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ミルクファクトリー 〜工場長奮闘記〜

爆誕

2月9日肉球の日に3325gで産まれた、おっぱい大好き真旺ニャン。大きなトラブルもなく無事生後1ヶ月を迎え、現在生後38日(1ヶ月と10日)、4200gぐらいになりました。ぐらい、というのは、おっぱいやミルクを飲んだり、オシッコうんちをしたりすると、測るタイミングで100から200変動するからです。おっぱい飲んでねんねして三歩進んで、オシッコうんちで二歩下がる、そんな感じで、日々一進一退にズッシリして行きます。

母乳は、哺乳瓶で測って作る人工ミルクと違って、何ミリ飲んだか分からないので、飲む前と飲んだ後でベビースケールにのせて、どれくらい増えたかを測り、10g増えていたら10ミリ飲んだと判断します。産院にあった精巧なベビースケールは高くて手が出なくて悩んでいたら、ちょうど1年前の2月に娘が産まれた弟から、神がかったタイミングで『家庭用ベビースケールいる?』とLINEがあり、小躍りして喜びました。真旺ニャンは、服からミルクからおしりふき、おくるみ、マザーズバッグ、おしゃぶり、ベビーカー、おもちゃ、などなど、ほぼ人様からのお下がりといただき物で、スクスクさせていただいております。(感謝!!)

赤ちゃんが産まれてすぐ、ママの身体は、これまでの妊婦仕様を店じまいして、新しい仕様に変化していきます。その慌ただしさは、突貫工事、内臓の位置から骨格、ホルモンの変化に身体がついて行かず、産後の肥立ちが悪くなりがちなのは、ある意味当たり前。赤ちゃんのために水分で水増しされた大量の血液が、出口を求めて大慌て、ホルモンに促されて乳腺が開き、怒涛の母乳工場創設、地鎮祭が始まり、熱が出ます。母乳はママの血液。『血液、赤血球抜きで』みたいな我儘オーダーを受けて、赤ちゃんのために工場長は腕を振るってフル稼働スイッチオン、正に血の滲むように頑張るのです。

母乳がふんだんに出て、ミルクなしで育てる事を『完全母乳育児』略して『完母』、母乳とミルクを併用して育てる事を『混合育児』略して『混合』、ミルクだけで育てる事を『完全ミルク育児』略して『完ミ』と呼びます。

母乳産生の主役はプロラクチンというホルモン。妊娠中は胎盤から大量に分泌される性ステロイドホルモン(エストロゲンなど)が脳の下垂体に働きプロラクチンの産生を促進し、このプロラクチンが乳腺や乳管の発達を促進します。そして、もう一つのホルモン、オキシトシンが乳腺の筋線維を収縮させて母乳分泌を促します。出産後なるべく早く赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう事で、母乳がより出やすくなるとの説があります。出産直後にすぐおっぱいを含ませる病院もあるとか。

私の場合、妊娠高血圧症を発症しており、出産1日目にして、頭痛と腹痛と胸痛で大病院に救急搬送され入院してしまい(検査結果は血圧関係なく筋肉の痙攣だったみたいですが)、真旺ニャンと一緒に過ごせたのは、2日目から。出遅れ感を感じながら、授乳を開始しました。入院中はずっと、にじむ程度に数滴しか母乳は出ず、人工ミルク20ミリスタートでした。その時は、例えにじむ程度でも自分の身体から、白っぽい液体が出てくる初体験、それ自体が新鮮で、ママになった実感と共に、感慨深く、不謹慎かもしれませんが、すごい!何か出てる!面白い!というのが正直な感想でした。3時間おきに、たくさん出てこいの儀式のごとく真旺ニャンに吸ってもらってから、哺乳瓶でミルクをあげていました。授乳のたび1滴ずつ量が増えて、初めてゴックンを聞いた時は、何だか胸がキュンキュンジワジワきました。そのキュンキュンジワジワは、もちろん感動もありますが、ちゃんと理由があって、赤ちゃんの吸啜(きゅうてつ)により、脳から幸せホルモンのオキシトシンが分泌され、乳腺が反応し母乳を押し出す作用を誘発する、それがキューンという皮膚感覚になるのだそうです。

