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『シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 』

2021年上映(日本)
企画・原作・脚本/庵野秀明
声の出演/緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、


※ネタバレあり


 第三新東京市に襲来する謎の生命体「使徒」と、14歳の少年少女たちが人型兵器「エヴァンゲリオン」に乗って戦う。
 ニア・サードインパクトを起こしてしまい、フォーズインパクトを起こしかけ、友だちのカヲルを死なせ……次々と起こる悲劇に耐えられず、自分で動くことを止めてしまったシンジ。
 アスカに促されながら向かった先で、思わぬ再会が待っていた。

 シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観てきました。

 この作品は間違いなく歴史に残る、語り継がれる作品だと思いました。絶対にそうなってほしいしそれだけの価値があります。

 これは観る人それぞれが持つ呪縛から解放してくれる作品だと思いました。
 前を向ける作品です。

 旧劇場版が痛みの先にかろうじて希望を残したものならば、今回はさらにその先を行く内容。
 14歳の少年少女(私たち)が大人として独り立ちしていくための物語です。

 とりあえず、私視点の感想で一言。

 ケンスケいい男になったなあ……!

 直感的に「私はゼロ(相田剣介)の呪縛から解放された」と思いました。(ゼロについてはこちら
 これは私にとっては一歩大人になれたと言い換えられる重大なことです。「愛と幻想のファシズム 」の偏執的な感想を読んできた方ならその意味がわかるでしょう。
 そういえば「愛と幻想のファシズム」を読んでだいたい14年なんですよね。

 私は旧エヴァのアスカに感情移入していて大好きでした。また、相田ケンスケが好きでした。

 感情移入していたアスカと好きだったケンスケが引っ付くなんてエモ過ぎる!!

(ちなみにアスカが好きだったところは、ママ関連のエピソードが大きいです。そこはシンエヴァだと描かれていませんが、元をたどるとどこかにあるのかな?)

 旧エヴァを観ていたころ、アスカに感情移入していたから、(アスカが)好きな男の子と絶対に引っ付いてほしかった。だからシンジと引っ付かない未来はいやだった。
 アスカはシンジと結ばれる、それ以上のハッピーエンドが子供の頃の自分にも、10年前の自分にも描けなった。
 でもそうじゃない幸せもあるし、それが大人になるってことなんだと思えた。


「好きだったよ」って言うの、悪い言葉じゃないんだ。

 好きだった相手を、ずっと好きでいることが大事なんじゃない。新しい居場所を見つけるのは悪いことじゃないんだ。

 浜辺のシーン。旧エヴァの再現。あの時描かれたのはアスカとシンジのはじまりだった。でも、今回は終わりであり、新たな二人の道。
 旧エヴァで描かれた希望と再生の、さらに一歩先。

 切ない。でも、これは必要な事。

 たぶんQの直後くらいだったら、今回の内容は受け入れられなかったと思います。でも10年経ってその分大人になったのであろう自分は受け入れられました。
 そういう意味で、Qからの10年の空白は私にとっては必要なものでした。
 よかった。私ちゃんと成長してた(笑)。


 ケンスケを好きでよかった! アスカに感情移入していて良かった! 今回ほどそう思ったことはない。

 んなわけはないが私のために作られたようなラストでした。


 庵野さん!! 庵野さん!!!! 庵野さん!!!!!! ありがとうございます!!!!!!


 私は一番好きなキャラクターはゼロ(相田剣介)だと決めて約14年間過ごしてきました。

 エヴァの相田ケンスケも好きだったけど、まさかこれを塗り替えるのが彼になるとは思っていなかった。

 でもケンスケ以外のキャラクターだったら、塗り替わっていなかったと思う。可逆性はなくとも連続しているからこそ私の心が動いたのだ。あ、なんかカヲルくんの言っていた罪は贖える話に通じる気がする。ここからきっと一歩一歩進んでいく。アスカとシンジのように。連続性がなくても新しい何かを受容できるようにきっとなる。

 もちろんゼロがどうでもよくなったとかじゃない。ゼロが好きだった今までがあったから今に感動しています。
 ケンスケの成長がゼロすら救ってくれた気持ちになります。というか、冬二もだよね。冬二もゼロも田舎で自然に囲まれて暮らそうよ! 幸せになれるよ!!


 また、以下は私ならではの気持ち悪い感想ですが、

 ケンスケ(旧エヴァ、三バカ)⇒剣介(ファシズム、メンヘラダメ男)⇒ケンスケ(シンエヴァ、紳士ないい男)、という順番で観てきたので、

 ダメ男のゼロがいい男のケンスケに成長したような感動が!!!!

