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厳冬期「硫黄岳」のすゝめ -巨大な山体崩壊跡を見て"大自然"を肌で感じろ-

夏沢鉱泉で食事も温泉も楽しむ1泊2日の山行

今回は八ヶ岳連峰「硫黄岳(2760m)」へ向かうべく1泊2日の山行に挑んだ。
1泊2日とは言っても山小屋に前泊して翌日登るお手軽スタイルの山行だ。
宿泊した山小屋の名前は「夏沢鉱泉」、個室部屋あり、温泉あり、食べ応えのある食事あり、さらに冬場は寝る前に湯たんぽが配布され、衣食住環境が最高に充実した素晴らしい山小屋である。

特に特筆すべきは夕食で、肉魚が満遍なく入ったおかず群におかわり自由の白米、さらに豆乳鍋までついてくる。登山前日の栄養補給にはもってこいの質と量を兼ね備えた食事である。たらふく食べて温泉にどっぷり浸かって湯たんぽにくるまって寝れば、翌日は体の全ての力を出し切れる気した。

硫黄岳へは往復でも5時間程度はかかるため、登山口目の前で冬場も営業している夏沢鉱泉に前泊すれば、翌日は朝早い時間帯から山頂へアプローチできるので、とても良い選択肢だと思った。

白銀の世界を穿つ山体崩壊跡は圧巻の光景

夏沢鉱泉を出発して2時間ほどすると森林限界を突き抜けて尾根に出る。
硫黄岳へ続く尾根を辿れば八ヶ岳連峰の最高峰「赤岳」も真横に見えるし、北の遠くの方には山頂が真っ平らで特徴的な蓼科山も望める。八ヶ岳の南北を全体的に見渡せる硫黄岳は八ヶ岳好きにとっては贅沢な山だ。

北八ヶ岳全域を見渡せると次にどこに登ろうかと妄想が広がる

標高2760mの山頂から周囲を見渡すと山下に広がる雲海に加えて積雪と太陽の光の反射が眩しい白銀の世界が広がっている。しかし、その中で強烈な違和感を放ち視線を向けざるを得ないのが太古におきた地震によって形成された山体崩壊跡である。

爆裂火口と呼ばれることも多いが、地震による山体崩壊説が有力らしい

山下でグネグネと動く雲海、スパッと切り取られた山頂、ゴウゴウと吹く風…目と肌を通して自然の躍動が伝わってくる。登って良かったの一言が自然と自分に向けて発せられる。こんな日常では得られない体験を求めて、明日以降も山に登っていることだろう。

日が高くなってくるにつれと山頂に向かって雲が迫ってきたので足早に下山した

赤岩ノ頭経由はトレース希薄+吹き溜まりで危険

夏沢鉱泉より登り始めて少し経つとオーレン小屋に到着する。オーレン小屋より硫黄岳へ向かうルートはそのまま直進して夏沢峠を経由するルートと右折して赤岩ノ頭経由のルートがある。

直進するのが冬季の正規ルート

後者は冬季バリエーションルートとなっており利用する人も少なくトレースがほとんど付いていない。しかし、赤岩ノ頭までは登山道と認識できる道が続いているが、赤岩ノ頭直下の急登では雪の吹き溜まりとなっている過去に赤岩ノ頭付近では事故が発生しているらしく積雪期の利用はやめよう。

積雪期の赤岩ノ頭直下ではトレースがないのでラッセルを強いられる

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