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本からもらうもの。「猫を処方いたします。2」より。

こんにちは!tamasiroです。

猫の好きなところ。
好きなことは好き、嫌いなことは嫌い、とはっきりしているところ。
自由にしているようで、周りをよく見ているところ。
愛情深く優しいところ。
仕草が愛らしいところ。
液体にたとえられるほどの体の柔らかさが面白いところ。
おひさまのにおいがするところ。
あとは・・・まあ、個性はありますが色々です。
止まらなくなってしまうので、ここまでで自粛したいと思います。

著者様は 石田 祥 さんです。
発行はPHP研究所。PHP文芸文庫です。
装丁 岡本 歌織 さん。
装画 霜田 有沙 さん。
前作「猫を処方いたします。」は第11回京都本大賞を受賞されています。

前作ではジャケ買いする方もいらっしゃるという話題もありました。
今回の表紙も素敵です!
もうね、キュンなんです。今回特に印象に残ったのは猫の瞳です。
書店の平積みコーナーで目が合いまして。
目が合ったと思っている時点で、心をつかまれてますよね。
何しろ相手は紙の中なので。

舞台は京都。“中京こころのびょういん”です。
軽いノリのニケ先生と美人で不愛想な看護師千歳さんが迎えるのは、悩みを抱えた4人の患者。
症状改善のために処方されるのは「猫」です。
注射でも漢方でもありません。処方猫が症状を改善してくれます。
彼氏との関係に悩む女子大生、連れ添った妻に先立たれた老人、家族への思いに悩む妹と愛猫への思いに悩む保護猫センターで働く兄。
軽い話題で友人に話すこともあれば、あえて人に話すには抵抗がある悩み。
そんな日常的な悩みばかりです。
全4話構成。患者たちの症状が改善していく行程と“中京こころのびょういん”とニケ先生と千歳さんの秘密。
そして今巻は、ニケ先生が要です。
全体的に1巻よりも、猫成分がアップしています。
遠慮がちだったり、キュートだったり、やんちゃだったり、可愛さを再認識です。
くれぐれも猫成分の「効きすぎには注意してくださいね」

ニケ先生と千歳さんの言葉が、読んでいる私に直接語り掛けてくれているような不思議な感覚。
飾り気のない言葉のひとつひとつが、とても優しく感じられました。
お世辞やご機嫌をうかがうような言葉ではなく、ストレートな表現です。
そこに悪意は全く感じられず、引き込まれます。
現実的なことを言ってしまうと人間関係の中には、よほど親しい間柄でないと駆け引きは切り離せない部分でもあります。
相手との円滑な関係を築くためにやむを得ない事ですが、こんな風に直球で向かい合ってくれる相手が身近にいたら、信頼を寄せてしまうだろうなと思います。
でも初対面でグイグイ来られたら、脱兎のごとく逃げ出してしまいますが。

全4話の中、胸に深く残ったお話しが、保護猫センターで働くお兄さんです。
飼育数が増えるペットに比例する、保護猫の頭数。
人に幸せになる権利があるように、ペットにも幸せになる権利があります。
人とペットの幸せな関係が途切れないことを、願ってやみません。


数年前、わたしは飼い猫を看取りました。
猫に多い腎臓疾患です。
闘病と徐々に弱っていく姿に、自分の無力を実感しました。
いつもそばにいてくれたこの子にわたしがしてあげられる事は、ただそばにいて撫でてあげることしかできない。
苦しさを少しでも取り除いてあげられたらいいのに。
少しでも苦痛から逃れてほしくて、動物病院に通い、治療に怯える姿に自分のしていることは本当にこの子のためにしているのか、自己満足のためではないのかと考えてしまうことも。
ある日、何となくどうしても会社に出社してはいけないような気がして、急遽お休みをいただきました。
同僚に申し訳ない気持ちがあったものの、そうしなければならない気持ちの方がなぜか強かった日です。
歩くこともままならなくなってしまった姿。
いつも静かに寄り添ってくれた、優しい子に心配をかけたくなくて、どんなに悲しくても涙を流すことはしないようにしようと決めていました。
この日、ずっと恐れていたお別れの日。
お別れの瞬間、とてもきれいな声を聴かせてくれました。
わたしと一緒にいてくれてありがとう。
今思うのは、そんな感謝です。

悲しい別れに立ち直ることができなかったけれど、猫を保護したことで回復への足掛かりをもらいました。

一生懸命に生きようとしている姿、逃げずに立ち向かう強さ。
まだ家族にお迎えする覚悟ができていなかったので、方々探して新しいおうちにお迎えしていただきました。
徐々に、絶望感から楽しい思い出を思い出すことが増していき、今では感謝ばかりです。
この時の出会いは、まさに「処方猫」でした。

動物を家族にお迎えすると、悲しいことから逃れることはできません。
しかし楽しい思い出をたくさん作ることで、悲しさは凌駕するのかもしれません。
犬でも猫でも鳥でも、トカゲでも亀でも、一緒にいられる時間は限られています。
またいつか、お迎えすることがあるならば、共に歩む時間を大切にしたいと思います。


1巻発売後、続刊を待望していました。
こうして手に取ることができて感激です。

この度、念願の『猫を処方いたします。2』を処方していただくことができました。
また明日からも、頑張ろう!


最後までお読みいただきありがとうございました。
今日が素敵な一日となりますように😊

『猫を処方いたします。』の感想です。
よろしかったら、どうぞ。


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