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『星降る夜のララ』3

【続き】

「ありがとう」

ララは差し出された月光花を受け取り、少年と向かい合いました。思いのほか、少年の背とララの背は同じくらいでした。

「あなた、名前は?」
「……」

少年は歌うように、どこか遠い外国の名前をララに伝えました。天空の星々のあいだからこぼれ落ちたキラキラと光る雨粒の音を、ララは想像しました。

結局、少年の名前を発音できなかったため、ララは彼のことをヒカリと呼ぶことにしました。それからヒカリとララとニコは、毎日のように月光花の秘密の場所で遊ぶようになりました。

ララはヒカリが毎日どこから来て、どこに帰るのか知りませんでした。

ーーでも、そんなことはたいしたことないじゃない。ニコもヒカリのことが初めて会った時から大好きなんだから。もしかしたら、ヒカリの髪の色が、お母さんに似た明るい色だからかもしれない……。

ララは自分やお父さんを含め、他の人たちとは違う、お母さんの髪の色が大好きだったのです。それは光によって七色に変化するような、いつ見てもうっとりする色でした。

そうして数ヶ月が経つあいだにも、国中が星の動きに不安を募らせていました。また、中には、隣国が攻めてくるお告げではないかという噂をする人たちも少なくありませんでした。

星降る国の人びとは、息を潜めて不吉の兆しにおびえて暮らすようになっていました。

【続く】

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