ストレスから脳を守ったり、パニック発作を鎮めたり、自律神経を整えたり、と体に嬉しい効果が盛りだくさんなオキシトシン。陣痛促進剤にもオキシトシン。出産後の子宮収縮にもオキシトシン。ぬいぐるみや猫をモフっても、人の温もりを感じても、勝手に出てくるオキシトシン。視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年に分子構造が決定されたオキシトシン。食欲抑制や脂肪分解効果も発見され、夢の肥満薬とも呼ばれているそうな。オイ、オキシトシン、スゲーナ!と、授乳しながらスマホでオキシトシン検索して、ため息ついた午前4時。

退院前日になっても、母乳は10ミリも出ませんでした。完母への憧れはあるけど、まぁ、オカンも母乳あんまり出る方じゃなかったと言ってたし、遺伝的に出にくいのかもしれないし、混合育児でもいいか、とオヤツを食べながらノホホンとしておりましたところ、病室に、綺麗な白髪の、見るからにベテラン然とした、おっぱい相談員さんが来てくれて、30分ほど育児がいかに幸せな時間だったか、仕事復帰の難しさもどかしさ、など、体験談を語ってくれ、絶妙な力加減でモミモミしていただきました。その10分後、外来で退院前診察を受けている時に、突如!身体がカーッと熱くなり、熱が36.3から37.1に急上昇。鉄道が開通するときにリボンをハサミで一斉チョッキンして拍手喝采みたいな、そんな感じで、乳腺開通。その、まさに、カーッが来たとき、診察台で赤ちゃんEXITの縫合部の糸をハサミでチョッキンされてヒーッとなっていました。そんな状況で、母乳工場はゴゴゴと稼働しはじめたのです。破水プシューッから出産オギャー、救急搬送ピーポーピーポー、カーッときてヒーッ、次から次へ、忙しいこと。

ちなみに、予定日から1日遅れでこの世に誕生した真旺ニャンですが、予定日の日をまたぐ夜、こんな絵を描いておりました。

予定日の夜、きっと今こんな感じ

この絵の色を入れていたら、プシューッと破水。ウケるー!と、陣痛タクシーに乗って病院へ慌ただしく出発したという、、嘘みたいなホントの話です。

さて、私の身体が素直なのか、おっぱいエキスパートが神の手なのか、その後、岩のように硬くなったおっぱいちゃん。退院翌日、絞るとピューッと斜乳、生後1週間の真旺ニャンは、むせながら、ゼコゼコ苦しそうに息も絶え絶えにおっぱいちゃんとランデブー、お腹パンパン。満腹中枢が未発達な新生児、一気に110ミリ(体重が110g増)こりゃ飲み過ぎ、吐き戻しはないものの、こんなの続いたら過飲症候群や!と大慌て。でも、心のどこかで、これで私も『完母』の仲間入り?と、妙な高揚感と誇らしさを沸々と感じました。おっぱい工場長に拝命され着任、そんな感じ。(どんな感じや)

そんなこんなで、思いがけず母乳爆発した我がミルクファクトリー、完母に向けて最先のよいスタートかと思いきや、顎の力が弱いのか、すぐ疲れ果てておっぱい寝落ちばかりな真旺ニャン、通常1日に8〜10回の授乳が、寝落ちで中断されるため、20回超え。ママはトイレとお風呂とご飯もままならない。お腹の容量も少しずつ増えて、容量オーバー過飲が落ち着いたと思ったら、今度はチュパチュパしてるものの、吸うと言うより咥えるだけで、ポタポタ出てくる母乳を口に溜めてゴックンという、俗にセレブ飲みと呼ばれる受け身な飲み方ばかりになってしまいました。確かに勢い良く出る母乳を気管に吸い込まないための真旺ニャンなりの工夫なのかもしれませんが。。そんな弱っちい飲み方&寝落ちコンボ、工場は常に吸いきれない在庫を抱える事になり、このままでは乳腺炎になる!と工場長は焦り、パンパンになる度に搾乳して哺乳瓶で飲ませておりました。完母育児の宿命として、乳首が過労で出血したり、千切れたり、いつのまにか赤血球入りミルクを飲ませてたよ、とか、ホラーな話を先輩ママ達から聞いてガクブルしていたため、まぁ、これはこれで乳首防衛になるかと、納得していたのですが、、、

