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諦観的なアーセナルと三日坊主的な僕


僕のことを少々ばかり理解している人なら分かっていただけると思うのだが、僕は極度の飽き性であり、三日坊主である。

ただ、そういった自分自身の三日坊主性にネガティブなイメージを持っているわけではなく、むしろ誇りに思っている。もちろん時たまに自分は空っぽな人間なのか、と半ば自己嫌悪に陥る時もあるーいや、ないか。熱し易く冷め易い性質ゆえに、僕の話を基本的に話半分で受け流す超放任主義の良心のもとで育ったため、実に多くの趣味なりなんなりをつまみ食いしてきた。

小3くらいの頃はガーデニングにハマってたし、小学校高学年では魚釣りにこれでもかとのめり込んでいた。中学に入ってからはアメコミを買い漁ってることもあれば、変にオーディオにこだわっていた時期もあった。高校では海外文通にお小遣いを注ぎ込んだし、大学ではそれはもう、本当に恥ずかしいくらい色んな趣味を漁っていた。

最近?ビールとエッセイと、あとドイツ語にハマってます。さあ、今回はいつまでなんでしょうか。


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そんな飽き性の僕でも、ずっと応援しているスポーツチームがある。

イングランド・プレミアリーグ(サッカー)のアーセナル・フットボール・クラブである。

応援していると言っても、毎年ユニフォームを買ってチームに貢いだり、選手年鑑をつぶさに読んだり、本拠地エミレーツ・スタジアムまで訪れたりするというわけではない。具体的なしるしが見える形で熱心に応援しているというよりは、今日の試合勝つといいな、と心の片隅で思っているくらいである。

実際ロンドンに行ったときはスタジアムツアーなんてほったらかしで、ウェスト・エンドでミュージカルを観ていた。2019年のレ・ミゼラブルはなかなか良かったです。


アーセナルのシーズンの戦い方は大きく分けて二通りだ。

シーズンの最初に調子良く勝利を積み重ねていき、「今年はちょっと優勝争いに首を突っ込めるかもしれないな」と思わせる。そして次第に、尻すぼみ的に、義務的に勝てなくなり、可とも不可もといえないシーズンを終える。もう一つはシーズン序盤から順調に勝ち点を落としてゆき、ファンに「やっぱり今年もダメだなあ」と思わせた挙句、謎の若手プレーヤーの台頭をもってして破竹の勢いで埋め合わせていく。

どちらにせよ、アーセナルとは基本的に四位へと向かっていく営みなのである。はっきりいってそこまで強くない。残念だけど。


きっかけは父親がケーブルテレビでアーセナルの試合を見ていたことだっただろう。小学生の時、深夜のリビングに水を飲みにいくと、父が一喜一憂しながらフットボールの試合を見ていた。当時の自分は運動会を憎むタイプのド運動音痴小学生で、スポーツなんてこれっぽっちも興味もなかったが、赤と白の鮮やかなユニフォームを纏った選手たちの姿はなぜかよく覚えていた。そして高校一年の時のブラジル・ワールドカップからフットボール観戦に、半ば三日坊主的にどハマりし、そこで自然と応援するチームとして結果的にアーセナルが選ばれたわけである。


今でもよく思えているのは、数年前ーといっても5年ほど前になるのか?ーのチャンピオンズ・リーグ、FCバイエルン・ミュンヘン戦である。

第一戦(チャンピオンズ・リーグ予選ラウンドはホームアンドアウェーの総当たり形式)では、下馬評を覆してアーセナルがホームで勝利した。本当に美しい勝利だった。特に二点目の、はっきりしない感じでゴールが決まるのもいかにもアーセナルらしくて好きだ。

ただそれだけ感動させられたからこそ、第二戦目で5-0なんかで負けた試合には唖然とさせられた。それこそ各試合に命をかけるようなフリーガン的生活を送っているわけでもないが、それでもアーセナルが毎度毎度ビッグクラブにこてんぱんにやられているのが楽しくて応援しているわけではないので、そういうことがあると割としっかり気が沈む。しばらく口もきけなくなる。


それでも僕が多かれ少なかれある程度の熱量をアーセナルに注ぐのは、このクラブを応援することで得られる人生の素養的なものもないわけではないからだ。それは負けるということを受け入れていくということである。ある種の、勝敗に対する諦観である。

アーセナルの瞬間最大風速的な強さ、無形文化財的な弱さはしだいにファンを飼い慣らしていき、彼らを「勝敗なんていつも深く考えていたらやってけないよな」と思わせる。これはどうせ負けるだろう、という悲観的諦観ではない。あくまで勝っても負けても「まあ、そんなもんだよね」と割り切る、そんなメンタリティが半ば強制的に身につけられた気がする。


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今シーズンから日本代表の冨安選手がプレーしていることで、日本からの注目が高くなってきた。

僕自身冨安選手のプレーを知っていたわけでもなく、日本人がいるからアーセナルを応援しているようなわけでもないので、ふーん、くらいに思っていたが、アーセナルを応援しよう、と思ってくれる人も増えているようだし(なんてドMな人間なのだろう)、目を見張る活躍を見せてくれているから嬉しくなる。なんなら同い年だしね。


生きてるうちにアーセナルがチャンピオンズ・リーグを制覇するところを見たいなあ。あ、いけない。期待してはダメなんです。ある程度ぼちぼちにね、頑張ってくれればいいかと思います。僕もそんくらいで頑張ります。


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白青研究所(siroao institute)

昨晩(22時くらい)思い立って、山形の鶴岡に行こうと思ったんですが、さすがに深夜バスも取れませんでした。決断遅め人間には厳しい社会ですね。何はともあれ、鶴岡の美食とやらを堪能してみたいものです。

今日のsiroao

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