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ヒグマはなぜ、山に登るのか。 #06

前回の記事更新から、早、1ヶ月。
毎回言ってますが、あっという間ですね。汗)
さて今回は、久しぶりにクマのお話をしてみようと思います。

アンケート結果と、これからお話していきたいこと

以前皆さんにご協力をお願いしたアンケートでは、
クマの話が聞きたいぞ、という結果が出ました。
※ご協力、ありがとうございました!

ヒグマに関しては、足で少しずつ知見を積み重ねてきた、僕にとってとても大切な情報や知識たちです。
…秘密にしていたいような気もするのですが 笑)、やっぱりクマのお話をしたいし、聞いてもらいたい。
ですから今後時々は、僕の知見の中からかいつまんで、皆さんに少しずつ、クマの生活を想像してもらえるようなお話をしていきたいと思います。

ただどうしても、クマの話は生態や、フィールドでの話が中心になるため、写真のお話、というよりもより自然観察の内容に寄っていくことになると思います。もちろん「身近な自然」の話や、「撮影機材やテクニック」など、写真よりのお話も、今後もしてまいりますので、よろしくお願い致します。

※ クマの話に関しては、僕のヒグマ観察における個人的経験と推測に基づいており、科学的裏付けはありません。予めご了承ください。

■ ヒグマは山が好きなのか?

さて本題。ヒグマはなぜ山に登るのでしょうか。
クマが山の上にいるって、当たり前のことのようですけど、そこには、きっと理由があります。たぶんその理由が無ければ、クマは山に登らないんじゃないかな…。特に森林限界を超えれば、身を隠すところも少ないし、そんなに食べるものが多いという印象もありません。

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僕がまだ動物を探すようになって間もない頃、山の上、森の奥へと目が向いていました。クマもシカもイノシシも、山の奥の方にいると思っていたんですね。人気が少ない山の上に登れば、動物たちに会える可能性も高まると。
…でも実際、そういうわけでもないんですよね。
人間が過ごしやすい場所(地形)は、動物たちにとっても過ごしやすい場所であることが多いんです。平地の方が歩きやすいのは動物も一緒。反対に人間にとって過酷な状況は、動物たちにとっても楽な世界ではない。それでは、なぜ街中に動物を見かけることが少ないのか…。答えは「人間がいるから」。あたりまえですね。笑)
ざっくり言うと、文明の力で良い場所を占拠したのが人間であり、そこから追い出されたのが野生動物たち…と言えるのかもしれません。
例えば、今突然、とある大きな街から人間が一人残らず消えてしまったら…その街は数年後には野生動物たちの天国になっているかもしれません。
余談ですが、これは今現在の野生動物の個体数増加や生態の変化を考えるうえで、けっこう重要な要素なのではないか、と僕は考えています。

だからヒグマたちも、皆山が好きでそこに住んでいるわけではない、って僕は思うんですよね。街中に暮らすことは難しくても、人目につかない森や茂みの中なんかが、彼等にとって過ごしやすいのではないかなって思うのです。もちろん、個性豊かなクマのこと、中には「お山大好き」なクマもいるかもしれません。ほら、人間でもいるじゃないですか。それで周りの人に「なんであんなしんどい山登り、好き好んでやるのかね?」って言われちゃうような…。笑)

だから、クマがわざわざ、しんどい山登り(といってもクマの脚力なら人間より簡単に登れてしまいますが)をする理由っていうのを考えてみるのが、クマをより理解する糸口になると思うんです。

■ クマたちにとって、最も辛い季節とは?

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