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スイートマジョラムを北海道で栽培してみる学習的試み。

こんちゃこんちゃ、エフゲニーマエダでっす。
本日は午前中にラバンジン・シュペール(L. x intermedia 'Super')の蒸留を予定していたのですが、雨に降られてしまいました。
なので予定変更を余儀なくされ…

マジョラムが乾燥帯出身の草本ハーブであることを知り、やや植え方に悩みつつ、彼が苦手とする多雨時期がやってきてしまったので救出を兼ねた寒冷地での植え方勉強の定植作業をこなしたのが本日。


●Habitat

裏庭ハーブ園の試験栽培作物の項目にスイートマジョラム(Origanum majorana)がおります。

精油はテルピネン4オールを主体的に含んでいるとされ、甘く澄んだ香りによる高いリラックス効果と、前述物質の高い抗菌性から優れた精油が採れるオレガノ属植物っすね。予防医療にはもってこいのハーブでしょうか。

英国のキュー王立植物園ワールドオンライン情報によると、原産地はスペインや南仏ではなく、トルコキプロス島ってことになってますね。
どちらかというと地中海東部・中東エリア原産の乾燥帯植物なイメージ。
身近な園芸植物だとタチアオイ(Alcea rosea)と原産エリアが被る感じでしょうか。(タチアオイは根っこが深いのでそう簡単に乾燥にはやられない)

●Cultivation

スイートマジョラムの育て方をググっていろいろ見てみると、「寒さに弱い」「梅雨時期に注意」「多湿を嫌う」「水やりすぎに注意」などが目に入ります。
これはあくまで日本人による本州での定番栽培ノウハウといったところでしょうか。
乾燥帯出身作物なので単純な高温には耐えますが、長いこと雨に打たせず、冬の強烈な寒さにも気をつけよ、というおおまかな栽培法らしいのです。

ということあって、近縁種のオレガノ(Origanum vulgare)と比べてスイートマジョラムは乾燥地に特化した性質を持っているようなので水をそこまで必要とせず、ある種コモンラベンダーと似た生育条件のような気がしています。
というか"枯らさないための栽培のコツが被る"といった感覚かもしれませぬ。

●あまりオススメされない北海道での栽培

中東原産の背丈の低い草本植物なので、梅雨台風のある本州はおろか冷涼な北海道でも畑の露地に漠然と植えているだけではまず枯れる1年草として栽培できるのがせいぜいなところらしいのです。

①Winter trials

そのガッツリ枯れる理由というのが、ひとつ根っこが強烈な寒さ(低温)には耐えられないという点。
ラベンダーは一応の樹木なので、根っこもそれなりに硬く太く木質化して低温に耐えます。ローズマリー(Salvia rosmarinus)も同様です。

対してスイートマジョラムはラベンダーほどデカくはならないようで、草本的性質が強いもよう。なので根っこも細く繊細で、かつ根張りが浅いため、低温の影響を受けやすいようなのです。(あくまで予想)
冬場はこの地表付近の低温暴露を克服すれば、多年草・宿根草として扱えるようなので、ラベンダー同様に栽培土壌の調整から寒冷地栽培に挑む甲斐がありそうです。

②Winter trials

スイートマジョラムが枯れる理由の二つ目というのが、コモンラベンダーと共通して予想がつく、高温多湿の代名詞である梅雨&夏雨の存在ですね。
単純に直射日光下のカラッとした高温ならば十分に耐えられる性質を持っていますが、気温が高いのに雨が降ってとてつもなくジメジメした状態になると、植物本体がグダるのではなく、おおかた土中の菌類などが活性化するために植物が影響を受けるのですね。

なのでなるべく根腐れを起こしにくいような土壌で栽培してやること、、、たとえ長雨が降ろうと腐るものが無いような状況にしておくことでタフに育ってくれると思うのです。

ラベンダーと同様の枯れ対策を盛り込んだ植え方でマジョラムも植えてみよーう!

では、さっそくやってみましょう。
ただ単純に6苗を同じ植え方にしてしまっては栽培勉強にならないので、ちょいと細かく土壌の構成をいじくってみます。

上記のラベンダー植栽改善法(用土を大きく2層にする)をベースにスイートマジョラムの植え方を組み立てていきます。
今回扱う相手はスイートマジョラムのポット苗。
植える場所に悩まされていたポット苗をさまざまな方式で植えてみます。

⒈めちゃめちゃ水が落ちやすい植え方(鉢植えパターン1)

肥大成長に欠かせない養分を持った黒土

相手はまだ幼いポット苗なので、大きくなってもらうために黒土はある程度使用する運びになります。
ポット苗を無栄養の赤玉土のみで育てるのはさすがに酷すぎるので…w

ということである程度の黒土を用意しました。
若干赤玉土やらを含んでしまっていますが、ラベンダーグロワーから見ると栄養満点すぎるくらいの黒土濃度(の配合用土)です。

