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(情報系学生向け)本当にそんな就職活動で大丈夫?

初めに

コロナ禍で新卒の就職活動や転職活動のオンライン活動が進む中、
特に、新卒学生は業界研究であったり、企業の深堀りに苦労しているかも知れない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64236070V20C20A9000000/
新卒の学生、特に情報系の学生はどのような軸を持って就職活動をしているだろうか。
情報系出身だからと、何も考えず Web 企業や SIer だけを見ていないだろうか。
新社会人になったあなたが人生をかけて達成したい目標とそのプロセスはなにか考えてみただろうか。

・お金が欲しい
・技術力を活かしたい
・WLB を考えて、自分の時間を大切にしたい

それぞれが漠然と自分の軸を持っていると思うが、私には当然答えは出せない。ただ、私の失敗談を話すことでそれらを深堀りするキッカケになればと思い、この記事を書いている。

軸のない就活例

私は理系の情報系修士卒で、当時の就活のことを振り返ってみるとそれなりに頑張っていると思っていた、当時にしては。
経団連による就活スケジュール変更前だった大学3年生のときは、大手 SIer のサマーインターンに参加し、スケジュール変更後の修士1年のときにも、別の大手 SIer やコンサルティングファームのサマーインターンに参加していた。
内定もかなりもらった。自慢になるが1社も落ちなかった。
その後、紆余曲折があり、1社目には大手の Web 企業へ就職した。
今思うと Web 企業や SIer, コンサルティングファームの業界研究しかしなかった。
これが間違いだったように思う。
本当であれば、企業の業界研究などをする前に自分自身の人生設計をしてみるべきだった。

・社会人になってからの人生の目的はなにか
・1ヶ月でどれくらい働けるか、そしてその根拠は
・仕事を大切にするか、自分の時間を大切にするか
・お金は初年度、5年後、10年後でどれくらい必要か
・仕事において優先する5つ程度の要素はなにか

そして、業界研究も全く足りなかった。上であげた3業界に関しては足りていたが、他の業界は全く考慮していなかった。
今となっては不思議で仕方がないが、なぜか他の業界を見ようともしなかった。完全にただのバカである。
研究で忙しかったというのもあるが、ただの言い訳にしかならない。
釈迦に説法かもしれないが、ぜひよく考えてほしいと思う。

1社目:大手 Web 企業

大手 Web 企業でビッグデータのプラットフォーム開発をしていた。
正直な話、私は学生時代からプレゼン力やコミュニケーションスキルで売っていたタイプだったので、スクラッチで簡単な Web アプリケーションを作れる程度しか技術力がなかったが、学生時代にしていた IT ベンチャーでのバイト経験が功を奏し、割と上から数えたほうが早かった。
チームや仲間にも恵まれた非常にいい会社だったが、1年半程で転職することにした。
理由は主として賃金面だったが、下流業務が多くあまり楽しくなかった。今思えば、Web 企業だから下流業務が多くなるのは当たり前だし、経験年数に応じて上流業務へもチャレンジできたはずだが、率直に言って考えが足りなかった。
賃金面は今だから分かるが、情報系に限って話せば、一般的に事業会社は IT ベンダーに比べて給料が伸びづらい。というか IT ベンダーが高いから相対的に低く見える。
この会社に関しては就活時から給料が伸びづらいというのは聞いていたが、自信家だった私は「まぁ、結果を出せば伸びるでしょ。」とか甘い考えを持っていたせいで、見事に失敗した。
学部生の頃から奨学金を借りていた私は人一倍給料に対するこだわりが強かったので、かなり焦った。
この焦りから判断を早めすぎて転職をした。
雰囲気としてはかなりいい会社だったので、5年くらい薄給には我慢をして勤続するべきだったと思う。
よく考えてみると世間的には全然給料も高い方だった。