おっぱい星人襲来

2週間検診で、成長曲線(体重増加率)が足りていないから、このままだと先生に注意されるかもしれないからミルク足してと言われ、完母ではなく混合で行きましょうと、助産師さんから強く指導を受けました。母乳は痛いほど出てるのに、搾乳では吸わせるのと違い、搾れる量に限界があり、かと言ってちゃんと上手に飲めないなら、弱い吸啜でも飲める哺乳瓶ミルクでカロリー摂取を、との事。憧れの完母よ、さようならと、腹を決めて、デザートミルクを導入。工場長、同業他社との事業提携をやむなく受け入れました。

そして、生後一ヶ月を目前にして、今度は、だんだんおっぱいが張らなくなり、母乳量がみるみる減っていきました。だんだんたくさん飲めるようになって来た真旺ニャンは、母乳メイン、デザートミルクでは空腹を訴えギャン泣きするようになりました。おっぱいは、寝落ちのお供的な存在に降格、ミルクの量が、20ミリから、どんどん増えて60ミリ、80ミリ。。この頃には、真旺ニャンは1回に110ミリ飲めるようになってました。反対に母乳は、最大110ミリ出ていたのに、減りに減って30〜40ミリ。完全に他社に敗北。あくまでも真旺ニャンの満腹が目標、勝ち負けじゃ無いんですが、最初にたくさん出ていた分、悲しくなりました。

色々な病院のコラム、ママ達の体験談などをスマホ検索したら、出産後2週間は爆発的に乳腺が発達し、たくさん出ていたとしても、ある程度経つと、母乳量は落ち着いて、必要とされたとき必要とされた分だけ出る『差し乳(さしちち)』という状態になる事もあるとの事。溜まり乳から、差し乳へ。そんな事もあるのかと、目を白黒。そして、吸われ続けないと、おっぱいちゃんは、働くのを辞めると。ガーン。ミルクファクトリーの操業条件は、継続的な需要と供給システム。吸われ続けなければ生産されない、泳ぎ続けないと息ができないマグロのようなものだった!なんてこったい!

このままでは、混合ではなく、完ミになる?完ミは便秘になりやすい?確かに、最近便秘気味!お腹マッサージしないと出ない。歯が生えるのを待たずに、おっぱい工場はこのまま自然閉鎖?と、工場長はわずか数週間を振り返り、着任日の華々しい瞬間を思い出して、みじけえ夢だったなぁと、ため息。でも、諦めきれない工場長、一社独占の完母でないまでも、何とか母乳量を少しでも増やせないか、他社にはない自らの強みをアピールできないか、色々また検索。そして、1ヶ月検診の日に、それを助産師に相談してみました。

曰く、パンパンに張った状態で、搾乳し続けると母乳量は減り続け、搾りきれなかった分は、不要分として換算され、生産されなくなり、断乳に向かうと言われました。搾乳するなら、パンパンになる前に、コンスタントに搾るべし、そして、母乳量が安定してくると張らなくなるが、母乳はちゃんと出るから、根気よく回数増やして頻回授乳し続ければ、量は保たれる、ミルクをあげすぎると、腹持ちが良くて授乳回数は減るから、母乳は減っていくと、、、工場長は、唖然。知らんし!早よ言えやーと涙目になりました。せっかく、たくさん出てたのに、人生初めての工場長着任、己の無知から母乳生産量が減る事ばかりしていた事実に、絶望のチーンが聞こえました。

ミルクが増えると、消化に時間がかかるので腹持ちが良く、よく寝るようになるが、授乳時間が減り、吸わせる時間が減れば減るほど母乳は出なくなる、出なくなれば、赤ちゃんは空腹を訴えてミルクに頼るという、母乳で育てたいママからすれば負の連鎖が起きる、早く職場復帰したいママにには逆に好都合、との事。私は、産休育休ふんだんにとる覚悟で里帰り出産に臨んでいる身なので、なるべく母乳で育てたいですと言ったら、年齢的にも30ミリでも母乳が出るだけで偉いですよ、と。励ましや慰めのつもりで言った言葉かもしれませんが、そもそも最初から若いママとはスタートラインが違うんですよと、ぶった斬られたような気持ちになりました。その後、色々ネット検索で調べてみた事について質問を重ねていった結果、病院によって育児指導に流派があるという話が出て来ました。そして、助産師さん曰く『私個人的には母乳派なんですが、病院の方針もあるので..』と。え??

