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「食べながら痩せる」が優秀な理由

こんにちは。ママ向け宅食ブランド「ママの休食」で事業責任者を務める、管理栄養士のしきです!

今年で管理栄養士になってから10年経つのですが、改めて振返ってみると、「ダイエット」に関する相談が本当に多いなと感じます。科学でみると、ダイエットの解決策はとてもシンプルなのですが、わかっていてもできないのがダイエットの難しいところ。

ということで、今回は、管理栄養士の私らしく、“食べながら痩せる”という
一見矛盾しているように見えるこのテーマについてお話したいと思います。

どうして人は太る(肥満になる)のか

肥満は「遺伝要因」と「環境要因」の組み合わせによって生じます。
そもそもヒトはどうして肥満になるのか。

食物から体内に取り込まれるエネルギーが消費するエネルギーを上回ると、余ったエネルギーは脂肪組織に貯えられます。

肥満の環境要因としては、過食や運動不足、食生活の乱れなどによって生じるエネルギー過多(摂取エネルギー↑)や身体活動量(生活の中の活動や運動習慣)の低下(=消費エネルギー↓)が挙げられます。

|エネルギーは何から得るのか?|
エネルギーは、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の3つの栄養素からつくられます。糖質とたんぱく質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalです。ダイエットでは、糖質や脂質を控える人が多いですが、エネルギー量でみると、糖質とたんぱく質の1gあたりのエネルギー量は同じなのです。

極論、食べなきゃ痩せるが骨格筋は減る

肥満の原因は「摂取エネルギー>消費エネルギー」であるため、痩せるためには摂取エネルギーを減らすか、消費エネルギーを増やすかの工夫が必要です。

一般的には、1日の総エネルギー消費量の約60%を基礎代謝量が占めています。消費エネルギーを担保する上で、基礎代謝量が重要な働きをしていることは言うまでもありませんが、食べずに痩せると、この基礎代謝量が減ってしまう可能性があるのです。


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なぜ、食べずに痩せると基礎代謝量が減ってしまうのか。

基礎代謝量は筋肉(骨格筋)などの除脂肪量と相関します。簡単に言ってしまえば、骨格筋が減ると基礎代謝量は減るのですが、この骨格筋は、たんぱく質を積極的に摂取することで維持されます(たんぱく質摂取に運動が加わることで筋肉量が維持または増加する)。

食事制限をすると、ダイエットの本来の標的である体脂肪だけでなく、骨格筋量も減らしてしまう可能性があります。

とくに、たんぱく質に含まれるアミノ酸は筋肉の材料になります。さらに、たんぱく質の代謝にはビタミンやミネラル(とくにビタミンB6)などの栄養素が必要不可欠です。そのため、栄養バランスのとれた食事が重要なのです。

ちなみに、運動量が少ない場合、骨格筋は20~30代から少しずつ減少しはじめるといわれています。筋肉は糖質を使いこなす人体最大の臓器なので、骨格筋が減れば、余分なエネルギーは脂肪として貯えられることになります。

体質的に太りやすい、はありえるのか

前述では、肥満の環境要因について記載しましたが、肥満は遺伝要因に環境要因が加わることで発症するといわれています。一説には、肥満症* の6~7割は遺伝要因であるといわれるほどです。

たとえば、食欲を抑える働きのあるレプチンというホルモンは、脳の視床下部に存在するレプチン受容体を介して食欲を抑制しますが、このレプチン受容体遺伝子に異常が起こると、食事をとっても空腹感が続き、肥満症につながることが報告されています。

* 肥満症:肥満に起因する健康障害を有するか、そうした健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積した状態

上記は単一遺伝子異常の例ですが、その他にも、エネルギーを効率よく保存する遺伝要因「倹約遺伝子」による影響や、栄養代謝関連遺伝子のエピジェネティクス制御** による影響などが明らかになっています。

** エピジェネティクス:遺伝子が、本来発現すべきではないのに誤って発現してしまう(例:必要ではない臓器で必要ではないときに働てしまう)そのメカニズム

リバウンドしたくないのなら、栄養バランスに配慮した食事を

肥満は「遺伝要因」と「環境要因」の組み合わせによって生じます。体質的に太りやすいという事実があったとしても、肥満に拍車をかけるのは日々の食生活や運動習慣です。

「食べなければ痩せる」は紛れもない事実なので、食べない(食事制限)という方法が糖質制限であろうと、サプリやプロテインの置き換えであろうと、結果的に総エネルギー摂取量が減りさえすれば、痩せはするのです。

しかし、太りにくい身体を手に入れたい、リバウンドしたくない、と思うのであれば、ダイエット中であっても栄養バランスに配慮した食事をとることが大切です。

とはいえ、ダイエット中にカロリーコントロールと栄養バランスのとれた食事の両方を実践するのはとても大変なので、たとえば、最初の1ヶ月を減量期としてカロリーコントロールをメインに実施し、2ヶ月目以降は維持期として栄養バランスに配慮した食事を心掛けるなど、段階的に取り組むのも一つの方法です。

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