一生離れない!!寂しがり屋で孤独に弱いスペインの人々は友情が命
こんにちは、しえです!いつもご覧いただきありがとうございます!
皆さん、お友達いますか?友達。トモダチ。学生時代にはたくさんいた友達も、年齢を重ねるに連れて少なくなりませんか?私だけ?
特に女性は結婚している・していない、子どもがいる・いないなど自身のライフステージによって友達が変わっていきますよね。同じ友達とずーっと仲良しでずーっと一緒にいるのはなかなか難しい。
しかしスペイン、特にバスク地方には生涯変わらない特別な友達のグループがあります。
今回はスペインの人々にとっての友達と、素敵な文化についてご紹介します!
スペインの友情
スペインの人たちにとって友達とは、家族と同じくらい人生に欠かせないもの。「友達のいない人生なんて想像もできない」と彼らは語ります。
子どもの時はもちろん、働いていても、結婚しても、子育てをしていても、おじいちゃんおばあちゃんになっても友達同士でお出かけし楽しむ姿を本当によく見かけます。
年齢を重ねても、子どもの頃のように仲間と笑い転げている姿はとってもかわいい。バルでサッカーを見ながら審判に怒っているのも好き。スペインらしさを強く感じられる瞬間です。
友達の友達は自分の友達?
私達日本人の感覚では、友達の友達=自分の友達という図式は成り立ちませんよね。友達の友達はそれ以上でも以下でもない。紹介されることもそれほど多くないのでは?学生の頃は多少あるかもしれませんが・・・。
スペインでは友達の友達を紹介されることは頻繁にあります。約束をしていて、友達が付いてくることは普通。日常茶飯事です。兄弟が付いてくることもあります。
海外での留学中、地元の人と仲良くなるのはなかなか難しいものです。いつか帰国することが分かっている外国人留学生と友達になろうという現地の人は決して多くありません。
しかしスペインでは、1人スペイン人の友達ができればそこから芋づる式に現地の友達が増えます。
現地のフィエスタに呼ばれて出かけてみたら、私以外が全部スペイン人だったことも。
カオスでした。お酒の飲み方がおかしい、スペインの若者。完全にパリピ。酔ったらフラメンコ踊り出すし。
友達=頼っていい存在
困っている時、必要な時、お互いに声を掛け合うのがスペインの友達関係。友達のお願いは迷惑ではなく、友情の証と取らえられています。
例えば私がスペインに行く際、当然宿泊施設を予約します。あっちに家がないのですから当たり前ですよね。すると、現地で会う約束をしている友人は割と本気で怒って来ます。「うちに泊まればいいのに!どうして言わないの!」と。
なんと、相手に迷惑をかけないようにとするこの行動が失礼に当たるのだそう。宿泊先がない→相談せずにホテルは「頼られていない」と感じるんですって!「車で送るよ」と言われて断るのも失礼に感じるそうです。
日本人のように本音と建前の使い分けがないので、何かを提案されたらそれは本当に心からやってくれようとしている事。
日本の感覚で「いやいや!悪いからいいよ!」と断ってしまうと、相手との間に壁を作っていることになってしまいます。
友人関係のさじ加減
私たちは日本人は人に迷惑をかけないようにと教育を受けて来ていますから、スペイン式友達関係のさじ加減が分からない。どこまで頼ってOKで、どこからが図々しいのか?
家に泊めてもらう、家で食事をご馳走になる、相手の家族と仲良くなって、出かけたりするのはまったく問題なし。
突然の呼び出しや訪問も往々にしてあるし、「◯◯に行きたいから一緒に付いてきて」ももちろん有り。
そして困った時にSOSの連絡をするのも嫌がられません。
スペインでは友達を頼るのは悪い事ではないので、今では「とりあえずなんでも言ってみる」「良い提案をされ、嫌でなければありがたく受ける」ことを心がけています。相手を思っての遠慮はいらないということを学びました。
寂しがり屋さんで孤独?
日本では「ソロ活」「お一人様」が流行し、1人でも様々なことを楽しめるようになっています。
でもこのソロ活、スペインでは絶対に流行らない。断言します。絶対に流行りません。
スペイン人は寂しがり屋さん
スペインの人々は個人主義であるくせに、寂しがり屋さんがめちゃくちゃ多いです。1人だと外食ができない人も多い。家に1人でこもっていることも好みません。
特に家族や友人と長期間離れることをとても嫌がります。
例えば今夏行われたEURO2024。スペイン代表は見事優勝を果たしましたが、期間中選手たちにとって辛いことのひとつに「家族、友人と長期間離れなければならない」と言う事が挙げられていました。
このコメントを聞いた時「たった1ヶ月、電話もメッセージのやり取りもできる状態でなんで寂しくなるねん!試合に集中しろ!」と思ってしまいましたが・・。
日本とは家族や友達に対する感覚がかなり違う。ニコ・ウィリアムス選手もユーロ期間中、時間があったら友達とオンラインのビデオ通話をしていると話し、実際に映像も公開されていました。
日本人より孤独を感じるスペイン人
日本人は孤独耐性が強いという話を聞いたことはありませんか?むしろ孤独を好む層も多いのだとか。
スペインでは孤独=可哀想、辛いものという図式が成り立ち、全体的に孤独耐性がとても低い。
内閣府の調べによると、日本で「常に孤独感を感じている」人は平均で約5%。一番高いのは30代女性の7.9%とデータが示しています。
一方のスペイン、孤独感で苦しんでいる人の割合は20%にものぼります。しかも16−29歳の若者に絞ると孤独を感じている率は25%にまで上昇。
しかし、スペインの社会は日本よりはるかに人との繋がりが強いように思えます。家庭でも学校でも職場でも、人と喋りまくっているしコミュニケーションは濃密に行われている。
それなのに孤独を感じる人の割合が高いのは一体どう言うことなのでしょう?