次に赤玉土小粒を同程度かそれ以上配合する

次に排水性の要である赤玉土小粒を加え配合します。
これは鉢の下層:いわゆるポット苗の下面にくる用土をつくっているところです。

粒の大きさが中粒以上だとかえって排水性を上げすぎてむしろ少雨期にスイートマジョラムが大きくなれない可能性を高くするので、小粒&黒土ブレンド用土を鉢底用にもってきます。

ポット苗はしばらく経つと根っこをこの黒土ベース用土に伸ばしてくる

ポット苗の土面が素焼き鉢の上フチと塩梅良い高さになるまで黒土ブレンド用土を鉢に充填します。
だいたい鉢の半分程度が黒土x赤玉小粒ブレンド土で満たされる程度です。

この土面の上に苗をポンっと据え置く形で次の用土を足し入れる形になります。
間違っても、この下層の黒土ベース用土にポット苗を埋めていないという点に留意してください。

通気性を持つ素焼き鉢に植えるので、多少の黒土使用を可能としています。
プラ鉢だと全く通気性が無いので、土湿潤度と気温次第で根腐れリスクが激増するため素焼き鉢をチョイスしています。

ハーブを植える鉢の材質と選択について
防腐対策として赤玉土のみで上面を植える

で、次に苗が隠れる程度まで赤玉土小粒のみを充填。
これに黒土を含めてしまうと、コケや緑藻、菌類が繁茂して作物が弱る・根腐れを起こす温床となると考えています。

で、さいごに赤玉土を充填した直後は乾いた赤玉土に根っこを傷められないようジャブジャブと水を与えておきましょう。

この上部充填用土を小粒ではなく中粒にすると保水性がガッツリと下がります。つまり、マジョラムが水を吸いにくくなるより疎水環境となることをイメージしてください。
栽培環境など場合によってはこの選択を取り入れることがあり得ます。

赤玉土の粒サイズによる作物への直接的な影響
鉢植えパターン1の模式図

植え方の構造イメージはこんな感じ!

苗ポットを下層の黒土面にポンっと置いた程度であるのは、度重なる雨により給水根が真下に伸びてくることを期待しているためです。
根っこが寒冷期低温の影響を受けにくくするため深部に張らせる狙いがあります。

そして、多雨時期に根腐れを誘発する菌類がはびこらないよう黒土を鉢の上部には含ませない植え方をしています!
加えてスイートマジョラムの水嫌い説を検証するために鉢底の生育栄養分となる黒土層でのブレンド割合もかなり少なめな3:7としています。

つまるところ、水が抜け落ちやすく多雨時期を最も警戒した植え方になります。

⒉ある程度養分・保水性を持たせた植え方(鉢植えパターン2)

定植完了後の見た目は同じだが…

対して同じ素焼き鉢に植えていて定植完了後の見た目も同じですが、植え方や用土の配合が異なっているパターン。


鉢植えパターン2の模式図

模式図で解説すると、こんな感じ!
大まかに、植え方1より保水性を上げることに重きを置いて定植しました。

なので、ポット苗の半身ほどが下層の黒土ベース用土に埋もれる形で植さっています。マジョラム苗は即座にまわりを囲むチッソ養分を利用することができる状況ですね。

そして下層の土:赤玉土の割合を下げて黒土の割合を上げています。
マジョラムが利用できるチッソ栄養分の相対的な量としては、植え方2の方が存分・豊富に利用できる形式となっています。

で上層は変わらず防腐のために赤玉土小粒で充填しています。
植え方2は多雨時期でも屋外に置くことを想定しており、通気性のある素焼き鉢が根腐れの予防を助けているだろうと効果予想してのものです。

⒊ダメ元で地植え

(植え方熟考中。。。)

●Discussion

本来の時期としては遅めの8/6植えスイートマジョラム

とりあえずの、「ラベンダーを枯らさない植え方」を乾燥地ハーブであるスイートマジョラム栽培にも応用してみようか〜といった趣旨の実験記事でした!

木本のラベンダーと違い、草本であるマジョラムはいくらか成長ペースが早いだろうとみて新しい植え方の実験実証作物として観察していく形になります。
この栽培プログラムに沿って来春まで越冬成功させれば、寒冷地の北海道では育てられないとされいたマジョラムの栽培に希望の光が差しますね!
とりあえずで土壌の勉強教材として活躍してもらうつもりです!
栽培成功すれば精油が取れるくらいには育ててみたいと思います。

ではでは!遅めの蝦夷梅雨で枯れないことを祈りつつ!

若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。