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ペットというカテゴリーとは

実家に愛猫がいる。
十数年の付き合いだ。
彼女の方が、もうおばあさん。
そろそろ覚悟を決めないといけない時期に入っていた。

彼女の体調が良くないのは母からちょくちょく聞いていた。
そしてそのことで酷く母が落ち込んでおり、気に病んでいたことも感じていた。

ある日突然父からのメール。
「彼女(猫)が、ずっとご飯を食べていない。もしかしたら、帰ってきてもらった方がいいかも。。。」

ついに来たか。。

父から彼女の話が出るのは珍しいので、よほどの異常を感じたのだろう。
私は看取る覚悟はないものの、そのつもりで、帰省の準備を始めた。
実家に帰るには新幹線と電車で約3時間。
私は会社員を辞めてフリーで在宅ワークをしていたので、時間や場所には囚われない。
と言ったらかなりクールだけれど、遠からずとも当たらずで、そういうわけにはいかないこともある。

仕事をしている仲間には、「家族の看病をしている母が体調を崩してしまい、実家にかけつける。パソコンは持っていくし電話も出られるけど、そんな事情で申し訳ない。」といった感じでふんわり連絡した。
仕事を休むとは言っていないので、これくらいでいいだろうと思った。
母が体調を崩しているとは言い切れず(嘘ではないけれど)、でも「猫」の看病をしているとは、言い出せなかった。。

同じく猫を飼っている同僚には、彼女の話をよくしていたので、今回の件も、ありのままを伝えると、すんなり受け入れてくれた。
帰れるなら、帰った方がいいと理解を示してくれた。
私も、この人ならきっと理解してくれるだろうと思ったから伝えた。
誰もダメとは言わないだろうけど、ペットの具合が悪い、最期かもしれないといって、どれだけの人間が理解を示してくれるか、というところに自信がなかった

🐈

私は一人っ子で、10代の時に彼女を家に迎えた。
とってもクールで穏やかな彼女は、大事な家族の一員であり、友や姉妹のように遊び、時には私の方がすっかり下僕で(笑)
正直、遠い血縁者より大事な大事な存在である。
ペットだと言えばそうなるが、ペットでは済まされない存在なのだ。
彼女は確かに私の苦楽に寄り添ってくれて、誰よりも私を受け入れてくれた。

各会社の制度で「忌引き」があると思うけれど、例えば○親等以内だと○日…というようにお休みをもらえる日数に規定があるはずだ。
じゃあペットは?
じゃあ結婚を考えている恋人だったら?
じゃあ親より大事な友人だったら?
大嫌いな毒親だったら?
ずっといじめられてきた継母だったら?

血のつながりよりも大切な関係が、世の中にはあって、定義だけでは説明しきれない関係が世の中には溢れていると思う。

夫婦においても、元は赤の他人。
でも紙切れ一枚でつながって、不明確な「血縁者」の輪が広がっていく。

🐈

なんて息苦しい世の中だと憤り、彼女が「ペット」であることでしか世の中には認められないということに苦しんだ。
しかし、、本当は正直に話すべきではなかったのだろうか。


大事な猫がいる。家族の一員なんだ。
どうしてもお見送りしてあげたい。

彼女のためにも、もっと声を上げるべきだったのでは。
彼女を「ペット」にしたのは私自身なのではないかと。

彼女を家族の一員だと当たり前のように思う感覚を、ペットを飼ったことがない人には特に、理解できないと思う人もいるだろう。
常識、固定概念、は無意識的で潜在的なものが多い。
実はこのつながりで、ジェンダーの話まで広がるのだけど、それはまた今度。

そして彼女🐈はというと、私が帰省したおかげで(?笑)ご飯もよく食べるようになって元気に回復した。
もちろんおばあさんだから、不安定ではあるけど。。

覚悟は日々決めている。いつ突然その時が来るかわからない。
でも別に彼女に限ったことではない。
ただ、できることは尽くしたい。大切な大切な家族のために。



*素敵なお写真を拝借しました。ありがとうございます。

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