カリスマ「平手友梨奈」と凡人「佐々木久美」

アイドルとして優れているのは平手友梨奈。では、「その平手がセンターを務める欅坂46は、佐々木久美がキャプテンを務める日向坂46よりも優れたグループか?」
と問われると「はい」とは言えないのがアイドルの面白いところ。

平手友梨奈の魅力は良くも悪くも「不安定さ、未成熟さ」にあり、欅坂46というグループにもその個性がまんま反映されている。デビューからの欅坂の快進撃は不安定さと未成熟さがアクセルとなってきたが、19年以降は一転してそれが足かせとなってしまっている。

カリスマ平手友梨奈の才能は「替えが効かない」という点で価値あるものだが、「不安定さ」という個性は時として致命的な弱点にもなり得る。

一方の日向坂にはカリスマがいない。佐々木久美にはキャプテンとしてのカリスマ性はあるかもしれないが、アイドルとしてのそれとは違うものだ。言ってしまえば佐々木久美は凡人だ。ドラゴンボールで例えるならミスターサタンのポジション。個の実力では平手友梨奈や小坂菜緒に及ばないが、圧倒的な人望がある。魔人ブウを倒すために元気玉を作るとき、悟空やベジータでは一般人の協力を得られなかったが、サタンが一喝することで世界中の人々が共鳴した。これこそまさに佐々木久美だ。

佐々木久美が優れているのは、自分よりもアイドルとして才能がある小坂菜緒や加藤史帆といったメンバーをまとめ上げ、統率の取れたグループにしていること。そして、凡人であるということはオンリーワンの平手友梨奈と異なり、そのポジションは代替可能であるということ。

第2、第3の平手友梨奈を育成することはできないが、第2、第3の佐々木久美は育成可能。若きカリスマ平手友梨奈を抱えていた欅坂46は、「崇拝される偶像」というアイドルの語源に忠実だったグループといえる。しかし、「圧倒的な才能を持つ個人がグループを引っ張る」という天才待望論的なアイドル観はそろそろ更新されるべきだろう。

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