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短歌:記憶のからくり

忘れずにいてほしいんだぼんやりと記憶の底には君の感触/銀猫
わすれずにいてほしいんだぼんやりときおくのそこにはきみのかんしょく

 ついこの間、

こんな短歌を載せましたが、舌の根も乾かないうちに今日の短歌です。

 「自分が好きな人のことを忘れてしまう」ことは「好きな人に忘れられる」よりも苦しい、というのが前の歌ですが、今回は、「やっぱり忘れられたくないんだよね」と未練がましい。

 記憶というのは厄介なもので、忘れたいことは忘れられないのに、忘れたくないことが意外と早く消えていったりします。しませんか? わたしはそうなんですが、記憶のメカニズムに問題があるような気もするので、同意を得られなくても平気です。

 スマホやPCのデータ整理をしているときに考え至るのですが、人間の記憶の場合、完全消去は難しいのではないかと思うのです。完全に忘れたつもりでも深層のどこかに残っていて、だからちょっとしたきっかけで思い出すことができるのだと思います。

 そして、おそらく完全消去しない方が、強くなれる。経験値として活かすことができるから。常に残存率0%の消去をしていたら、せっかくの経験は何も残らず、大袈裟に言えば大人になれず、人間として形成されないってことになる気がします。
 成長とは経験で、経験とは記憶ということ。

 うまくできている。のかな?

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