濃い人間関係を望む!
私は考えました。多分、スペインの人たちの多くは日本のような「腹八分の人間関係」を求めていません。
仲良くなるために最初から本音で話をし、仲良くなったのならお互いに何もかも曝け出したい。相手を受け入れるし、自分も受け入れてほしい。
だから本音を話してくれない友達や家族がいたり、少しでも自分が受け入れられていないと感じてしまうととたんに寂しい思いを抱えてしまう。イコール孤独感が生まれるのではないかと思います。
孤独はメンタルに悪影響を与える社会問題としても取り上げられています。
スペインを代表する映画監督ペドロ・アルモドバルの作品でも、よく孤独が取り扱われています。物語の引き金になるとか、主人公が孤独を抱えているとかね。
「トーク・トゥー・ハー」「ボルベール」「オール・アバウト・マイ・マザー」「ジュリエッタ」などの代表作品もそうですし、初期の「キカ」「ハモン・ハモン」「セクシリア」などもそう。全部かも。
スペインの人たちにとって、人生最大の敵は孤独と言えるかもしれません。
生涯の友達、Cuadrilla
孤独に弱いスペインの人たちは、孤独を避けるため友達をとても大切にしています。
ジャイアンは都合のいい時に「心の友よ!」とのび太に言いますが、それを常に、照れる事なく本気で言うのがスペインの人々。
Los amigos de la vida(生涯の友達)は幸せな人生を送るのに欠かせないものと考えられています。
特にバスク地方にはCuadrillaという特別な友達のグループが存在します。
Cuadrillaとは?
バスク地方の文化のひとつであるクアドリージャは、特別な友達のグループのことを指す言葉。カステジャーノでは「組」「一団」という意味を持ち、バスクでのクアドリージャは友達グループを意味します。
多くが幼少期からの友達グループで構成され、その関係は一生続く。幼馴染集団ですね!
5,6人の同性同士のクアドリージャが一般的で、子供の頃は外でスポーツやカード遊びなどをし、一緒に大きくなり、大人になったらみんなの家で食事をしたり、集まってバルを回ったりするのだとか。
バスクのバルは他の地域に比べておじさんグループが多いなと感じていましたが、このクアドリージャが元となっているようです。
子どものグループが青年になり、成人しておじさん、おじいさんになるまで一緒に集まるなんてとっても素敵ですよね。クアドリージャに別の「なんとか団」みたいな名前を付けている人もいるそうです。かわいくてたまらん!
強い絆で結ばれるクアドリージャ
クアドリージャは一度できてしまえば、他人が後から入るのは難しいとされています。
幼馴染の集団なので当然と言えば当然かもしれませんが、友達をすぐに紹介するスペインの友達関係からするとかなり異質な存在。
いつもなら一緒に行こうよと誘われる場面であっても、クアドリージャの集まりには決して誘われません。
とても強い絆で結ばれているため、クアドリージャは何よりも優先。簡単に他人を招き入れることはせず、恋人との約束よりもクアドリージャを優先するほどのものだそうです。
クアドリージャの起源
バスク地方といえばおいしいもの!美食がとても有名ですね。バスクには男性しか入れない「美食倶楽部」なるものが存在している、ということをご存知でしょうか。
バスクでTxokoやSociedad Gastronómicaと呼ばれるこの美食倶楽部は、友達と一緒に食事を楽しむためのもの。外食ではなく、ダイニングキッチンを借りてメンバーが料理を振る舞うのが特徴です。
みんなで材料を持ち寄り、その時の料理担当が腕をふるい、みんなで食事をする。今は女性が入れることもあるそうですが、もともとバスク男性の間で育まれた文化です。実はこの美食クラブはバスク文化を守るためにとても大切な役割を果たしていました。
バスク地方、特にギプスコア県とビスカヤ県は長年その文化を抑えつけられていた歴史があります。
言葉を奪われ、文化を奪われ、名前までをカステジャーノに変えられたバスクの人々。そんな時代にバスク人でいられた場所がこの隠れた美食倶楽部やクアドリージャでした。
バスクのバルを巡る文化も、もともとは情報交換のため。色んなバルを巡って様々な人と会い、「あそこの教会でバスク語を教えているよ」などバスク文化を守る情報を仕入れるために発展したものです。
今ではおいしいものに出会える素敵な文化に昇華されていますが、難しい時代を生き抜くための知恵であり、バスク社会に欠かせない物でした。クアドリージャも美食倶楽部も、バスク人として生きるために必要だったために生まれた文化なんです。
帰る場所があるのは羨ましい
スペインの友達関係もバスクのクアドリージャもとっても羨ましい。生涯の友達がいるというのは幸せなことに違いありません。
社会性のない私ですが、ありがたいことに1人だけ親友と呼べる友達がいます。
学生の時にスペインで出会い、20年来の付き合い。スペインという国は私に色んなものを授けてくれましたが、一番大きなものはこの親友との出会いだったかもとスペインの友達のあり方を再考し改めて思いました。
今後の人生もこのスペインがくれた唯一無二の親友とともに、Cuadrilla pequenita(小さいクアドリージャ)として生きて行きたいと思います!
暑苦しくて時々めんどくさい、けれど大切で生涯続くという友情を受け入れられる方は、ぜひスペインの人とお友達になってみてね。結構心地良いですよ!
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