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[書評]マーケティングのプロや経営者も必読!「売れる」の原点に立ち返れる1冊

難しいことが易しく書かれた、本格マーケティング本

ブランディングとは何か? そしてマーケティングとは何か?

これについて人と話し合うと、まさに十人十色で様々な意見が飛び交うことになります。

本書は、数多あるマーケティング関連の書籍のなかでも、マーケティングの本質をリアルにわかりやすく説明している一冊です。

著者の理央周(りおう・めぐる)さんは、フィリップモリスジャパンやアマゾンジャパン、マスターカードなどのマーケティング・マネージャーを歴任する一方、インディアナ大学MBAを取得し、関西学院大学経営戦略研究科の准教授も務めています。

このように理論と実践、その両方を熟知した実務家である理央さんだからこそ、平易でありながら内容は濃密な本格的マーケティング本が書けるのでしょう。

理央さんの書籍はほかにも、難しいことをわかりやすく書かれたものが多く、マーケティングに対する造詣の深さがビシビシと感じられます。言うまでもありませんが、「難しいことをわかりやすく」伝えることほど難しいことはなく、だからこそ理央さんの手腕が余すことなく発揮されていると思うのです。


経営判断に役立つ、ビジネスの上流に関する事例が豊富

位置づけ的には、「マーケティングの入門書」。レビューを読んでも実際にそのような認識の方が多く、またそれぞれの評価も高いです。

しかし、広告、広報、マーケター、ブランド担当者はもちろん、経営者などトップ層の方々、自営業を営む方々にも非常に役立つのではないかと思います。なぜなら、経営戦略や事業戦略などビジネスの上流における意思決定の事例が多く紹介されているからです。事業の責任を担い、経営を左右する決定権を持つ人にこそ響くものがあるのではないでしょうか。

本書は、理論やフレームワークについての解説がありながら、実行する際はどうしたら良いのか?という部分まで事細かに説明されているため、机上の空論ではなく、実際のビジネスに応用しやすいのが特徴です。

一度しっかり熟読してから、本棚に置いて、たまにパラパラとページをめくってみると、今抱えている問題の解決につながるアイデアが浮かぶ。常に手元に置いておきたい本です。

先述したように、難しいことが非常にわかりやすくかかれているため、部下や新入社員などにマーケティングを学ばせたいときの教材本としても最適です。難解な専門書につまずいたら本書で関連する項目を読むことで、知識を補完することができると思います。


売れる仕組みのつくり方が学べる

タイトルが示すとおり、本書は「売れる」状態をどうしたら作れるのかを紐解いていく内容となっています。

売れる仕組みのつくり方は、

1. 「何を」=プロダクト戦略
2. 「誰に」=ターゲット戦略
3. 「どうやって」=プロモーション戦略

この3つを順番通りに考えることだと理央さんは言います。

「何を価値として提供し、誰に、どうやって知ってもらい購入してもらうのか」という、至極当たり前にも聞こえる話ですが、ビジネスが複雑になればなるほど、この本質を見失ってしまいがちです。つい、「どうやって」から考えをスタートしてしまうマーケターの方も多いのではないでしょうか?

「なぜか売れる」商品やサービスは、この3つのポイントをしっかりと押さえ、それぞれのポイントで強みが磨き抜かれているものが多いです。

たとえ、どんなに難しい理論やフレームワークを駆使しても、この大原則をないがしろにしてしまっては意味がありません。シンプルにマーケティングの本質を捉えた理央さんの言葉に、ハッとさせられる瞬間がたくさんありました。

商売の原点に立ち返るという意味でも、日々ビジネスの最前線で戦っているマーケティングのプロや経営者の方におすすめしたい一冊です!




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