々としたアスファルトや、待ち合わせをする人々の顔を照らしていた。浅い呼吸で、現実世界の冷たい夜に突っ込む。 喉の下がぐつぐつしていた。外の情報も捕らえながら、自分のゾーンにも深く入り込んでいるときの感覚。今回は、ちょうど映画『ゴジラ-1.0』を観て帰るところだった。 音楽コンサートへ行ったとき、美術館へ行ったとき、歴史の教

          金曜の夜、映画の帰り

          立ち食いそば

          駅構内の立ち食いそばの店が目に入る。 表の食券機は光っており、のれんの下からはスーツを着た脚が覗いている。 だいたいいつも、2~3人分の脚。 そこを通るときには、早く帰りたいという気持ちが大きいこともあって、何回通っても、入店しようと思ったことはなかった。 そもそも私には一人でごはん屋さんに入る習慣が無かったし、「立ち食い」や「駅構内での食事」ということにも全く馴染みがなかった。 そんな理由で、いつか行ってみたいなぁと思いながらも眺め通るのがお決まりなのだが、最近そ

          立ち食いそば

          昼下がりのオフィス街

          オフィス街の昼間が苦手だ。 特に古くからあるようなオフィス街が。 いろんな人が出入りするような商業施設や観光客もいるような場所ではなく、灰色のオフィスビルがずらりと並ぶ場所。 人がぞろぞろと歩いているのは通勤と帰宅のある朝と夜だけだ。それも大量の人間が皆黙って仕事場へ向かい、帰りも黙ったまま地下に吸い込まれる。 仕事をするために人が閉じ込められる地区。近くにあるコンビニやレストランでさえ、共犯者に見えてしまう。 人間を働かせるための装置。そのエリアから出さないための装

          昼下がりのオフィス街