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2023TOKYO展示旅DAY2

長くなりそうなので分割

この日はどうしても東京都現代美のDior展に行きたかったので8時前に宿を出た 移動時間30分、雨模様だしマシだろという楽観視も儚く、すでに大量の人が並んでいた

ここからDior展のネタバレあります ご自衛ください





東京都現代美術館 クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ

規模がおかしい 次こんな規模の展示を国内で観れるのはいつだろう、くらいの気持ち 東京都現代美の普段の様子を知らないからわからないが、かなり思い切った企画だったろうなと思う 屋内にもう一つ世界を作り出していた それもいくつも 
もちろん服飾の目線から貴重なコレクション、というのは大いにあるだろうけど、それ以上に展示空間の設計がとんでもなかった これを観れたのはかなりラッキーだった 
空間を作ること、それがどう作用するか考えること、したい表現のためにはこれがしたいができない、ならこうしようと代案を作ること、全てが人間が鑑賞して圧倒できるということ ある展示室で、おそらくここには水を貼りたかったんだろうというところに鏡が貼られていて強く納得した 水面は鏡で代用できる
本当に空間が素晴らしかった その中にいること自体が贅沢で、今思えば信じられない 一度で出るのが勿体無くてどこも最低2往復した 4往復したところもある この空間をスイスイ歩くということもまた贅沢だと思ったから

Dior展の入場時間が15:30だったので、それまでの時間はミュージアムカフェのたまごサンドをちまちま食べたり、館内図書室を眺めたり、近くのコンビニでサラダチキンとカフェオレを摂取したりした コーヒーの街・清澄白河で、どこでも同じ味がするセブンのカフェオレを飲むのはなんだか気分が良かった 本当はただお金がなかったのである


本当に素晴らしかった庭の部屋

セブンの駐車場のポールに腰掛けてぼんやりする ぼんやりするという状態について考える 時間の友を探してカフェに入らずとも街角でできていたはずなのだ ぼんやりする、には手持ち無沙汰でない環境が必要、という自論に対する実験方法を考えてみる

目の前には児童公園と超高層マンション ハイ・マンションの足元の児童公園 高いところに住んでいる子供が、ボールを蹴るためにエレベーターを操る姿を想像する

まあちなみにコレクション展も鑑賞した Diorに気を取られてみんな行かないのだろう、人はそんなに多くない しかしついでで行けるにしてはかなり厚みがあって面白いです 以下、その感想

MOTコレクション 被膜虚実
完全にディオール展の時間潰しに入ったけどかなりよかった いろんな方法で各自の問題に向き合おうとする人たちの展示という感じ 
現代アートの展示をするときネックになる(と思ってる)キャプション問題について考えた 貼らずに感じさせるのがいいとはいえ、抽象度が上がってる分理解もされにくい…という悩みがあるように思うけど、この展示ではガッツリ説明をしてくれていて、結果的にとてもよかったなと思う 見る気になるというのがまず大事なのかもなあと思った 高潔で人を寄せ付けない、というのもひとつの面ではあるだろうけど

ディオール展のチケット購入に並んでいた約3時間、隣にずっとおばさまが並んでいた 初めは「すごく人が多いわね」と話しかけられ、そのあと私がATMに走る間場所を見ててもらったりして会話した ずっと話してたわけではなく2時間分くらいは本を読んだりスマホを見たりしていた 長く話し込むのも違うなと思ってしまったからである 
そういえば私たちの世代ってもしかして雑談が苦手だったりするかもなと思う しかしあと30分くらい、となったところで、尋ねてみた 
「お仕事は何をされてるんですか」
「ハイブランドの店員をしててね」
なんと それまでの会話で、おばさまが北海道から来たことは知っていた
「札幌の--で働いてるのよ」
聞けばおばさまは若い頃空間デザインを志したが就職先では営業職になり、悶々とする中でしかし諦めず営業先に持っていく案の中に自分のアイデアを紛れさせて勝ち取ったりしてたらしい
「やっぱり直接クライアントを知ってるから、私のが一番って言われるのよね」
「タフですね…」
「寝る間も惜しんでね」
その後服に興味を持ち学校にも行き、今はハイブランド店員 
「こっちにも--はあるでしょ、だからディスプレイとか見て帰ろうと思って」
なるほどここで空間デザインが確かに生きている
「やってて無駄なことなんて何もないのよ」
重みが違う 今は「背伸びして彼女のプレゼント買いに来た男の子」にあれこれと世話を焼くのが楽しいらしい ようやくチケット購入口に辿り着いてそれぞれ買ったあと、「(時間指定のチケットなので)ではまた後で」と言っておばさまは清澄白河のカフェに向かった お金が十分にない私は美術館内をうろうろすることで時間を潰すつもりだったのでここで別れた

