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5円(御縁)をもらうのがうまくなった話

私は5円のおつりをもらうのがうまい。

正確にはうまかった。
きっかけは大学時代の生協のおばちゃんである。
おつりが5円になると、そのおばちゃんは必ず「いい御縁がありますように」と笑顔で、丁寧に手を添えておつりを渡してくれた。

それは同じキャンパスにいた、だいたいの学生は知っていたように思う。
その言葉、両手の温もり、笑顔、そしてぴったり5円のおつりがもらえるように、お財布からお金を選抜する技術を私はいつの間にか身につけていた。
もしくは私は商品を選んでいる時からすでに、端数が5円になるようにという思考が始まっていたのかもしれない。


お金の電子化

日本はお金の電子化が遅れている、という話を最近よく耳にする。
オリンピックを2年後に控え、建設業界、セキュリティ、ネットワーク関係などの業界は着々と準備を進めており、電子マネー分野も同じくオリンピックを一つの節目として捉えているであろう。

せめてIT業界で働いている自分たちからお金の電子化をしよう、なんて話も同じ業界で働く友人と飲みながらしていた。
ちょうどそんなことを考えている頃、4年ほど使用していた長財布がくたびれてしまい、新しいものに買い換える機会があった。

できれば、お財布を持たないことが年内の目標だった。しかし2018年現在、クレジット払いができない店もまだまだあるし、デバイスの電池が切れてしまったらどうなる?という不安も完全に搔き消すことはできず、手のひらに収まるカードケースサイズのお財布を購入した。

手のひらサイズのお財布は持ちつつも、日用製品はインターネットで購入、コンビニ決済はQuick Pay、その他の買い物はクレジットカード、飲み会の会計はアプリで送金、、、
と、現金に触れる機会は格段に減っていった。


電子化によってなくなるもの

お金を電子化する一方、持ち物の電子化も始めた。
今年大きく変えたのは「本」である。本に関しては、電子化反対派が多い気がしている。本の手触り、紙をめくる行為、目が痛くならないなどの理由があると思うが、私がなかなか電子化に踏み切れなかった理由は

積ん読(タイトルが自然に目に入る状態であること)
本の貸し借り

この二つができなくなってしまうことだ。それでも引越しの際の手間や部屋を侵食してしまうことのデメリットも踏まえ、結局お気に入りの数冊以外は電子化した。

話は戻り、お金を電子化した時になくなるものは何だろうと考えていた。

お金の貸し借り
おつり

お金の貸し借り、正確にはリアルで(物質として)現金を返す、という事柄は無くなると思う。自分も今年からできる限りKyashというアプリでお金のやりとりをしている。
どうしても対面でお金を返したり、返してもらわなければならないことはなくなるので、会いたいひとに会う口実がなくなってしまう人もいるかもしれない。

そしておつり。
気づけばおつりをぴったり5円に合わせるような計算もほとんどしなくなってしまった。

そんなふうに電子化によって、なくなるリアルのやりとりのことも考えて、少し寂しくなったりもする。

まだ現金が出回るうちは、クレカ決済ができない店では、5円(御縁)をもらえる努力を最後までしようなんて、そんなことを考えながら今日も生活している。


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