詩『Love Letter』

題名
『Love Letter』
(隠しテーマ・届かぬ想い)


実家の押し入れの奥にある段ボール箱
その中に突っ込んであるラブレター
古い映画を見て真似た
携帯電話の文字では軽すぎる気がして
文字を書いてみたんだ

何日もかけて書き直して
必死にきれいな文字で書いたラブレター

なのに渡せなかった

親友のあいつと付き合い出したと
聞いたから

なんとなく距離をとった
少しずつ会わなくなっていった

そして、歳月は流れた

今日は黒いネクタイをしめて出掛けた
香典の金額に少し悩んだ

会場は狭くて
人も少なかった

君の子供らしき女の子が
はしゃぎまわって遊んでた

棺(ひつぎ)の君は
大人の女性になっていて美しかった

君のお母さんとも挨拶して少し話もできた
「ああ、名前は覚えてます」
「同級生で娘の初恋の方ですね」
「あっ、怒られちゃうかな?」
「秘密だったかも」
そう言って笑ってから少し泣かれていた

初恋?

その言葉のあとは何も聞こえなくなった
考え込んでしまった

君はどんな人生だったんだろう
無性に知りたくなった

久しぶりに親友と連絡をとって
ある日、酒場で会った

お父さんの仕事が大変だったことは知っていたが、そんなに借金で苦しんでいたとは知らなかった。君はお父さんが大好きで優しい人だった

水商売で支えていたがお父さんは自殺して、お客の不倫相手との間に子供ができてからはシングルマザーでかなり無理をしていたらしい

居眠り運転による事故だと言われているが、自殺の疑いも消えていないと言っていた

それから、親友とは付き合っていなかったことが分かった。親友は彼女に告白したが振られたらしい
だが、昔はそれが恥ずかしくて黙っていたらしい

実家に帰った

押し入れから段ボール箱を引き出して
ラブレターを読んだ

もう、届かぬ想い

もしも届いていたら
君の人生は変わっていたのだろうか
俺は何もできずに
君は同じ人生を生きたのだろうか

遅すぎたけれど
愛してる!

心に残っていた恋に
やっと気づいた

そして
子供のように声を出して泣き続けた




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