siroao / 上村幸平

カナダ北西に浮かぶ先住民の島・ハイダグワイ在住の写真家・イラストレーター。98年大阪生…

siroao / 上村幸平

カナダ北西に浮かぶ先住民の島・ハイダグワイ在住の写真家・イラストレーター。98年大阪生まれ、早稲田大学卒業。「自然との関わりの中での人間らしい営み」をテーマに、身体で世界を知覚しながらヴィジュアルの力を使ってストーリーを伝えています。

マガジン

  • 最果ての記憶【ハイダグワイ生活・週間レポート】

    カナダ北西に浮かぶ先住民の島、ハイダグワイでの移住レポート。この世界の果てとも思えるような神秘的な空気の漂う空間で、上村幸平が見たもの、出会ったもの、知ったものをフォト・エッセイ形式で綴ります。毎週更新。

  • 走り書きジャーナル【日記】

    できごとを箇条書きで羅列し、頭に浮かんだアイデアを文章にならないまま書きつけておく。週報記事になるまえの日々の断片たち。できるだけ毎日更新していく日記記事です。

  • 世界に絶望しないための十万字クラブ

    • 2本

    カナダ北西の離島・ハイダグワイで先住民の営みを追う写真家の上村幸平と、ウガンダ・カラモジャ地域で農業支援に取り組む国際協力NGO職員の田畑勇樹による公開書信。それぞれの場所で全く違う職務に就きつつ、「本をつくる」という同じ目標を掲げる遠距離同僚として、不定期で文章を送り合う連載企画です。

最近の記事

  • 固定された記事

僕がしていることについて語る時に僕の語ること

 はじめまして!上村幸平(うえむらこうへい)と申します。大阪府出身の24歳です。  登山、クラフトビール、外国語、ランニング、読書が好きです。好きな食べ物はうなぎです。この文章は長野県の大町市というところから書いています。山があり湖もあるという、「この世の全て」みたいな場所です。  昨年に大学を卒業後、フリーの写真家として国内外を旅しながら写真を撮っています。  テーマは、「自然との関わりのなかでの人間らしい営み」。  山や海の中で生き抜くことや旅をすること、農業やもの

    • 北欧極北をめぐる冒険:2日目 マウントカーリーからバンクーバーへ

      ・朝8時に目を覚まして、2階のリビングルームにあがる。洋二郎さんと美穂さんはもう起きて朝食の支度をしていた。 ・今日の朝食にはマウント・カーリーのお友達を数人招いてくれたという。おふたりはよく僕の記事をシェアしてくれたり、まわりの友人に口コミを広めてくれているようだ。 「上村君、大人気だね。友達たちに声かけたら『行きたかった〜!』って人も結構いたよ」なんとも嬉しいことである。 ・今朝のマウント・カーリーはうっすら雲がかかっている。外の畑に美穂さんとネギをとりに行き、作りか

      • スウェーデンのキルナからスカンディナヴィア山脈を超えてノルウェーのトロムソまで、スカンディナヴィア北極圏を犬ぞりで旅してきました。またじっくりレポートします。

        • 北欧極北をめぐる冒険:1日目 カナダ本土へ

          ・朝8時過ぎに起きる。外は素晴らしい快晴。フライト日和だ。朝から仕事に向かうタロンとサシャにハグをしてしばしのお別れ。またすぐ帰ってくるよ。 ・フェールラーベン・ポラー2024への旅を今日から始める。スカンディナヴィア北極圏を犬ぞりで一週間旅をする。まずはマセット村の空港からバンクーバーに飛び、明日夜の便でロンドンへ。ストックホルムに着くのは明後日の夜だ。 ・マセット村からバンクーバーまでは二時間のフライト。昨年七月に車でBC州を三日かけて横断していた苦労がバカみたいであ

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        僕がしていることについて語る時に僕の語ること

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        • 最果ての記憶【ハイダグワイ生活・週間レポート】
          30本
        • 走り書きジャーナル【日記】
          96本
        • 世界に絶望しないための十万字クラブ
          2本

        記事

          Webメディア「TABI LABO」で寄稿している連載の新しい記事が公開されました!ハイダの神話の世界を守る人々について書いています。以下リンクよりぜひご一読ください! https://tabi-labo.com/309101/adventures-of-raven05

