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#008 『天才を殺す凡人』(北野唯我 著)読書ノート〜「天才」「秀才」「凡人」、それぞれの才能とフェーズを捉えること

Lectioのビジネス読書会の課題図書として『天才を殺す凡人』北野唯我 著,を読みました.北野唯我さんの本は初めて読むことになりました.

物語形式の本でとても読みやすかったです.
僕の場合,2〜3日昼休憩の時などに目を通して,サクッと読めた本です.
ビジネス本ですが小難しい感じではなく,自分の職場や出会った人たちを思い浮かべながら,頭の中が整理されていくような印象がありました.

内容をざっくり思い返しながら,読書ノートとして学びを記しておこうと思います.

本書の内容は次のとおりです.
まずビジネスシーンにおける人物を三つのタイプに分類しています.

天才:創造性を発揮する人
秀才:再現性を発揮する人
凡人:共感性を発揮する人

この3種類のタイプの人たちが,それぞれ自分の軸で互いを評価しようとするので,中々理解合うことができない.
お互いの才能をつぶし合うような結果になってしまいがちだと指摘されています.

具体例として,以下のようなすれ違いが生じます.

天才は凡人に対して,本当は理解してほしいと願っている.けれど,凡人は天才を理解できないから排斥しようとしてしまう.

天才は秀才には興味がない.しかし,秀才は妬みと憧れで天才に対して相反してしまう.

秀才は凡人を見下す.一方,凡人は秀才のことを天才だと勘違いしている.

このように,それぞれの主観的な価値観が違うので,対立しがちなことが指摘されていました.

なるほどです.

このような展開で話が進みます.僕は読みながら色々考えてみました.

自分の身の回りを思い浮かべてみました.
しかしあまり典型的な「天才」「秀才」「凡人」がいるなとは思いませんでした.
ただ,そういう傾向のキャラの人はあの人かな,というくらいの印象はあったりします.

例えば,ある組織のボスは「天才」肌というか独創的なセンスがあって,人には真似のできない質の成果を出していました.
周りの人は常に「あの人は特別だから」とか「あの人はすごい」とか言います.
でも一方で,周囲の人々とのコミュニケーションは断絶ぎみな感じでした.
「すごい」と思われつつも,近づきがたい.
「天才」肌の本人も,理解してくれない周囲に苛立ちを感じていたと思います.

周囲のいわゆる「凡人」タイプの人たちは,そういう状況にオロオロしてしまうのですが,本書でいう所の『最強の実行者』と呼ばれるめちゃくちゃ要領の良い人物がいて,天才の気持ちも汲み,かつ凡人の多数へ言葉を翻訳するみたいなことがありました.まさにそういう人はエースとして羨望の眼差しで尊敬されていた.

そういうのを思い出しながら読み進められました.

自分はどのタイプなんだろう,とも考えました.
しかし,自分はこのタイプだという感じもしませんでした.でも本書の後半に来ると分かるのですが,100%「天才」とかはなくて,それぞれの「天才」「秀才」「凡人」の性質をある割合でみな持っているという考え方をするべきですよ,と書かれていました.
それで,なるほどそうだよなあ!と納得することができました.

自分の中に「天才」もいて,創造性を発揮しようとしている.
でも「秀才」もいて,再現性やルールや善悪でブレーキをかけたりする.
そのように個人の中でも,複数の自分が対立しているわけです.

だから,一番大事なのは自分の中の複数の才能に気づいて自己認識することです.

「どんな才能を持った人でも、それを表現する『武器』がなければ、世の中に伝える方法がない。たとえば、画家にとっての筆や、音楽家にとっての楽器や。そして超一流の人は必ずと言っていいほど、自分にとっての『ベストな武器』を持っている」

『天才を殺す凡人』北野唯我 より

ここに書かれているように,自分の才能や特性を認識してこそ『ベストな武器』を持つことができるんだなと納得しました.
才能を使って何かを世の中に伝える.それを市場に向かって商品として提出し,価値を生み出す.
もしそれを願うのなら,一番ベストな武器を磨くしかないよなと思いました.不得意なことを嫌々やって何かを達成するほど甘くないよなあ,と思いましたね.

そして次の言葉が,めちゃくちゃシンプルで心に刺さりました.

天才とは『自分に合った武器』を手にした上で『ストッパー』を外した人間のこと。

最後に,もう一つ,なるほどなと感心したポイントがありました.
それは「フェーズ」(段階・局面)を捉える視点です.

次のような記述がありました.

どの仕事にも「作って、整えて、広げる」というフェーズが存在しているからです。言い換えれば、仕事とは「職種×フェーズ」なのです。

『天才を殺す凡人』北野唯我 より

ほとんどの天才は、成長の過程で「共感の神」に支えられ、加えて、後天的に「鍛え抜かれた武器」や「活躍の場」を手にして初めて、輝きはじめます。

『天才を殺す凡人』北野唯我 より

これ以外に見落としがちで,めちゃくちゃ重要なポイントだと思いました.
才能や職種だけではなく,それを使って成長や展開していくプロセスとして捉えようとする視点です.

企業でもベンチャーがゼロから1を生み出すフェーズ,新規事業や全く新しいビジネスモデルを創出しようとするフェーズがあります.
一方で,大企業が既に確立したビジネスモデルを効率化したり,シェアを拡大したりするフェーズがありますね.

それぞれのフェーズで,必要な才能や人的資本は違ってくるはずです.

個人で考えても,すごく創造性の才能があってそれを強みとして自己認識している人が,大企業の一部署に所属することで才能を発揮できるのだろうか,ということが確かにありますね.

先に見た『自分に合った武器』を持って,ストッパーを外すのも良いのですが,その武器の力を発揮することが,自分の属する環境のフェーズと合っているのかどうかの組み合わせも意識すると,より仕事の歯車を噛み合わせやすくなるだろうと思いました.

才能の価値はフェーズとの相対的な関係性によるので,絶対的な価値ではない.

これが,最も学びになりました!




社内政治に迷えるビジネスパーソン,転職を考えるときの判断基準を考えたい方などにオススメですよ!


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