2社目:大手プライム SIer

2社目は賃金面と上流業務を求めて大手プライム  SIer へ転職をした。
賃金は上がったし、経験年数は浅いながらも PM として大口クライアントの対面に立ち、成果を上げて社内でも評価されていた。
本来であれば、転職成功で万々歳なはずだが、また3年程で転職をすることにした。
理由は、会社や組織が腐っていた。パズルのようにアサインされ、能力開発を考慮しない人員計画。その結果、仕事のできないミドルエイジ社員が多く、あちこちで問題ばかり起きていた。アカウントマネージャーは収益管理しかしないので、改善される見込みもなかった。
何より、これは日本の SIer 業界自体の問題だと思うが、技術と業務コンサルティングが SIer の商品で企業価値であるはずだが、技術力が皆無だった。技術力が皆無なので設計力も皆無だった。
大きな案件になると RFI には優秀な技術者が出てくるので、見かけ上素晴らしく見えるが、往々にしてそれは気のせいだ。
数人が優秀でもプロジェクトはそこまでうまく回らない。何より素晴らしい絵を書いたところで、エンジニアの能力が低いので絵に書いた餅にしかならないのだ。
100歩譲って SIer なので技術力が低いことは良いとしよう。サブコンの技術力も酷かったので、もはや外注とかでコントロールできるような問題ではなかった。
このような企業がどうやって業務を回すのかというと、年次関係なく優秀な人材に仕事が極端に集中する。うまく順応するか、疲弊して辞めるか、精神を病むか、麻痺して何も感じなくなるか、行き着く先は人によって異なるが、私は疲弊して辞めた。今は回復したがストレスで眠れなくなった。

3社目:事業会社 IT 戦略部門

若手の割には成果やステークホルダーとの交渉経験が優れていたのでそれを活かして転職した。2社目のおかげで業務知識もあったので、うまくいった。流石に3度目の正直ということで特に問題も起きていないので、ここは割愛する。

最後に

さて、ここまで私の失敗経験を話してきたわけだが、
なにか気づきになることはあっただろうか。
こいつバカだなでもいい、バカだなと思えた人はきっと上手な就活ができる。同じ失敗をしそうだなと思った人はぜひよく考えて就活に臨んで欲しい。
繰り返しになるが、情報系だからといって、Web 企業や SIer に就職しないといけない縛りなどないのだ。
行きたい業界があるのであれば、そこの業界の社内デジタル人材を目指せばいいし、情報系が嫌なのであれば別の職種だって構わない。
そんなことをできるのは新卒の特権で、キャリア採用ではほとんど実現できないことだ。
そして、時間をかけて人生について考え仕事を選べるのも今だけだ。
就職したら否応なしに競争に巻き込まれ、自分の時間も少なからず失っていく。恐ろしいほどに一日における自分の時間が薄れていく。
そんな中で、自分が大切にしたいことはなにかよく考えるキッカケになってもらえればと思う。
そして、もし仮に十二分に考えても私と同じように失敗をしてしまったとしたら、現状をいい方向に変えていくことを諦めないことだ。
ただし、転職には十分考えて臨んだほうがいい。
私は運良くうまく失敗をリカバリーすることができたが、それなりに難しいことが多いと思う。
今あなたが抱えている不満や課題を客観的に俯瞰して見たほうがいい。
決して全職種を含めた平均年収を見ろと言っているわけではないが、給料の問題は世間的に見たらどうだろうか。本当に著しく安いのだろうか、上がる見込みは本当にないのだろうか。
仕事へのやりがいが持てない件は社内異動などで解消できないだろうか。
案外、客観的に見ると選択肢があることも多いので、短期離職をする場合はよく考えてもらいたい。
転職回数が多いのは問題ないと思う。ある意味能力がある証拠だと個人的には思う。
ただし、短期離職の場合は必ず深堀りされる。
このような羽目にならないために一社目は非常に大切だと個人的に考えている。
最後になるが、コロナ禍でこれから経済が冷え込む可能性もあるので、新卒にはよく考えて就職して欲しいと思う。

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