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出会うだけの存在ってちょっぴり悲しい

歩行者用の信号が青になり、横断歩道の電子音が流れはじめる。一緒に信号待ちをしていた小学生の男の子は、あっという間に僕を追い越して行った。一筋の風が、コンビニの街路樹を揺らしている。いつもと何も変わらない、平日の夕方。久しぶりのワークアウト。


もう4kmは歩いただろうか。さすがに疲れてきた。
橋を二つ三つ隔てた向こう側に道頓堀の灯りが見える。あそこには今日も人が大勢集まっているのだろうか。


自販機に小銭を放り込んでスポーツドリンクを買う。少し疲れたので橋のたもとからぼんやり賑やかそうな灯りを眺めていた。


目の前を車が勢いよく走り去って行く。
そんなに急いでどこに行くのだろうか。


ふと足元を見るとカタツムリの殻が転がっている。
こんな晩秋の季節にカタツムリ、、、
拾い上げて中身を覗いてみても主人は不在のようだ。
なんとなく寂しい気持ちになって来ました。
主人はどこへ行ったのかい。引っ越し?そんなわけないよね。


人間とカタツムリが合うことができる時期は一瞬なんだ。雨のしたたる梅雨の季節だけ。昔からそう決まっているんだ。僕たちは出会うだけの存在。だから、こんな時期にこんな所で出会うことなんてできないんだ。


出会うだけの存在。
それ以上になろうとしても、なれないんだよね。
なんだか僕たちはお互い不思議な存在なのかも知れないね。
僕がそう思うのだから、君だってそう思うだろ。


梅雨の時期はとっくに終わってる。
だるような夏の暑い時期も通り過ぎてるよ。
主人は死んじゃったのかな。だから殻が転がっているのかな。


主人がいなくなったカタツムリの殻。
主人がいた時も、こうして道頓堀の灯りを遠くから眺めていたのだろうか。
カタツムリさん、もしもどこかに旅に出かけているのなら、早く戻ってきてね。来年の梅雨の季節、今度こそここで会おうな。


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最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
体調を崩さない様にご自愛ください。🍁


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