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感度自動設定とは?+レンズ1本で始める野生動物撮影<設定編2・ISO> #10

さて今回は、前回に引き続き、野生動物をストレスなく撮るためのカメラ設定編。前回設定したシャッタースピード。これをより楽に使いこなすための設定についてお話しします。
少し難しいお話になりますが、これをクリアすれば野生動物撮影の効率が劇的に上がります。全部を完全に理解する必要はありません。なんとなく写真の”仕組み”をイメージするような感じで、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。

▽ 前回記事はこちら ▽

■ ISO(感度)って何?

ちょっとややこしい話をします。「絞りの話」です。これは今回のキモではないので気軽に読み流してください

前回設定したシャッタースピード(以下SSと表記)。速ければ速いほどブレない、というお話をしましたが、速すぎると写真に光を取り込む時間が短くなるため写真は暗くなってしまいます。人間の目に例えるとSSは瞬きの速度といった感じ。
もう一つ写真を設定する値として"絞り"という値があります。これは撮る時にどれくらい目を大きく開くか、という値です。細目だと取り込む光が少ないけど、大きく目を開いたら、たくさんの光を短い時間でも取り込むことができるというイメージです。しかし大きく目を見開くには物理的に限界があります。太くて大きなレンズは、めっちゃ目を見開けるからデカくて値段も高い、とイメージしておいてください。

更にもう一つ写真の「明るさ」を左右する要素があります。これがISO感度と呼ばれるものです。
簡単に言ってしまうと、写真としてフィルムに撮った映像を焼き付ける時に、どれくらいの敏感さで焼き付けるのか、という値です。数値が小さければ感度が低い。大きければ高い。高ければ高いほど、フィルムは敏感になるので、少ない光で明るく写すことができます。

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△ 暗い場所・時間帯だと、満足いく画質での撮影は難しい。 △

「じゃあ感度は高くしとけばいいやん」って思うんだけど高感度にし過ぎると余計なものまで写りこんでしまうんですよね。それがノイズと言われるものです。よくモノクロ写真とかで見るあのザラザラした感じ。あれがノイズです。簡単位にまとめると下記のような感じ。

iso100<<------ <<iso感度>>------>>iso1600
暗い<<-------- <<明るさ>>-------->>明るい
精細<<-------- <<画質>>------>>ノイズ多

もちょっと詳しく知りたい方は、下記のサイトを参照にどうぞ。

…だから、奇麗に撮りたいならなるべく感度を低くして撮りたいんですよね。しかし、低感度だと写真は暗くなる。

相手が動くし望遠だからSSを速くしたい

 暗くなる

高感度にすると明るく撮れるぞ!

でもノイズが出ちゃう

こういった感じで動物写真は「暗さ」との戦いになってくる場合が多いのです。特に曇天下の野鳥の飛翔等、光の量も少なく被写体の動きも速い撮影だと、標準的なISO感度の設定だと真っ暗になってしまうことも…。

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△ 突如、頭上に見えたワシを素早く撮影。晴天下でもISO1400 △

ISO感度はフィルム時代、100が標準値だったかなと思います。400だと高感度だぜ、明るく撮れるぜって感じでした。でもデジタルになって飛躍的な進歩を続け、高感度でもノイズをかなり抑え込むことが可能になりました。最近のデジタルカメラなら、ISO1600とか3200位でも充分キレイに撮ることができます。サイヤ人ばりの戦闘力です。笑)
さらに革命的だったのは、フィルム時代は原則的に固定だった感度を、デジタルならダイヤル操作で瞬時に変更できることです。これは明暗や被写体のスピードなど、撮影環境が目まぐるしく変わる野生動物撮影には恩恵が極めて大きい。「コイツら、戦闘力を自在に変化させやがる!」って感じです。若い人はもう知らない世代かな?ドラゴンボール。すいません。笑)
被写体の動く速さやフィールドの明るさに合わせて自在にISO感度を変更できる。でも、そんなこと現場でいちいち考えていると、撮影も大変です。

実はデジタルカメラには、被写体の明るさをカメラが判断してISO感度を自動で設定してくれる「感度自動設定」というモードがあります。前回記事で述べたように手振れしないSSに設定しておけば、後はカメラがISOを自動に設定してフォローしてくれる。だから、より目の前の被写体(野生動物)に専念できます。これを利用しない手はありません。

■ 感度自動設定のやり方

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