結局おばさまとはそれから会えなかった 展示を見て息を呑むおばさまを想像しながら美術館を後にする


この日の夜は渋谷で弟と会う予定があった ちょうど大学の先輩から、知り合いが渋谷でポップアップやってるから良かったらと言われていたのでついでに向かう 学生がワイワイしていてホッとする一方、服飾系の学生たちの熱量に気圧される 

弟との予定は飲みで、遅れた誕生日プレゼントを渡し、近況を聞いて笑い、飲んで食べた 梅干しサワーが不味かったけど、それをネタにまた笑った 店を探している間のLINEで、どこがいいかと尋ねると「どこでもいいけどゆっくりできるところがいい」とか「ぱっと食べてカフェに行くでもいいし」と言っていておおっと思う 姉との予定を鬱陶しく思っていないようだね 姉は嬉しいよ

NEW ERAでキャップを買うというのでミヤシタパークに行き、友達と来たというプリンをたべ、9時過ぎに解散する あと1日気をつけて!というLINEが来る 

渋谷から拠点の飯田橋まで帰る 代々木で乗り換え、4番ホームのアナウンス「次は千駄ヶ谷に止まります」
千駄ヶ谷。
常々、いつかマツコデラックスに会った時「アンタ〇〇住んでたのォ?!」と言われたいがために東京に住みたいと思っているのだが、千駄ヶ谷ってどうなんだろう 「アンタ千駄ヶ谷住んでたのォ?!」てなるのかな 
どの街ならマツコに意外だと驚いてもらえるだろう 巣鴨とかかな 神保町とかってどうだろう おしゃれすぎるか?そういえば巣鴨も神保町も行ったことがない メディアからの情報のみで構成された巣鴨や神保町は、それぞれ強烈な個性を持ってるけど実際はどうなのか 

宿に戻る前に地域の銭湯に行ってみる

熱海湯 激渋、激アツである 番台さんが頑張れば女湯も覗ける、みたいな構造で、私はそれもまた味…と思えるが苦手な人は避けた方がいい 湯温はめちゃくちゃ熱い (アッツッ!!!)と無言で狼狽えてたら、大根の神様みたいなおばあちゃんが「埋めたらいいわよ!」と蛇口を示す「ここのお客さん、熱めが好きな人が多いみたい」えっそれは埋めていいのだろうか「いいわよ!!」
出がけにおばあちゃんと顔を合わせたのでお礼を言う
「また来たらいいわよ!」
来ます

ここで改めて部屋の紹介をしたい
大型連休初日からの二泊三日を安くで泊まれるところはほぼなく、結局取れたのはありとあらゆる富めない旅行者を受け入れるようなホステルだった しかも雑居ビルの高層階である この年齢じゃないと一生来ないだろう場所だ

2段ベッドが5台、計10人が滞在できる一部屋には、しかしベッド数の半分以下に宿泊者数を抑えているらしく大体5、6人が入れ替わり立ち替わる 昨日アジア系のやかましいねえちゃんが寝ていたベッドには、今日はヨーロピアン女性がいる この一行、最初は(おそらく)スペイン語で話していたのに気がつくと英語になっていて驚いた 
よくよく聞いているとどうやら一行の中に英語話者がいる しかも聞く限りおそらく日本人 トイレに行く時チラリと見ると、ヨーロピアン女性が派手なミニワンピから美しい脚を出してベッドの階段を登っているところであった 目が合い、ニコッとされる ここでニコッとできるかどうかで人生変わりそう、と思う

23時、談話室で、北欧に留学している先輩とビデオ通話をする
話すことは尽きない 先輩は大学院を一年休学している 私もそうなりそう、でも流れから外れるの怖くなってと話す 先輩は留学してからギャップイヤーがありふれていることに気づいて怖くなくなったらしい
「私たち日本に向いてないね」先輩はとても穏やかな人なのだが日本には確かに合っていない
「そうですね」
滞在先のツアーを飯田橋から繋いでもらう 0時30分に通話を切った



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