茶の湯の本たち#87 千利休の「わび」とはなにか (角川ソフィア文庫)
読み易さ ☆ (三点満点中)
専門的な文書なので、読むのが大変で時間がかかります。
利休の師匠については、一般的には武野紹鴎とされていますが、辻玄哉ではないかという説もあります。
読み終えた後、角川ソフィア文庫の素晴らしさを再認識しました。
このシリーズについて
茶道初心者が茶道の本を紹介する記事です。ほぼ自分のメモがわりです。
本記事では、茶道の初心者向けのおすすめ本を紹介します。
本の中身と関係ないことがほとんどです。
今回の本はこちら
おすすめポイント
本書の分析は、従来の通説を再考しつつ、その背景に潜む思想や意図を探ろうとしている点が興味深いです。
まず、『南方録』についてですが、これは千利休に関する書物の中でも特に謎めいたものです。利休の言動が他の資料には見られない点や、作者の創作の要素が強いとされることから、真実性に疑問があるとされますが、それでも江戸時代前期の茶道の思想を反映した重要なテキストとして高く評価されているわけです。
このように、史実と創作が混ざり合う中で、その時代の茶の湯の精神性がどのように形成されたのかを理解する手がかりになるという指摘は重要です。
また、利休の師匠についても興味深い点がいくつかあります。
一般には武野紹鴎が師匠とされていますが、江戸時代に「茶聖」利休というイメージが作られる過程で、別の説(辻玄哉説)が浮上したという背景があります。
辻玄哉が法華宗の僧侶であったことが、禅との関連性が重視される茶の湯のストーリーとして適切でないという見方も納得がいきます。
ここで見られるのは、歴史上の人物像が、その後の時代の文化や思想の枠組みによってどのように再解釈され、伝承されるかというプロセスです。
現代の千家における利休の説明の中で、辻玄哉の名前が出てくることは、利休像の再構築が進んでいることを示唆しているように思われます。これは、茶道の歴史に対する新たな視点や解釈が生まれつつあることを反映しているのかもしれません。
読んで思ったこと
現代のお点前についてはそれとして、歴史的な観点から安土桃山時代から江戸時代初期のお点前がどのようなものであったのかに興味を持ちました。
私は裏千家の教室に通っていますが、他の流派のお点前を見ると違いがあって面白いです。元々同じステップだったものが変化したと考えられるため、共通部分は昔から続いているのではないかと感じています。
各流派のお点前が多数派かどうかは定かではありませんが、表千家のお点前は茶筅の使い方など、確かに裏千家と異なる点があります。
最後に、角川ソフィア文庫のサイトを見ていると、面白そうな本がリーズナブルに読めそうで、嬉しく思います。
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