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まさに人馬一体!相馬野馬追、3年ぶりの通常開催 -間近で見ました甲冑競馬-

千年以上前から脈々と受け継がれる伝統行事を見に

国指定重要無形民俗文化財である「相馬野馬追」は千年以上前から現代に脈々と受け継がれる伝統行事である。3日間実施される行事の中で、2日目に実される本祭りは、数百騎以上の騎馬武者が市街を行進する「お行列」から始まり、人馬一体となって競い合う大迫力の「甲冑競馬」、数百騎の騎馬武者が天より舞い落ちる御神旗を奪い合う「神旗争奪戦」で構成される見どころのある行事となっている。

「甲冑競馬」や「神旗争奪戦」は南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地で実施され、運よく場内撮影権を手に入れられたので、歴史を間近に体感するため福島県に向かった。

市街の至る所、騎馬武者と凛々しい馬だらけ

2022年7月24日、相馬野馬追本祭り当日、雲雀ケ原祭場地がある南相馬市原町区は、まるで過去にタイムスリップしたかのよう。現代の象徴であるアスファルトの上を馬の蹄が踏み鳴らし、甲冑と馬具が擦れ合う音が辺りに響き渡る。今日ばかりは騎馬武者がこの街の主役なのだと再認識させられる一幕である。

戦国時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥る

出場騎馬数は337騎、途切れることなく続く「お行列」

たぶん一生分の馬を見たであろうか、337騎の騎馬がお行列に参加していた。「お行列」では時折、名乗りを上げながら闊歩する騎馬武者がいて良い意味で殺伐していて勇ましい。

騎馬武者の勇姿

涎をタラタラ垂らして落ち着きのない馬もいれば、鼻を勢いよく鳴らし続けて怒っていそうな馬、澄まし顔で耳をずっと前に向けて落ち着いている馬…これだけ多くの馬がいると、それぞれ性格が違うのだと納得する場面にいくつも遭遇する。

旗も色とりどり、馬具も色とりどり

「甲冑競馬」はまさに人馬一体、大迫力の熱戦

特に第2コーナー前は、スタート直後の直線で加速しきった人馬が猛烈な勢いで突っ込んでくる。騎馬武者の覚悟の表情、馬のギュッと引き締まった筋肉がすぐ目の前にあり、手に汗に握る光景である。

空中に高らかに舞い上がる土煙は甲冑競馬の激しさを物語る

騎馬武は色とりどりの紋様が描かれた大きな旗を背負いながら必死に馬の背中にしがみつき檄を飛ばす、馬はそれに応えるように前へ前へと力一杯走る。

旗が折れるほどの猛スピードで競馬が展開される

「神旗争奪戦」は場内が一瞬にして戦場に

本祭りのクライマックスは「神旗争奪戦」、空に高く打ち上げられた2本の御神旗を巡って数百騎の奪い合う、場内が戦場と化す一大行事である。

場内には騎馬武者がひしめき、御神旗が打ち上がるタイミングを虎視眈々と待っている

御神旗が打ち上がる場内は次第に緊迫感を増していき、打ち上がるや否や数百騎の騎馬武者が御神旗の落下予想地点に向かってパッと走り出す。もしも騎馬武者が刀や槍を持ってたとすれば、戦国時代の騎馬戦そのものが再現されそうな一瞬である。

騎馬武者が落下してきた御神旗を奪取する瞬間

次に来るときは3日コースで…

今回は「相馬野馬追」の3日間続く伝統行事の本祭りを観覧したに過ぎず、本祭り前後では様々な祭事が執り行われている。次に来るときは、その前後も含めて「相馬野馬追」の全てを目に焼き付けたいと思った。特に本祭りの翌日に執り行われる「野馬懸」は裸馬を素手で捕らえる神事とのことで俄然興味が湧いてくる。

ここ数年はコロナウイルスの流行によって日本の様々な伝統行事が中止に追い込まれていたが、「相馬野馬追」を見ると、伝統行事を愛する人々がいる限り、それは簡単には廃れてしまうものではないと実感させられた。このような素晴らしい伝統行事の様子を発信することで、もっと多くの人にその素晴らしさを知ってもらい、伝統行事を愛する人々が増えるきっかけになればと思った。

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