見出し画像

【蒸留日記vol.83】ラバンジンの中で1番エエ香り?フランス産ラバンジン'Super'を蒸留する!

さてさてこんにちは。
遅れ気味ですが未投稿だったラバンジン蒸留編へと移ってまいります。
その初回はラバンジン スーパーもといラバンダン シュペール!
今年やっと蒸留できるほどの花が得られました!

今年2023年の蒸留では7月からの天候不順大規模植え替えの影響で、昨年蒸留できていた謎ラバンジンボゴングが蒸留できず!といった状況となっております。

ではスーパーもといシュペール蒸留回いきましょう。


蒸留実施日は23年8月10日になります!
Distilled day of 10.08.2023!

23年度ラバンジン'シュペール'の蒸留実施日

■Lavandin 'Super'のプロフィール!

開花が始まったラバンジン・シュペール?の花穂(7月撮影)

一応前置き解説しておきますが、ラバンジン(Lavandula x intermedia)は富良野でよく見られるコモンラベンダー(Lavandula angustifolia)とはまだ別系統のラベンダー種で、ヒロハラベンダー(L. latifolia)とコモンラベンダーのハイブリッド品種として作出されるのがラバンジン種になります。
オイルの採れる量がコモンより多く、都市に近い低地でも育つので自然界で発見されてからすぐさま栽培利用が始まりました。
品種多彩なコモンを親に持つので同様にラバンジンも多彩な品種があり、品種それぞれDNAがコモン寄りかヒロハ寄りかで特性が変わります。
ヒロハラベンダー由来の開花特性が遺伝しており、花穂につく多数の蕾がコモンのように一斉に開花することは稀のようです。

中間種ラバンジンの解説。

▶︎Lavandin 'Super'品種の歴史

このラバンジン品種は北海道ラベンダーと同様にれっきとした品種の歴史を持っています。というのも、北海道のラベンダーと同じ「精油生産の歴史」の中で作出された、オイル生産用ラバンジン品種なんです。

原産国はフランスで、年代は定かではありませんが1930年代には選抜種'Super'の商用栽培が始まり、1960年代には'Super A''Super Z'など発展品種が誕生していたようです。
しかしながら、1960年代より南仏で流行りはじめたファイトプラズマ感染による枯れ病にそこまで強い耐病性を持つ品種ではなかったようで、1970年代に栽培数シェアを耐病性品種であるグロッソに譲っています。
以来ラバンジンにおける精油生産量が5%ほどの低水準となっているようです。

▶︎ハーブ苗としてのLavandin 'Super'

ハーブ苗としてのシュペールは、現在日本の様々な園芸業者から安定して入手できるほど広く出回っているラバンジン品種です。
コモンラベンダーより暑さと湿度に耐えるので、本州の園芸現場で好まれているようです。
商品名は「ラバンジンスーパー」で出回っていますが、フランス生まれのラベンダー品種ということもあり、当方では敬称としてSuperのフランス語発音である「シュペール」と表記しています。

フランスの栽培地ではこのような色の違いになるらしい
ともに7月末撮影の仏産ラバンジン2種

ハーブ苗としての俗な商品説明では、花色の紫色が濃いとされるラバンジン'グロッソ'に対して本記事で蒸留に供するラバンジン'シュペール'は薄色であるとされています。
(なんか比べてみると思った以上に色の差ハッキリしててビビった)

▶︎市販流通エッセンシャルオイルとしてのLavandin 'Super'

日本で優に手に入るラバンジン精油としては主にグロッソシュペールの2種だろうと思います。
視野を広げてフランスの市場を見ると①グロッソ ②シュペール ③アブリアル ④スミアンの4種が主にエッセンシャルオイル市場で入手できるラバンジン精油になるようです。
香りの個性が対照的であるためか、あるいは生産量がそれなりであるためかシュペール精油も比較的手に入りやすい流通量となっているようです。

入手しやすい双方品種のエッセンシャルオイル

実際にフランス国での生産品であるグロッソ精油とスーパー精油を入手して嗅ぎ比べてみると両品種の香りの大きな違いがわかると思います。
個人感想でその両者香りの違いを表現すると、
▶︎グロッソは強い樟脳感と花のような強い香りであり、どちらかといえばローズマリーやコモンセージに似る
▶︎シュペールはその樟脳感がかなり少なく澄んでいて爽やかなラベンダーアロマ
といった感じでしょうか。

恐らくコモンラベンダー由来のDNAがより多く発現しているので香りにカンファー臭があまり付かないのだと思います。

■Lavandin 'Super' Photo

■収穫&蒸留準備!

ラバンダン・シュペール花壇2列14株。
フランスラバンジンの中でもお気に入り品種なので注力的に育てていく方針。

こちらが蒸留当日のシュペール花壇です。
手前は去年まで忌まわしき黒ポリ鉢で育っていた3歳ほどのシュペールたちで、奥が今年買い足した7株。
今年植えたばかりなのでまだ花芽を立ち上げておらず、収穫できたのは手前花壇組。

シュペール花壇を別角度から。
今年は本当に7月後半からの雨が多く、雑草が例年にも増して緑を茂らせている。困ったもんだ…

今年度より安住の地である花壇へと鉢植えシュペールを移植したとはいえ、グロッソほど強健には育ってくれないようで、ちまちまと花芽を立ち上げているような状態。
なので9株ほどを合わせてやっとオイルが得られるかなといった薄い期待での蒸留となった。

▶︎蒸留日時点での花穂の状態

若く小さな花穂は劣化が激しくない様子
早くに開花が始まった花穂は幾度もの降雨を受けて色が褪せてしまっている。
しかし開花はまだ続いている模様。
8/10ラバンジン各種の花穂の状況。雨に打たれて色が褪せてしまっている。

収穫期が始まってからの降雨が多かったために、花穂の状態からして完ぺきな蒸留!とはなりませんでした。

収穫完了!
今年植えた苗は成長中だったので既存の8株からの収穫となった!
Material weight 87g

収穫重量は87グラムだった!

信じられなく少ないグラム数での蒸留になりますが、オイルを多量含むラバンジンなのでそれなりに精油採れるだろう‼︎と踏んで普通に蒸留します。

素材量はわずかだが精油の香りを確かめられれば良し

ラバンダン・シュペールはラバンジン精油の中でも特に樟脳/カンファー臭が少ない品種ということもあり、否かどうか花部分のみを蒸留してより純粋な精油の抽出を目指しました!

同じく育てるグロッソと香りに差が生まれてくれれば嬉しいのですが。。。

■蒸留結果は…!?

さすがラバンジン、素材量少なさのわりにしっかり量が採れている
抽出量は1.2mLといったところか

1.収油率

抽出量[1.2 mL ]÷ 素材重量[ 87g]x 100 = 1.379%

8/10開花後期のLavandin 'Super'蒸留の収油率

すごいっすね!100グラム無いのにしっかり収油率が1%を超えてきました!
さすがラバンジンさまさまといったところでしょうか。

2.香りとか

今年度抽出できた'Super'精油を官能してみます。

カンファーっぽさも感じるっちゃ感じるのですが、グロッソに比べて確実にラベンダー的甘さが強いのはこちら'Super'の方です。
ラバンジン精油は目がさめるような香りの樟脳を含むのでリラックス効果は無いと言われていますが、特段このシュペールのアロマに関してはリラックスが味わえる香りになっているのではないでしょうか。

香りも他品種と明確に差があることから、やはり日本の園芸市場で出回っている「ラバンジン スーパー」はれっきとしたフランス生まれのTrue Lavandin 'Super'なんでしょうか。

〜関連記事リンク〜


若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。