          Webメディア「TABI LABO」で寄稿している連載の新しい記事が公開されました!ハイダの神話の世界を守る人々について書いています。以下リンクよりぜひご一読ください! https://tabi-labo.com/309101/adventures-of-raven05

          ひみつ基地【ハイダグワイ移住週報#26】

          2/26(月) 今日から隣のタモの家で大工仕事のお手伝いをする。「セントー・プロジェクト」と謳われる今回のプロジェクトは簡単な銭湯式温浴施設をつくることになる。タモの敷地の一角に五右衛門風呂・水風呂・バレル型サウナとともに脱衣所や畳を敷いた茶屋を作り、ハイダグワイの自然の中でのリラクゼーションを提供する施設だ。施設といっても近隣の友達とともに楽しむためになりそうだが。 ワークパンツとワークジャケットを着て、ワークブーツを履いてタモの家に行く。昨晩あったクリスとタモが誰かと

          ひみつ基地【ハイダグワイ移住週報#26】

          キングサーモンとの対面【24.3.24】

          ・キツツキが家をつっつく振動音で目が醒める。朝ごはんに白米を炊き、鹿肉ロースを薄く切って醤油酒みりんで簡単な焼肉丼にする。卵をかけて同居人と平らげる。今日はついにボートを出して釣りに出かける。 ・風もなく雲ひとつない空である。今年最初の船釣りにはこれ以上ないコンディションだ。満潮は3時ごろなので、お昼頃に海に繰り出すことにする。 ・タロンのトラックにライフジャケットやカニ籠などを詰め込む。久々の釣りなのでフィッシングライセンスを探すのに一苦労した。ビザやパスポートを入れて

          キングサーモンとの対面【24.3.24】

          【航海日誌】Yan村(3/18)

          概念図 ・8時に目を覚まし、白米を炊く。サーモンをバターで焼き、インスタントの味噌汁をつくる。さっと朝ごはんを済ませ、昼ごはん用のおにぎりを握る。鮭フレークの混ぜ込みご飯のもとがありがたい。 ・今年最初のシーカヤックである(裏の川で漕いで遊んだりはしてた)。八月か九月には数週間かけて南のモレスビー島を巡りたいと考えているので、これから夏にかけて日帰り・数日レベルのカヤック旅を重ねて慣れていきたい。 ・今日漕ぐのは家の近く、マセット村に面した入江。昨年よく漕いでいたスキデ

          【航海日誌】Yan村(3/18)

          いつまでも、真剣に遊ぶ【24.3.17】

          ・明るくなって目を覚ますというのが増えてきた。足元で寝ている猫といっしょに伸びをして起きる。 ・「病欠がでちゃって、午後の三時間だけ仕事に入れない?」と同僚からメッセージ。日曜日の午後の数時間なんて特に忙しいこともないはずなので快諾する。 ・午前中の間は庭の仕事をしつつ、明日のカヤックの準備をする。枝集め、薪割りは永遠に終わらない。キリがいいタイミングでカヤックの点検をし、ギアを車に詰め込んでおく。 ・明日は天気も海も穏やかそうなので、マセットの入り江を漕いでみることに

          いつまでも、真剣に遊ぶ【24.3.17】

          ハイダグワイ春の牡蠣祭り【24.3.16】

          ・昨晩は遅くまで文献を読んでいたので、朝はゆっくりスタート。10時過ぎに起き、ストーブに火を入れる。久しぶりの快晴である。コーヒーを淹れて読みかけの本を読み進める。 ・サシャが起きてくると、いっしょに川辺に行って日向ぼっこをする。猫のサミーも久しぶりに外に出してやる。カナダグースたちが奇声を発して川面から飛び去っていく。風が吹けば少し肌寒いが、陽の光の暖かさをじんわりと感じられる。春の少し前のこの期間がとても好きだ。 ・屋外トイレの小屋のちかくには紫色の小さな花がささやか

