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「ゴジラ×コング 新たなる帝国」幸せな夢を見たんだ

監督 アダム・ウィンガード
脚本 テリー・ロッシオ、サイモン・バレット、ジェレミー・スレイター
キャスト レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー

※ネタバレあり


「ゴジラxコング 新たなる帝国 Godzilla x Kong: The New Empire」を観てきました。

日本ゴジラとハリウッドゴジラが同時に映画館で上映している、そんな世界線があっていいのか!?
つくづく良い時代に生まれました。

内容ですが、面白かったです。
単純明快で難しくない、そこがよい映画でした。
どちらかといえばゴジラ×コングよりコング×ゴジラっぽかったですが、ハリウッド版はコングのほうが主役目線になるのはわかっていたのでそれは気にしません。

今作の好きなところは、生命への愛に満ちているところです。
この監督、動物が好きなんだろうなと感じました。

コロッセオで眠るゴジラ可愛すぎる!
イジメられるシーモちゃん可哀想! そうだ、やってやれ!
コング、仲間ができて良かったね!

怪獣と言っても彼らは命と心のある生命体なのだというのが大切にされているのが良かったです。

キャラクターもみんなわかりやすいし、敵を除けば嫌な奴も出てこないので気持ちよく観られました。
獣医のお兄さんは良いキャラしていて好きです。蚊をつぶさなかったときに、虫も同じ命としてみる獣医さんなんだと感心しました。
自分も蚊をつぶすのをできるだけやめようと思いました(ちょうど最近のニュースで知りましたが、蚊はつぶさずに最後まで血を吸って去ってもらった方がかゆくならないのだそうです。あ、でもデング熱が怖いか……)。

ストーリーは良い意味でひねりがなくストレートで、予想や期待を裏切らない展開です。
途中、白い怪獣(シーモちゃん)がいじめられていて「胸糞悪いな、このままやっつけられたら可哀想だな」と思っていたら、ちゃんと救済されました。ゴジラがとどめを促すところが好きです。「そうだ、やってやれー!」と心の中で叫んでいました。
スカーキングが清々しいくらいにワルなので、やっつけられるときにはスカッとします。

最後の生き残りで一人ぼっちなのを強調されていたコングが、今作で仲間を見つけたのは感動しました。同じようにジアにも仲間がいたのはよかったです。
また、少ない人間パートで、アイリーンとジアが絆を深めるのは王道ながらにっこりしました。
ゴジラは一人だけど、それを寂しくは思わず自由に生きるタフネスがある。モスラも犠牲にならずに雄大に飛び立っていった。
みんなが幸せな完璧なハッピーエンドでした。

今回のお話はジアの自分探し、居場所探しのお話でもあります。その過程で、ジアだけではなく、コング、ゴジラ、果てはシーモや子ザルも安息の地を見つけているところが素敵です。ゴジラ、イタリアの寝床大切にしてね。

キングコング、ゴジラ、キングオブモンスターズ、VSコングの流れがあって、ここにたどり着くんだというよいお話。

以下、好きなシーン。

世界遺産!? 知るか! という勢いで気持ちよくピラミッドから何から破壊していくのが爽快です。

ゴジラのしっぽ掴んで運ぶところもアホっぽくて好きです。ちょっと昭和・平成のゴジラっぽいですね。

スカーキングの歯が飛んだ後に、コングが自分の歯を見せるところにニヤッとしました。

地上に出た瞬間、怪獣の巨大さが際立ちます。やっぱり怪獣映画なら街中でのバトルは必須ですね。

モスラと巫女とか、原作リスペクトが感じられるところも素敵でした。ゴジラさんとモスラさんの関係が気になります。最後、気持ちよく飛び立っていく姿にほっとしました。モスラって自己犠牲を払うことが多いので、何も失わず飛び立っていく姿が嬉しかったです。

ところどころ「スーパードンキーコング」に見えてしまったのは内緒。
子ザルが出てきたとき「ディディーだ!」と思い。ゴジラの背からジャンプするところは「ワニを踏んでジャンプするやつ!」と思い。
ディディーが本当は何という名前なのかこれから調べます。

良い映画だったけど一つだけ不満が。
ゴジラとモスラのBGMが聴きたかったよう! どうして流さなかったんだよう! あれを聴くのもゴジラ映画の楽しみの一つなのにっ。
普通は使うと思うので、あえて使わなかったのには意図を感じます。
エンディングでゴジラテーマ(あのアレンジ格好いい)聞けたのは良かったです。吹き替え版だけ? かな?
※久しぶりに『GODZILLA ゴジラ』(2014年)見返したら、こちらでもゴジラのテーマ使っていないですね。

最後に一番大切なこと。


いつか、核の苦しみから解放された、南の島でのんびり暮らす古代生物としてのゴジラを観てみたいです。

上記は、「初代ゴジラ」の感想で、書いた言葉です。書きながら、絶対に叶うことはないだろうなと思っていたもの。
この映画はそれに近いものを見せてくれました。最後のコロッセオでごろっとするの見れただけでもう全てヨシです。目を閉じるところが最高に可愛い。

監督が私と同じ思いでゴジラを描いてくれたのかはわかりませんが、私にとっては今一番見たかった姿でした。
本当にありがとうございます。

本当の意味でゴジラが解放されるには、地上から核兵器がなくならなければいけません。でもこの映画の世界だけでも、幸せな夢を見せてくれて嬉しかった。

(原作では救われない私の推し二人(ゼロとゴジラ)が両方救われる世界が来たなんて信じられない)

これはハリウッド版ならではといえる。日本でゴジラを作るならば、その背景の悲劇性を無視することはできない。
ハリウッドだからこそ、これでもかというくらいにひたすらに強く格好良くそして幸せなゴジラを描ける。歴史的立場が違う以上、被害者性を掘り下げすぎず描くのは下手な触れ方をするより誠実だと思います。
どちらにも良さがあって、日本のゴジラ、ハリウッドゴジラが両翼となって今後のゴジラを生み出していってくれたら嬉しいです。

毎年来年のゴジラを観るまでは死ねないなーと思いながら生きて、何だかんだゴジラが終わってからの10年もちゃんと生きてきた私です。
そうしたらハリウッドでゴジラがまた作られて、日本でも作られて、日米2本もゴジラが映画館で同時に上映される時が来て。アカデミー賞視覚効果賞を獲って。コロッセオでごろりと幸せにすやすやしてて。

生きていればいいことがあるものです。

創作物は命を左右しないし、しない所が良い所だと思っています。
そのうえで人生を豊かにして、「生きててよかった!」と思わせてくれることがあるのが好きです。
やめらんねーよお、作るのも、観るのも。



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今年9月5~19日、島田つきの個展を開催します!
2024年9月末に活動11年目を迎えるに際しての10周年企画。

日時 2024.9..5 木 -19 木 9:30‐17:00(最終日12:00まで)※火曜定休 ※受付16:30まで
場所 海とくらしの史料館 2階特別展示室 〒684-0016 鳥取県境港市花町8−1
無料(展示会場)
主催 Atelier Tuki(アトリエ・ツキ) 島田つき

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