 過去の新世紀エヴァンゲリオンのケンスケと、愛と幻想のファシズムのゼロに、新たに今回のケンスケも引っ付いてもっとエモくなった(何を言うとんのじゃ)。

 いやでも意図的に同じ名前にしているんですから、あながち間違った感じ取り方ではないと思うんですよね。
 名前を拝借するほど思い入れのあった相田ケンスケだからこそ今回の役どころになったのでは?

「弱者を殺す」と叫んでいた冬二が、医者として弱者を助けている。依存心が高く自己愛の塊だったゼロが他人に愛を与えられるようになっている。シンエヴァは「愛と幻想のファシズム」の二人を成長させ救済する物語なのだ!!(しらんけど)

 私が何度想いを吐き出しても救えなかった2人を庵野さんが救ってくれた。
 同じようにゼロと冬二に思い入れがあったであろう(だから名前の由来にした)庵野さんが描いてくれた世界だから嬉しかった。

 やっと心の中に立っていたゼロの墓標にさよならが言える。

 ケンスケ以外も、みんないい男いい女になっていて感動しました。


 以下、その他の感想。

 マリがマリア。そうきたか! と。感動しました。
 マリと引っ付くの、いいですね。マリいい子って思っていたら、まさかああいうラストになるとは。
 そうだね。ダブルヒロインから片方選んだりしちゃいけないんだよ!!!

 シンジとマリが仲を深めるのはきっとこれから。新たに関係を築けた先にあったのがラストの電車のシーンなのだと思う。

 カヲルくんにも救いがあったのが良かったです。泣き顔にほろりときました。
 カヲルくんはゲンドウだったのですね(厳密には違いますが)。彼がシンジくんに献身的なのは、父性から来るものだったのか……。
 レイとカヲルくんが引っ付くハッピーエンドはよかったです。

 現実の親子でもそうだろうけど、ユイ(母親)は子供の中にいたんだね。

 ゲンドウがシンジと向き合っていれば、もっと早くにユイに再会できただろうに。

 シンジとゲンドウがエヴァで親子喧嘩する姿を見ることができるとは思いませんでした。
 やっぱり親父越えは熱いですね。


 冬月カッコイイ。

 それにしてもけなげな……何気に一番闇が深いのは彼かもしれない(笑)。
 その気持ちに気付いてくれる旧知のマリの存在は救いだと思います。

 というか、たぶんマリはゲンドウくんが好きだったんだよね。だからシンジくんに優しいし冬月さんの気持ちがわかるんだろうな……。


 あと、レイの稲作(笑)。映画鑑賞の前に、何かで画像を観て、「また面白コラボしてるなー」と思っていたら、本編でもあるんかー!! って。かなりツボでした。

 最後にお母さんがシンジを助けたのは胸にグッときました。

 あと、ペンペン。どうなっちゃったの? って思っていたので、元気に仲間と暮らしていて安心しました。動物が幸せなのはいい。

 ~胸に来た台詞~

「好きだったと思う。でも、私だけ大人になっちゃった」
 アスカ、やっと言えたね。好きだって。

「シンジくんは今も私の管理下にある。彼の行動の全責任は私にある」
 ミサトさーーーーん!!!!
「君はよくやってる」
 マリのこの言葉、シンジくんにとっても、彼を見ている観客にとっても本当に欲しい一言だったはず。そしてこれはシンジくん視点にいる観客に言ってくれた言葉だと思います。
 これは惚れますわ。


 旧エヴァのみんなが救済される物語でした。

 明るいエヴァでした。私の中でエヴァって不健全でアングラなイメージが付きまとっていたけど、微塵もそんなところはありませんでした。ヒューマニズムに溢れていました。
 旧エヴァの胸が苦しくなる鬱鬱したものが捨象されているのは寂しい感じもしましたが、ラストまで観て、これはこれが正解だ! と思いました。

 旧エヴァを観た子供たちが大人になって観るエヴァンゲリオンはこれでいいんです。


 言いたいことは他にもたくさんあるけど、それはきっと他の皆さんが言ってくれるでしょう。


 とにかく観てよかった!
 間違いなく私の人生史に刻まれる作品となりました。


 きっとこんなにライトではない私の想いをこんなに軽やかに書かせてくれたシンエヴァはそれだけ希望と解放感に満ちていました。
 

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