蕾の哀情 ~失った想いを忍ぶ~
人の想いは、どこに流れ着くのだろう。
夜露に揺れる花びらは、哀愁の中で
押し黙ったまま、憂いを浮かべる。
淡い期待は、砕ける運命のままに
ただ・・水鏡に溶けていく。
男は航海で、安息の島を求めて旅をする。
女は孤城で、泪に濡れた双眸で月を仰ぐ。
時は残酷なまでに、私を削り落としていく。
求めれば、すり抜けて
手を伸ばせば、遠ざかって
私は、悲愴の泉に自分を泳がせるだけ。
祈りさえ・・途絶えた感覚を伴う。
月の翳りが、・・深く濃く
また、私を大人にするのだろう。
炯々と、月光が私の本懐を露にする。
どんな自分であっても
すべて引き受けられるようになるまで
私は私の声を聞くのだろう。
蕾の哀情が癒えるまで。
今宵も、暗がりの中で
鈍色の月だけが・・・私を慰安する。
Sara
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