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笑顔をはこぶ、幸せの黄色いカステラ。

寛永元年の創業以来、伝統を受け継ぐ

ふわふわで、しっとりお肌の優しいお味。

子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、

ひとくち食べれば笑顔になる

そんな魔法のようなカステラがあります。


* * *


15年ほど前のこと。
祖父母へ手土産に「福砂屋」のカステラを買っていきました。

おやつが大好きな祖父は、いそいそと包みを
開けるなり、目を輝かせて瞬時にパクリ。


「こりゃ、昔食べたカステラの味じゃなぁ。」

「懐かしいのおー。」


そう言って、喜んで食べてくれました。

祖母も父や母、叔母も、
どこか懐かしいカステラを頬ばりにっこり。

10切れあったカステラは、みんなの“美味しい”の
声とともに、あっという間になくなりました。


このカステラは、どうしてこんなに
幸せの味がするんだろう?


その謎解きをするように、パンフレットや
包装紙を見ていた私の目に留まったのは、
側面に貼ってある原材料のシール。

原材料:鶏卵、砂糖、小麦粉、水あめ

以上。

たったこれだけなんです。

香料も保存料も使わない潔さ。


だからこそ、素材のよさが如実に表れます。


しかも、職人さんがひとつひとつ、心を込めて
手作りしているのです。

だから、まるでお母さんが家で焼いてくれた
カステラのように、ぬくもりを感じるんですね。



言葉にすれば、ただそれだけのことですが、
これってとてもすごい労力がいるわけで。


修行を重ねた熟練の職人さんたち。

もったりと重いカステラの生地を混ぜて、
気温や湿度で変わる生地と対話し、
絶妙なタイミングで型に流して、焼き場へ運ぶ。

技術だけでなく体力も必要です。



だから職人さんはみんなスポーツ選手のように
美しい筋肉をまとい、たくましくなっていきます。


雨の日も雪の日も、真夏の猛暑日も
一生懸命、くる日もくる日もカステラを焼く。

暑さに耐え、重さに耐え、忍耐力と集中力を研ぎ澄まし…


あらゆるものが機械化されていくなか、
効率化より伝統の味を守り続ける福砂屋の
職人さんたちに、私は金メダルを贈りたいほど感謝しています。


当たり前のように食べているカステラの裏にある
職人さんの努力に想いを馳せて、今日もおいしく


いただきます!!




美しい黄金色のカステラをひと切れ手にとり、
まずは裏の紙を剥がして、紙についたカステラを
丁寧にこそげて食べます。
(お行儀わるくてすみません。)


そして、いよいよ本題。
ふわふわのカステラをはむっと噛みしめると
やさしい甘みが口の中にふんわり広がります。

次に卵のコクがしっかりと存在感を示します。


カステラの底には、ザラメ糖が配してあり
シャリシャリした食感と深い甘みがアクセントに。

じっくり味わって食べようと思うのに、
あっという間に口の中から消えていて
もうひと切れ、またもうひと切れと手がすすみます。



なんと幸せなおやつの時間なんでしょう。

今日もどこかで、福砂屋のカステラを食べて
たくさんの笑顔が咲いていますように。