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本からもらうもの。「徳川家康の人間関係学」より

こんにちは!tamasiroです。
日本史史上で指折りの人気を誇る、戦国時代に名を馳せた三人の武将がいます。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。
三人は生き様などから、対比されることも多く、エンターテインメントの世界でも題材にされることが多い事から、日本史を語る上で欠かせない存在となっています。
個人的には仕事で初対面の方々と話題がない時などに、三人の話題から人となりがわかるようなお話しに結び付く事があり、知識としてとても重宝しました。
今回ご紹介します「徳川家康の人間関係学」は、歴史好きの私がぜひ読みたいと思っていた本です。

こちらの著者様は 童門 冬二 さんです。
発行はプレジデント社。
著者様は数々の歴史関係の本を手掛けていらっしゃいますので、多くの方がご存じであろうと思われます。
他雑誌や書籍の内容の一部を加筆・修正したものです。

こちらの内容は物語ではありません。
「徳川家康」という人が、徳川三百年と言われる幕府を確立させるまで、どのような生い立ちで人々と関わり、何を見て感じてきたのか。
取り巻く境遇から何を得、どのように行動してきたのかを所々に物語形式を採用しながら解説しています。
「徳川家康」とありますが、関わりのあった敵対者視点もあります。
したがって善悪に分けるための解説ではありません。
着目しているのは、「徳川家康」のマネジメントや人間観察や組織運営、欠点を補うための人選などです。
現代の会社組織に通じる組織の構成、人心掌握法や駆け引きが、題名になっている「人間関係学」として解説されています。
これらを習得するために、恵まれない苦境に立たされ続けた幼少期から何を学び続けてきたのか。

「徳川家康」という人は日本史上の結果だけを見てしまうと「成功者」です。
しかしながら、解説を読んでいると、大きな失敗も度々あります。
戦国時代は少しの判断ミスが、命の有無に直結してしまう、現在と比較すると恐ろしくハードな世界です。
上司の判断は絶対、裏切りも日常茶飯事。
誰よりも命の危険にさらされ続けた「徳川家康」が苦難の中、天寿を全うするまで長生きするとは当時思われていなかったのではないでしょうか。
境遇と巡り合う人々から余さず学び、観察し、分析し、さらに『朱子学(儒教の学問体系の一派)』や『貞観政要じょうがんせいよう(貞観時代の政治関係者の言行録)』『六韜三略りくとうさんりゃく(兵法)』を率先して学ぶことで生き残るための学問にも精通していきます。
これらから「忍耐」というよりは「冷静」や「理性的」「勤勉」という言葉がしっくりくるような気がします。

誰もが命をはかなく散らすことのないように、世を平らかするという願いには執念を感じます。
時には卑怯さや狡猾さを発揮することもいとわないというのは、時代背景もあると思いますが人により好き好き別れると思います。

「徳川家康」という人は、どちらかというとネガティブな人だったのではと思う場面があります。
そのため慎重さであったり、疑り深さ、勤勉さが培われたのかもしれません。
「織田信長」「豊臣秀吉」から引き継いだ、国土を治めるという目的のための「徳川幕府の創業」。
それまでの国内政治の舞台で前例がないほどに練られた組織としての緻密さが、組織を長く維持できた理由です。
ひと時も油断ならない危うい時代を生き抜いてきた経験からの切実な願いを、自らの手で安定させるのは相当の気力が必要であるはずです。
願いは天下の太平という清らかで高尚なものであったとしても、決して清らかなままでは結実しない泥臭さを感じます。
この本は「徳川家康」を正当化するための内容ではありません。
むしろ善悪をないまぜにした人間臭さとあがく泥臭さがとても魅力的な「徳川家康」です。


現代社会においても、マネジメント力の向上や積極的なリスキリングで自分をバージョンアップし、個人の幸福の追求だけではない広い視野が必要なのかもしれないと思わされました。

最後までお読みいただきありがとうございました。
今日が素敵な一日となりますように😊

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