リンキ

映画の感想をだらだらと並べているだけです。

リンキ

映画の感想をだらだらと並べているだけです。

最近の記事

マリッジストーリー/ノア・バームバック

お互いの良いところをたくさんあげられる。どうして好きになったのか、どうして愛してたのか、その理由はわかっていて、一緒にいたくない理由よりも一緒にいたい理由の方が多いのに、でも一緒にいたら自分が自分じゃいられなくなる。お互いを愛していて、だからこそその愛を完璧なままにしようと、自分たちをすり減らしてしまうから。 だから弁護士を雇い、彼らは離れて生きる未来のためにその愛した過去達を使おうとする。そんな事したくないのに、思い出せばすぐそばに感じることのできる愛を汚したくはないのに、

    • 宮本から君へ/真利子哲也

      印象的なのは赤。金魚の赤、血の赤、薔薇の赤。赤は生と死の象徴のようだった。宮本が流す血は一滴残らずどれも靖子のためのもの。あますことなく。それを靖子が望んでいなくとも、彼は靖子を想って血を流す。 宮本の実直というか、曲がる事を知らない真っ直ぐさはきっと靖子の言う通り自分の満足のためだったのだろうと思う。「この女は俺が守る」という妙に演技じみた言葉も、きっと。だけどその一見独りよがりの真っ直ぐさはどんな時も曲がらず、不安定で側から見れば面倒くさいかもしれない靖子の心を真っ直ぐに

      • 愛がなんだ/今泉力哉

        丁寧に割り入れた卵 黄身が破れて溶け出した卵 手作りの味噌煮込みうどん コンビニの鍋焼きうどん。 ーやっぱり、テルコとマモちゃんは一つになれないのだと思う。 お前は自由で良いよな、って、何の気なしに言う人って本心ではそんなこと思ってない。自分の現状が気に入っているし、そうやって自由を望みながら忙しさの中にいる自分を愛してる。ううん、そんな自分を愛してんだって言い聞かせてるのかもしれない。 だから、そんな自分の中に入ろうとして変えようとしてくるテルコを拒絶したし、感情を振り回

        • パーティで女の子に話しかけるには/ジョン・キャメロン・ミッチェル

          ありがとう、ジョンキャメロンミッチェル。自由なき日々への反逆。個性を尊重するコロニーでありながら、規則の中で生きなければならなかったザンが自由を謳うその姿は、間違いなくパンクだ。 エンと共に飛び出し、自分の身で多くのことを体験して、感じて、エンと通じ合い、自由を手にしたザンは、宇宙人達の心臓になった。どこへだって行ける出入り口に。自由を得たことで失ったものはある、これから色んなものを失うかもしれない。エンとの間にできた新しい命と共に地球を去った彼女の選択はもしかしたら間違い

        マリッジストーリー/ノア・バームバック

          Wonder/スティーブン・チョボスキー

          人生は辛いことが多い。もしかしたら幸せなことよりも。その中で、誰かに親切にするのって勇気が必要で、とても難しいことかもしれない。だけど、人と違う顔を持つオギーと勇気を持って向き合うことで、自分と向き合い始める人たち。そうして自分でも知らなかった、気づこうとしなかった自分の中にある醜いところであったり、素晴らしいところ、そして忘れていたことを見つけ始める。自分の顔は自分では見えないように、自分の強さや弱さは何かを通してしかわからなくて、オギーと向き合い認めること、それってつまり

          Wonder/スティーブン・チョボスキー

          フランケンウィニー/ティム・バートン

          私の家は犬を3匹飼っていた。 みんな、天国に行ってしまった。だから愛犬を生き返らそうとするヴィクターの気持ちはとてもよくわかる。もしも生き返って、また自分のところに来てくれたら。ヴィクターはその思いを実現させ、愛犬スパーキーを蘇らせる。継ぎ接ぎだらけ、首にはボルトが刺さっているけれど元気一杯で可愛いままのスパーキー。けれどビクターにとってはそうでも、他の人間にとっては「フランケンシュタイン」。死から蘇った恐るべき怪物。驚く人間たちに、怯えるスパーキーは家を飛び出し、街を走り抜

          フランケンウィニー/ティム・バートン

          万引き家族/是枝裕和

          血は繋がらないけれど優しい人が教えてくれた歌 傷つけるんじゃなくて、抱きしめることが愛だってこと ビー玉の中に海があること リンちゃんがこの先誰かにそれを教えてあげられる未来が来ることを願わずにはいられなかった。人を傷つける正しさや、常識、正義ってなんなんだろう。それらが子供達を守ってくれるなら、この作品は生まれたりしなかった。間違いだらけで、親というにはあまりにも欠陥している彼らが子供たちを拾い、守り、正しさや常識や正義が教えてはくれなかった様々なことを子供たちに与えた。

          万引き家族/是枝裕和