産婦人科業界では、完全母乳推しの『完母派』と、臨機応変の『混合派』という派閥というか流派という宗派というか、そんな微妙な教義対立があるそうです。完母意識の強い派の中には、母乳以外認めないみたい!みたいな、ある意味宗教的、偏狭的な極端な母乳第一主義なところもあるそうです。そんなところで、ミルクなんかあげようものなら、指導が入り、母乳が出にくいママ達の間では、内緒で飲ませるミルクは、"闇ミルク"と呼ばれるとか。なんじゃそのカルト。赤ちゃんの成長曲線(一日に何グラムずつ増えて行くか)に対する考え方も違い、健康維持ギリギリでも母乳が増える事に重点を置き、ミルクは必要最低限にして、なるべく母乳を誘発し、多少成長は遅くなるが、それも良しとする流派もあれば、混合前提のカロリー摂取を元に、体重増加率目標が高い流派もあり、時代に合わせて、働くママ達の生活スタイルを第一に考えて、ミルク推しの流派もあり、病院が何派なのかによって、色々と育児に関する考え方、重点の置き方、育児指導が違ってくるのだそうです。そんなの初めて聞いたし、どの病院がどの流派なのかとか、どうやって調べるのか、知らずに病院選んで、知らずにその流派の指導で育児方針をとれば、現実とすれ違いまくるのでは、と驚きました。

完母で育てたいママが、混合派の病院で出産したら、母乳分泌のメカニズムを無視して、成長曲線だけに重点を置いてミルクを飲ませるよう勧められて、悪循環から母乳が出にくい状況に追い込まれたり(私じゃ)、逆に職場復帰や、家庭の事情などで授乳に時間が取れない、または体質的に完母は難しいのに、完母こそが育児の醍醐味、母親になるとはそういう事だと、授乳を強要されて、睡眠不足やストレスで体調を崩してしまったり、罪悪感を持ちながら闇ミルクに手を出す自分を責めたりとか、希望する育児とそれを後押しする体制、需要と供給のマッチングが上手く行かなかった場合、どうなるのか、とても怖いすれ違いだと思いました。母と子、共に置き去りの教義対立、本末転倒な歪みのように感じました。

正しい情報とは何なのか。色々スマホで検索できる世の中、その検索自体も、自分の知りたい情報、自分の好みの結論しか出てこないのは事実。興味のあるニュースばかり読んで、興味のないニュースは表示されなくなるネットニュースの落とし穴的に、全ては個人に最適化されていて、その人の見たいものしか見れない世界に陥りがちな現代です。何を選択し、何を信じ、何を実行するかも自由、結局は本人がどうしたいか、それぞれの判断に委ねられているのが現実、確かにそうです。でも、病院にそんな事情があったなんて、いくら情報の溢れた現代でも、関係者や経験者でないかぎり多くの人は知らないので、事前選択のしようがないのではないか、と愕然としました。

相談の最後に、この病院も、1ヶ月検診終わって、次回乳児検診で卒業ですし、とやかく言われる事もなくなるので、そんなに完母を目指したいなら、極限までミルク減らして、赤ちゃんに頑張ってもらって吸わせてみるのもありですよ、やるだけやってみて、ダメだったら混合にすればいいと思いますと助産師さん。立場に縛られ、個人の価値観とは違う世界に身を置いて、自らの家庭を守るため働いている人はたくさんいます。彼女も、きっと個人的には母乳派でも、病院の指導としては混合推しをしなくてはいけない葛藤の中で、勤務しているんだと思います。

最後の最後に、散々質問攻めにしてやっと、自分の失敗、過ちを知り、自分が置かれた状況を知る事ができましたが、あとの祭りです。産婦人科は、つまらない教義対立なんかサッサとやめて、授乳が始まる前、定期検診や入院時に、出産後の生活スタイルも加味して、どんな育児希望かを先に聞くべきです。例え希望した通りにはならなくても、方向性だけは明確にしておくとか、カウンセリングが必要だと思いました。業務上、そこまで構ってられないのかもしれません。完ミ派の病院の中にはミルクメーカーとの大人の関係もあるのかもしれません、でもミルクが必要な人は一定数必ずいます。完母希望か、混合希望か、完ミ希望か、どれでもいいけど臨機応変にとか、ママの方針を聞いて、病院の方針のフレームにママ達をはめるのではなく、こんなフレームだとこんな感じ、他にはこんな選択肢もありますよ、とか大雑把にマニュアル化すべし、と思います。

