![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49316612/rectangle_large_type_2_d30eb61aa149d9682d5339166b199354.jpeg?width=800)
独特すぎる世界観を持つおすすめSF小説紹介『順列都市』
おはろん、しらすです。
毎週日曜日はおすすめ本紹介。今日もやっていく。
このシリーズも今回で12作品目(正確には13冊紹介している)。読者もこの記事を通して、様々なジャンルの本を読んでいただきたい。私も、今までなら読まないであろう本を読んでいきたいと考えている。
前回の記事はコチラから↓
それでは、今日も最後までご覧あれ...。
本の紹介
今回紹介する本はこちら。
グレッグ・イーガン著、山岸真訳『順列都市(Permutation City)』。
このSF小説の舞台は、コンピュータに記憶や人格などの情報をダウンロードできるようになった21世紀半ば。そんな世界に生きる人たちの物語。
著者のグレッグ・イーガン氏は理学博士号を取得されている方で、その道のプロでありながらこの本を書き上げ、キャンベル記念賞やディトマー賞を受賞されている。すごい。
この本の見どころ
小説系はネタバレになるかもしれないので、多少伏せながら話していく。
この小説は、主に2人の人物(ダラムとマリア)が中心になって進んでいく。オートヴァースと呼ばれる仮想空間上(またはもうひとつの宇宙空間)に、〈コピー〉というもう1人の自分を作ることができるようになった2050年。
ある日マリアは、オートヴァース内で人工生命のようなものを突然変異により作り出すことに成功する。それを知ったダラムは、マリアにもうひとつの宇宙をオートヴァース上に作って貰うことを依頼する。
その後、マリアやダラムは、マリア自身が作り出した空間の中で発生した問題に立ち向かっていく。
「塵理論」という不思議な理論によってつくられた世界はどう展開していくのか。
また、マリアのことを知るダラムとは何者なのか。
そして、本作品のタイトルである「順列都市」とは何なのか。
様々な生身の人間と<コピー>によってつくられる仮想世界上での物語なのだ。
こういう人に読んでほしい!
SF好きならば読みたい。情報系の学問に造詣の深い方なら知っている話も多い。そうでない方でも、漠然とコンピュータに興味のある方にとっては読んでいて想像が膨らみ、面白いと思われるはずだ。
本書は著者であるグレッグ・イーガン氏の織り成す独自の世界観であふれている。
細かい描写や心情の変化、我々が見たこともない世界に対しての説明などが丁寧に書かれている。
文庫で購入すると上下巻あるので少し長いと思われるかもしれないが、すべてがつながったときの感動や、突然動き出す展開には目を離せない。
評価
読みやすさ:★★★(文字が多め)
専門性 :★★★★(理系に疎いと厳しいかも...)
おススメ度:★★★★★(でも読むと感動する...!)
まとめ
今回は、『順列都市(Permutation City)』を紹介した。
私がこの本を読んで素晴らしいと思った点はほかにもある。この本が出版され始めたのは1990年代。そのころに、機械学習の一種であるニューラルネットワークや、かつてこれで人工知能を再現しようとしていたエキスパートシステムといった技術などが世界を席巻していると予想していることだ。形は変わっているが、今の世界は人工知能の実現を目的として機械学習があっせんしている。
グレッグ・イーガン氏がどれだけ理系の道に造詣が深かったかが一目瞭然の一冊である。
これを機にぜひ読んでほしい。
いつも最後までお読みいただきありがとうございます。少しのサポートがブログなどクリエイト活動の励みになります。