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今日の短歌〜もうすぐ春〜

美容院の洗髪シュワシュワ温き湯に

       冬が溶けゆく今日は立春

今日は美容院に行ってきた。
美容院で洗髪してもらうのが大好きである。この歳になると誰かにタッチしてもらうということがほぼ無い。夫は良き隣人となり、よしよしと頭を撫でてくれる人もなく、息子にハグしようとしても気味悪がられるだけである。
だから美容院でひと月半に一度髪を洗ってもらえるのは至福の時なのである。
シャンプーを泡立てて地肌をマッサージしてもらうと頭皮に溜まったコリがほぐれてゆく。シャワーで泡を流す時のお湯のシュワシュワという音。頭皮を包む温かさ。コンディショナーを付けて蒸しタオルで包まれる数分間の心地よさ。流す時のタプタプというお湯のささやき。
考えただけでもよだれが出るくらいである。

この至福の時をひと月半に一度しか味わえないというのは悲しい。なぜひと月半に一度なのかというと、白髪染めの割り引き期間がひと月半だからである。ひと月半以内なら次回の白髪染めは割引になる。それを過ぎると高くなる。しかし経済的に、3週間やひと月で白髪染めとカットに行くのは厳しい。ということで毎回、約ひと月半の間隔で美容院に行くということになる。

もしもどこかに、シャンプー専門の店があるなら、週に一度くらいは行きたい。髪のカットとか染めとかしなくていい。とにかくシャンプーだけ安価でやってくれる店はないものか。普通の美容院に「シャンプーだけお願いします」と言って行くのはチト気が引ける。
堂々と「ウチはシャンプーしかしませんでぇ」と看板を出してくれる店は無いものか。
これは私の長年の夢である。

で、ひと月半に一度のシャンプーである。シャンプーをしていると必ず最後の方に、「どこかかゆいところはありませんか?」と聞かれる。
かゆいところはあるのだ。
しかし、それを言ったことはない。
なぜか?
どう言えば伝わるのかわからないからである。
「つむじの下、3センチのところ」とか「耳のちょっと上、あ、右耳ね」とか「おでこの生え際の2センチくらい上、あ、そこじゃなくてもっと左!」とか言えば良いのか?
そんなこと言ってる人に出くわしたことはない。そもそも相手も社交辞令で聞いているのであって、本当にかゆいところを言われたらびっくりするのではないか?
などなど考えていると、一生かゆいところなんて言えないままになりそうだ。

だから、かゆいところを言ってみたいというのは私の秘めたる夢なのである。



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