          ハイダグワイ春の牡蠣祭り【24.3.16】

          ラップランド行きまで三週間【24.3.12】

          ・朝6時に目を覚まし、そのままブリーフィングの会議リンクを開く。すでにほとんどのメンバーが揃っていた。 ・今朝はフェールラーベン・ポラー2024の事前ブリーフィング。スカンディナヴィア北極圏における犬ぞり旅まで、すでに三週間を切っている。主催者のフェールラーベン本社のメンバーと僕のチームメンバー19人とははじめまして、イベントマネージャーのカールとスタッフのダニエルは久しぶり。 ・今日は日程の概要説明、フェールラーベン・ポラーの遍歴、そしてチームメイトの自己紹介などが行わ

          ラップランド行きまで三週間【24.3.12】

          知識の前に感覚を掴む【24.3.11】

          ・久しぶりの大荒れの天気。ストームシーズンも終わりに近づいており、11月の天地をひっくり返したような嵐ではなく、いつもより少し雨足と風が強いくらい。 ・それでも本土行きのフェリーは欠航になった。今日から島の対岸のプリンス・ルパートで研修を控えていたタロンも足止めを喰らう。 ・こんな天気で外でできることもなく、家で作業をする。ハードウッドを燃やしてリビングルームを温め、溜めていた作業にとりかかる。確定申告もそろそろ取り掛からなくては。一応個人事業主なのである。 ・このとこ

          知識の前に感覚を掴む【24.3.11】

          ビーチを爆走し、猫が失踪する【24.3.9】

          ・「いいサーフが立ってそうだ。ビーチで焚き火を焚いてスープとパンを作ってランチにしよう」朝起きたあとのコーヒーを啜っていると、同居人のタロンが興奮気味にやってくる。今日の満潮は12時過ぎ。10時過ぎに出かけることにする。 ・トラックにダッチオーブン、水筒、スープとパンの材料、焚き火用の薪、ウェットスーツを積み込む。アーセナルの試合は後半途中でスコアはドロー、惜しかったが勝ってくれることを祈って助手席に乗り込む。 ・こうしてタロンとふたりでトラックに乗り込み、外遊びに出かけ

          ビーチを爆走し、猫が失踪する【24.3.9】

          銭湯作り前半戦、完【24.3.7】

          ・じっとりとした天気。ハイダグワイらしい雨である。マッシュポテトの残りにチーズを加えて温め、ベーコンエッグとともに朝食にする。 ・原動機つき薪割り機のスターターロープを再びちぎってしまい起動できないので、諦めて斧で薪割り。あまり多くなければいいエクササイズになる。テンポよく、足をぶった斬らないように注意しつつ斧を振り下ろしていく。まだ新鮮なシラカバの木はなかなか簡単には割れてくれない。根気のいる作業である。 ・タモの銭湯プロジェクトを手伝いに来ているクリスも今日が最終日。

          銭湯作り前半戦、完【24.3.7】

          経験は共有できずとも、悲しみを分かち合うことはできる【ハイダグワイ移住週報#25】

          2/17(土) 昨晩JJが持ってきてくれたマカロニパスタを温め、バナナと一緒に朝食にする。今日は忙しい一日になりそうだ。朝のうちにタロンと庭仕事を進める。 夏から積もりに積もったくず枝や木片を燃やす。敷地内で切り倒したばかり木の残骸なども混じっていることもあり、なかなか火がつかない。乾燥したものをバーナーで焼き、そのうえに燃えやすそうなものや針葉樹の葉っぱを投げ込む。30分ほど格闘してようやくいい焚き火になった。 ストームで薙ぎ倒された木や枝、川で流されてきた流木、その

          経験は共有できずとも、悲しみを分かち合うことはできる【ハイダグワイ移住週報#25】

          本土にも行きたい場所が増えて困る【24.3.4】

          ・午前中は昨日割った薪を仕分ける。昨晩のフライフィッシュをオーブンで温めて、皿いっぱいのサラダとともにいただく。 ・午後からはとなりの銭湯プロジェクトをお手伝いに行く。今日はクリス、タモと自分の3人。風呂桶のなかには薪ストーブが設置され、風呂ゾーンには屋根も貼られ、デッキは焼かれてシャワー室の大枠もできてきている。一週間前までは何もない場所だったのに、なかなかの変容ぶりである。 ・「この岩、なかなかいいだろ」とタモが嬉しそうに見せてくるのは、苔むす大きな岩。岩石のほとんど

          本土にも行きたい場所が増えて困る【24.3.4】