この4週間の右往左往を、減ってしまった母乳をどうしてくれる、と思いましたが、それこそ、病院側としては、まぁ、母乳出ないなら体重減らなくて残念だけど、ミルク育児もありでしょうくらいにしか言わない流派ならば、どうもこうもないのでしょう。色々言いたいことはありましたが、助産師さんにそれを伝えたとて、どうする事もできないし、苦しめるだけだし、貴重な休憩時間を奪ってしまうと思ったので、業界の深い所まで突っ込んだ、とても為になる話をありがとうございましたと、言って退席しました。

で、結論、工場長は決断しました。試しに1週間、一日中ベタ付きで頻回授乳をして、真旺ニャンにはちょっと空腹で辛い思いをさせるかもしれないけど、ミルクは極限まで与えないで、空腹をバネにしておっぱいちゃと対話してもらおう、工場を再フル稼働させるための、努力をしてみよう、と。一日2リットルの水分補給、食事量、食事内容の見直し、睡眠時間確保、肩凝り改善のストレッチ、お風呂で身体を温めて、血行促進にエレキバンを肩首肩甲骨胸に張りまくり、首を冷やさないように貼るカイロを首タオルして、母乳のためのハーブティーを飲み、オムツ交換の時以外はなるべく抱っこ紐で肌を密着させオキシトシンを誘発、などなど、母乳増量に良いとされている事全てやって、母乳強化合宿のような生活をスタートしました。やれる事を最大限にやってみて、それでもダメなら、与えられる限り与え、搾れる限り搾乳して、メインディッシュは他社ミルクに席を譲り、工場は閉鎖に向けて、寝落ちのお供に徹しようと。


初日はさすがに、真旺ニャンも空腹でギャン泣き、頑張って!おっぱいちゃんも頑張るから!一緒に頑張ろう!と励ましながら、一日中ベタ付きで授乳。中々量が出てこないため、満腹で寝落ちではなく、泣き疲れて寝落ちという、何とも可哀想な佇まいに心折れそうになりましたが、心を鬼にして我慢。極限状態に追い込む事で、真旺ニャンは目の色を変えて、セレブ飲みをやめて、動物的本能で、鼻息荒くむしゃぶりつくようになりました。(可哀想だけど、可愛い)

2日目、心なしかゴクゴクと喉を鳴らす時間が伸びたように感じます。何となく授乳時間も増えているような、いないような、微妙な変化。相変わらず泣き続けるので、ミルクを40ミリだけ与えたら、ぐっすり4時間寝ました。寝顔を見ながら、おっぱいマッサージ。

1週間が経過。生産量は、平均60ミリを突破、更にだんだんと量が増えてきて、おっぱいの張り感、ムズムズ感も戻って来て、ついに、母乳だけで真旺ニャンを満腹寝落ちさせ、3時間睡眠を取らせることに成功しました!パチパチ。まだインターバルが必要で、一日10回以上の授乳の全てを母乳で乗り切る事は叶わず、お昼にデザートミルク40ミリ。夜はホルモン分泌が盛んになるため、頻回授乳。

そして、ついに昨日、ミルク無し、だいたい2時間半おき授乳11回、空腹泣きなし、途中寝落ちはあるけど、すぐ起きて満腹まで吸い切って、ちゃんと2時間以上寝る、完母を達成!快便快眠、起きてる時にニコッとしてくれました。感無量。

新生児スマイル以外のスマイル

強化合宿中は、体重を測って何ミリ母乳が出ているかを、敢えて測らないようにしてきました。数字に一喜一憂する事がストレスにならないために。またベビースケールで、どれくらい母乳が出ているのか把握して、今後さらに真旺ニャンの胃袋が大きくなった時に、再びデザートミルクが必要かどうかを検討していきたいと思います。

工場長着任から1ヶ月と少し、紆余曲折、山あり谷あり色々ありましたが、ようやく円滑操業の軌道に乗せられそうです。共に闘ってくれた取り引き先我が子に愛しさもひと塩。たくさん泣かせたし、吸わせたため、顎の力、吸啜力、肺活量もアップしたように見え、少し逞しくなったように感じます。おしゃぶりも落とさずにチュッチュしながら寝れるようになりました。添い寝おっぱいは、乳首温存のため、おしゃぶりさんにその役割を委任。成長したね、真旺ニャン。そして、授乳のために一日中ずーっとくっ付いていたので、スキンシップも増えて、オキシトシン量も増えて、それがさらに母乳量にも影響し、共に闘った戦友としての絆も深まりました。工場長は、充実感と自信とメインディッシュの座を奪還したのであります。

