見出し画像

包丁

私は、包丁が苦手である。

幼少期から、
包丁は私に取って凶器であった。
かあちゃんが振り回すからだ。

なので、小学校入って、
私が料理をする様になってからは、
かあちゃんに見つからない様に、
包丁を毎回使う度に、隠していた。

ある時には、私の部屋に入り浸っていた、
友人が自分の兄に包丁を突きつける現場を、
目撃し、恐怖を覚えた。

そして、また私は包丁をつけ付けられる。

それは、
束縛の強い彼女によってその時がきた。

私は、束縛されるのは、嫌いである。

そして、私は疑う様な事は一切しない。

なのに、彼女は信じてくれない。

なにを、言っても信じてくれない。

彼女にとって、それは嘘だったり、
言い訳だったり、言い逃れにしか聞こえない。

泣いて、
あんたを殺して、私も死ぬ。

と包丁を突きつけて言うのである。

私は、不器用でひねくれ者なのだ。

そんな私の言葉は、
彼女を納得させる事には、いたらない。

何を言えば、何をすれば、いいのか。
どう言えば、どうすれば、いいのか。

そのすべがわからない。

その繰り返しがつもりに積もってきた。

ある時、
同じ様に彼女が包丁を突きつけた。

そして私は、
自ら、包丁に刺さりに行く。

包丁を持つ彼女に向かって、

勢いよく抱きしめにいったのだ。

もちろん、包丁はわたしの腹に刺さる。

それでも、構わず彼女をきつく抱きしめた。

彼女は、血相を変えて震えていた。

私は彼女に、

お前の望む人間になれなくてごめんな…。

あと…包丁は抜かないで…死ぬから…。

と彼女の耳元でささやく。

彼女は、包丁から手を離し、
あとずさりして腰を抜かしていた。

そして…彼女は逃げた。

私は、腹に刺さった包丁を見つめる。
私の住んでたアパートには電話がない。

困った…どうすればいいのか、
下手に動くのもな…と考える。

出来るだけ、
体を動かさない様に、
近所迷惑しない様に、
公衆電話に向かい、救急車を呼んだ。

なるべく、遠くの公衆電話まで歩いた。

救急車の中で、質問責めされる。

まずは身元確認。

そして、ことの経緯…。

私は、いや…事件ではないです…。

あの…手が滑って…。
ってなわけないですよね…。

すみません…自殺です。
死にきれなくて…
救急車呼んじゃいました…。

と自ら刺したと言った。

その後、病院に着いて、
緊急手術により、命拾いしたのだ。

その後、警察が来て事情聴取される。

それでも、自分で刺したと言い張った。

自殺しようと思っただけです。
でも、死にきれなかっただけです。

その一点張りで、
警察は、呆れて帰っていった。

それ以来、彼女には会ってない。

もしかしたら、
殺人未遂で警察に捕まると思って、
逃げ回っているのかもしれない。

彼女には、悪い事したな…。

私は彼女が信じられないのなら、
本気だと示したかっただけなのだ。

彼女が納得してくれれば、それで良かった。

病院の先生から、
レントゲン写真を見せてもらう。

そこに映し出していたのは、
包丁が私の体の一部となって埋まっていた。

先生の懸命な手術のおかげで、
包丁は抜かれて、私の中から消えていた。

私は、腹をさする。 
するとなき包丁の居場所に傷みを感じる。

そっか…
今あるのは包丁でも彼女でもなく、
不器用でひねくれ者の孤独な私だけなのか…。

人生ってなんなんだろう…。

オレは人を愛する事は、
出来ないのかもしれない…。

人間関係を築けない、自分が悪い。

なぁ…オレよ…お前はなんで生きてんの?

生きてる意味あんのか?

お前、自分すら愛せないのに、
他人なんか愛せる訳ねーじゃん。

なに、いきがってんだよ。

お前なんて…オレなんて…
死ねば良かったのに…何生きてんだよ。

あの時、
彼女に包丁抜けって言えなかったのか?

かっこつけて命乞いみたいなマネしやがって、
お前はバカだ…大馬鹿者だ。

だが、彼女を犯罪者にはしたくなかった。

だから、自殺だと言い張った。

オレはダメな人間だが、
他人に迷惑はかける事は出来ない。

だから、私は生きる。

誰にも迷惑かけない為に生きてやる。

死ぬ時も、誰にも迷惑をかけたくない。

だから、命ある限り、孤独に生きてやる。

人付き合いは、私には自信がない。
自分を信じてないから、出来ない。

ひねくれた思考は、私を責めるのだ。

私自身が包丁なのかもしれない…。

もうこれ以上、人を傷つけたくない。
それが、すごく怖いのだ。

知らず知らずに、人を傷つけてないか、
人と関わると、真っ先に、
その人を傷つけてしまうかもと、
ものすごく不安にさいなまれる…。

だから、孤独を貫いて生きると心に誓った。

結局のところ臆病者なのだ。

だからSNSもしたくないのだ。

知らない誰かを傷つけるかもしれない。

だが、巡り合いがあり、今がある。

人を拒み続けていた自分が、
今は、みずから発信している。

まだまだ、私は未熟者なのだ。

それでも、自分をさらけ出ている。

今までの、過去や現在を投稿しているのだ。
いくつか、葛藤があったが、載せた。

何が、そうさせているのか…。

はじめは生きてきた証として書いていた。

でも、今は多分違ってきている。

少しだけ…
自分を信じて見てもいいと思えてる。

前向きにとらえられる様になっていく。

なぜなら、
いつも助けられているからである。

こんな私を、救ってくれる人がいるのです。

こんな私を、褒めてくれる人がいるのです。

私は幸せ者だと強く感じます。

だから、私は書き続ける事が出来るのだ。

頭の悪い素人の文章を、
読んでくれる人達がいるからである。

人を傷つけない方法はまだわからない。

だが、
自分を傷つける事はなくなってきています。

今を生きて、今を大切にしたい。

今一度、お礼を言わせて下さい。

いつも、私の投稿を読んでいただき、
本当にありがとうございます。
そして、「スキ」を押していただき、
ありがとうございます。
コメントをいただいて、
私は本当に救われて、助けられてます。

こんな私ですが、
どうかこれからも、よろしくお願いします。


もう…包丁は…まっぴらごめんなのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?