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時を超えたサイコロゲーム【24.5.27】

・ここ一週間ほど雨が続いている。それまではわりかし乾いた天気が続いていたので、屋根を打つ雨粒の音が心地よい。

・朝ごはんにはいつも通りパンケーキを焼き、そこに高めのメープルシロップをかける。これまで使っていたのはメープル風味シロップだったようだ。深いコクと自然な甘さが心地よい。

・外の作業をできるような天気ではないので、家にこもって執筆作業を進める。書くべき題材も溜まりに溜まっている。フェールラーベンポラーの体験記は3回の連載にしてフェールラーベンの日本代理店に買い取ってもらったが、まだスウェーデン旅の半分も文字にできていない。昨晩書き上げたフィンランド一日目の記録もとても長くなってしまった。

・ただ、これまで日記形式でつけていたものと違い、1ヶ月ほど時間が経って振り返ってみると、その時感じていたものとはまた違う観点が浮かんでくる。記憶が新鮮なまま描き残すのもいいが、強烈な体験がひとまず落ち着いた時に再度記憶の引き出しをあけて文字にするというのもいいものだ。

・それでも、時間がないのにかまけてほったらかしにするのが続いているのも嫌なので、今日からまたメモ形式にここに残しておくことにする。

・5時には村に向かう。毎週月曜日の「メンズ・グループ」なるものに参加する。これも僕が毎週火曜に参加しているウェルネスグループの別形態で、村の男性がコミュニケーションを図れる場所として設けられたようだ。

・昨日のパドル作りワークショップで、アーティストのひとりであり可愛がってくれるおっちゃんのひとりでもあるクリストファーに誘われたのだ。誘いがないと参加しづらいなと思っていたのでありがたい。

・村のユースセンターにはダン、ファシリテーターのブローディをはじめ、顔見知りばかりだ。小さいコミュニティで9ヶ月ほど過ごしてきたということを実感する。

・「コウヘイ、食事の前の祈りをお願いできるか?」
ディナーの前にクリストファーが僕に向き直っていう。日本語ではいつも『いただきます』っていうんだよと教え、皆で手を合わせる。

・献立はBBQチキンとブロッコリーのグリル焼き、あと米。ジェフが漬けたというキムチはなかなか本格的。
「抗生剤を飲むことが多いから、こういう菌類の含まれた発酵食品を摂るととても調子が良くなるんだ」と嬉しそう。

・食事を済ませると、今日のゲストであるコリーがバッグから皮袋につつまれた何かを取り出す。
「これは太平洋先住民のゲームだ」とコリーが広げたのは先住民アートが描かれた革のマット、10センチほどのスティック、そして様々な形のサイコロだ。サイコロと言っても正六面体ではなく、椅子や鳥の形をモチーフにしたものだ。非対称なサイコロをマットの上に振り、その出た目によって相手からスティックを奪えたり、ターンを失ったりする。

・側から見ると、大の大人が小さなコマを必死に転がしているのが滑稽だ。クリストファーとスカイライが遊んでいるのを笑って見ていると、お前もやれと座らされる。

・アンドレと対戦。まずは最も不安定な鳥型のコマを振る。しかし、何十回振っても一度もポイントになる目が出ない。結局最もシンプルな椅子型のコマで遊ぶが、それでもポイントになる目が出るのは10回に一度ほど。椅子が直立して立ったような目が出ると、4ポイント。思わず熱狂してしまう。

・ひと盛り上がりする。一度失われた先祖たちのゲームに心を躍らせる村のおっちゃんたちを見ているのも嬉しくなる。

・8時に解散。夜にミドリとサウナに入る約束をしていた。近所でファームステイしている日本人の友人である絹香もつれてサウナに行く。タモの家はキッチンゾーンの大改修が終わり、すっきりとした空間になっている。

・カンカンに熱したサウナで冷えた体を温める。もう六月になるというのに、なかなか暖かくならない。ダンがサウナストーンに水をかけるジュワッとする音が心地いい。
「先週コパー湾の上流にネットを仕掛けたんだけど、七十匹近いソッカイ・サーモンが釣れたぜ」
ミドリとダンはこの頃仕事と釣りで大忙しだったのだとか。サーモンは缶詰にしたから向こう数年は困らない、と得意げ。

・絹香を滞在先まで送り届けて家に帰り、シャワーも浴びずに寝落ちてしまった。

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