ドヤ顔のアヒルさん

おっぱいコンディションは、人それぞれ。高齢出産は母乳が出にくいという説も、よくよく調べてみれば年齢に関係なくママの体質、生活環境によるものだという説もありました。ストレスや蓄積疲労、睡眠不足などによって母乳は出なくなったりします、また私のように無知で、おっぱいが張ってこないから母乳は出ない、搾乳しても少ししか出ないから、ミルクをあげなくてはいけないのだと思い込み、頻回授乳しなくては量が増えないと知らなくて、自ら母乳を減らしてしまう行動をしてしまう事もあるのです。正しい知識を持った上で、家族の支え、母乳外来の助産師さんのアドバイスやマッサージなど、物理的、精神的サポートの中、リラックスした環境の中で母乳はフツフツと湧いてくるものなのです。また、それでも、どんなに努力しても先天的に乳腺が発達していなかったり、母体の持病の投薬などで母乳をあげる事ができない悔しい現実もあったりします。

『完母』だろうが、『混合』だろうが、『完ミ』だろうが、赤ちゃんの発達に大きな差が出るわけではありません。ただ、ママの既得免疫を獲得できるという点、便秘にならないという点だけは母乳の強みとしてキラキラしています。ママ的にも『完母』は本能的精神的に充実感があり、私もそうですが母になったという確かな形として、象徴的な憧れがあったりします。ただその分、育児に拘束される時間も増えます。コレ、家事や上の子のお世話、介護や仕事してたら、よっぽど努力しても無理ぽ、と思います。ましてや、産後の肥立ちが悪かったりしてたら、睡眠不足で死亡フラグ。家族のサポートありきの、贅沢な時間なのだと、改めて思います。

そして、完母を希望しない人も、希望していても事情があって実現しない人もたくさんいます。母乳をあげると胸の形が大きく崩れるため、敢えて搾乳を選択し早めの断乳をするモデル業のママがいたり、事情があって混合になり、完母でない事をコンプレックスに感じるママもいたりします。仕事、体質、現実との折り合いも大切。出来ない事にストレスを感じるのも良くないし、全てを完璧にやる事は不可能だし、できる限りの精一杯を重ねていくのが、育児の第一歩だと思います。これが絶対の正解というのはありません。そして、できる限りの範囲を、少しでも広げて行きたいという思いも大切。

時代の進化や研究の進化により、昔の常識今の非常識的な話は、どの業界にもあって、育児についても、時事刻々通説が変化していっているにも関わらず、昔の人が今の人にアレコレ言って、対立する事はよくある話。情報過多の現代においては、目から耳からも入ってくる選択肢が多すぎて、我が子のために本当に正しい育児とは何なのか、頭を悩ませるママ達はたくさんいると思います。案ずるより産むが易しとはいいますが、なるべくなら事前知識も豊富に仕入れて、いざ本番という瞬間の武器の一つにはしたいものです。今回のような、無知のためのあとの祭り、過ぎてしまった時間と間違った労力の取り返しがつかない事例もあります。もちろん、取り返しがつかなくても、後から軌道修正や切り替えはできます。そのためにも、溢れる情報から正しい知識を深める事も必要。

今後も、母乳の事だけではなく、色々調べて、考えて、学んで、身近な経験者にリサーチしたり、プロにアドバイスをもらったり、最新の研究に触れて、そして、何よりたくさん真旺ニャンと触れ合って、オキシトシン全開バリバリで、ストレスフリー幸せいっぱい胸いっぱいに楽しんで、アレコレ右往左往、あっちゃこっちゃ振り回されながらも育児をして行こうと思います。

ご機嫌ダンシング


最後に、

工場長、容赦ない納品を求める取引先を相手に夜勤中の、つぶやき。


『そういえば、、出産したら酒飲むぞー!と散々言っていたのに、授乳勤務終わるまで、しばらく飲めないではないか!!なんてこったい!』

何かを得る事は、何かを失う事でもある、また一つ学んだ工場長。今夜も、眠い目をこすりながら、取引窓口である乳首さんに、メンテナンス保湿保護クリームを塗りたくるのでありました。

ちゃんちゃん~(=^・ω・^)

長々と読んでいただき、ありがとうございました。

これ、絶対やりたくなるやつ
かっこいい

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