母短歌:海馬
認知症を患っている母は、短期記憶がほぼありません。お世話になっている施設の面会時間は約三十分。その間に、何度も何度も同じ話を繰り返し、同じ質問を繰り返します。
学校での得意科目は暗記科目だった母、現状はさぞかしつらいことと思います。どうしてこんなに酷い病気が存在するのでしょうね。
わたしは母との関係をうまく築くことができず、暴言もたくさん吐かれました。それ以上の出来事もわんさか思い出されます。
短期記憶の消失とともに、古い記憶も少しずつ消えていっている模様。あんなこともこんなこともそのうちさっぱり忘却しつくすのでしょう。
ちょっとうらやましかったり。
だって忘れられてしまったら、非難する意味がなくなりますもの。
わたしは、とてもじゃないけれど忘れることはできませんが、親子の間の溝を埋めるため、認知症があるのかも、なーんて思うことすらあります。
母娘の葛藤は、まだ続きます。
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