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2023年に読み終わった本

私は、書店、古本屋、図書館など本がたくさんあるところが好き。
そして、本をすぐ買ってしまう。
ただ、読むのは遅いので、いろいろな本をちょっとずつ読み進めている。
2023年に読み終わった本について、まとめてみようと思う。

1.自意識とコメディの日々 オークラ

テレビプロデューサーの佐久間さんのYouTubeで何度か放送作家のオークラさんが出ていて、気になり手に取った。
ゴッドタンや東京03のライブなどで有名な放送作家オークラさんの自伝。登場人物はバナナマン、おぎやはぎ、ラーメンズ、バカリズムなどそうそうたるメンバー。
私はオークラさんのお名前は、東京03のライブで見て、その後2019年の作演出の舞台「派FACTION」を見に行ったりして、作家としての作品は知っていたが、ご本人がどういった方なのか知らなかったけれど、そうそうたるメンバーと青春をともに過ごしていて、青春物としても面白いエッセイだった。個人的には、宇田川フリーコースターズやラーメンズのライブは夫と見に行ったりしていたので、懐かしい。単にオークラさんの人生だけでなく、当時のお笑いライブやTV番組の裏話などがあり面白い。東京03については、第2回の単独を見てから、こんなに面白い人たちが、テレビに出れないのはおかしいとずっと思っていて、特に角田さんは、嫌味な上司の役とかやれば絶対ドラマでもハマるのに・・・!と思っていたので、今は、それが現実となっていてうれしい。東京03にオークラさんがいてくれてよかった。オークラさん作演出の舞台もまた見に行きたいと思い、読んでよかった。

2.無人島のふたり 山本文緒

お友達にすすめられて読んだ一冊。「自転しながら公転する」などが有名な作家山本文緒さんのすい臓がんと診断されてから最後の日までの日記。
『毎年、人間ドックに行っていたのに、』という一文がずしりと心にのしかかった。私自身も毎年、人間ドック行っていたにもかかわらず、ずっと見過ごされていた腫瘍がたまたま別の病院で人間ドックを受けた時に見つかり、要観察中なのだ。腫瘍マーカーに引っかかっていないところも、取りにくい場所なので手術は難しい(やろうと思えばできるのだけど、その後、障害が出る可能性があると言われた)のも同じ。ただ私は、まだがんではないようなので、そこは違うが、いつどうなってもおかしくないんだな。と思った。
作家として、最後まで文章を残してくれたことに感謝するとともに、まだ書きたいこともあっただろうと無念を思うと悲しいけれど、1日1日をあらためて大切に生きなければと思わせてくれた、読んでよかった本だった。

3.ある家族の会話 ナタリア・ギンズブルグ

須賀敦子さん翻訳の本ということで、手に取ってから、3年・・・。読むと面白いのだけれど、登場人物のカタカナの名前がまったく覚えられず、たぶん最後まで分からなかったけれど、戦前、戦中くらいのイタリアでも、日本の家族にも当てはまるような親近感をもてる家族はいるんだな~と思わせてくれた小説だった。

イタリアの作家、ナタリア・ギンズブルクの自伝的小説。

5人兄妹、個性強め父、明るい母、クセ強のお手伝いさんなど、幼少期から人間関係が私がよくわかっていない中でも、こんな家族の間だけの「あるある」とかあるよな~とちょっと面白く、そして戦争へ突入していくにつれて、重々しくは書かれていないから読みやすいけど、イタリアのレジスタンスや逮捕劇、ナチスの進軍、疎開、その戦争当時のまったく知らなかったイタリアのいろいろがわかって、興味深かった。特に、主人公の結婚相手が「ギンズブルク」さんということは、私でもわかるのだけど、その方がいつ出てくるのか、(結婚相手の登場)男性が出てくるたびにドキドキしながら読み進めた。ちょっとずつ読んでも、すぐ登場人物を忘れるため、最後は読書ができるカフェ(Fzukue)行き、一気読みをして、読み終わることができた。
日本の歴史は好きで、大学受験も日本史選択だったこともあり、世界史にはあまり興味がなかったのだけれど、自分の視野を広げてもらい、読んでよかったと思えた本だった。
ちなみに、娘は世界史を選択していて、「え?大変じゃない?」と聞いたら、「漢字を覚えるより楽」と言っていた。いまだに、「ジュゼッペ・レーヴィ」なのか「ジョゼッペ・ヴェーリ」なのかどっちでもいいかと思って読み終わった、カタカナは記号としてしか見れない私からすると理解不能だが、こんなことを言うとナタリアの父「ジュゼッペ・レーヴィ」さんに「まったく、〇〇〇沙汰だ!」と怒られそうだ。お父さんって、家族の前以外では絶対言っちゃダメなブラックな悪口言いがち・・・。

4.スナップショットは日記か? 森山大道の写真と日本の日記文学の伝統 大竹昭子随想集

金沢の古本屋さんで、新刊で購入した1冊。
この本の本筋とは別なのかもしれない。

ドナルド・キーンが『百代の過客』のなかで述べている言葉が脳裏によみがえってきた。彼はそのなかで、日本の文学における日記の重要性をつぎのように強調している。「私の知る限りでは、日記というものが、そうしたもの(小説や随想)に劣らぬぐらい重要だと思われているのは、ほかでもないこの日本だけなのである。」
 もしそうならば、平安時代から脈々と受け継がれてきた日記文学が、文芸のみならず、ほかのジャンルにも影響を与えてきたとしても不思議ではないだろう。

スナップショットは日記か? 森山大道の写真と日本の日記文学の伝統 大竹昭子

大森大道にとっての写真は芸術表現ではなく、「カメラはコピーマシーン」というシンプルな答えであり世界に向き合い複写すること、日記に近いということなのだと思うのだけれど、そのかっこいい写真との向き合い方とは違うところで、上記の文章を読んで、私は、雷に打たれたような気持ちになった。日記が好きで、他人の日記を読むのが好きだ。それもひょっとしたら、日本人だからなのかと思うと、自分の後ろで自分が誰かに操られているような、なんだか不思議な気持ちになった。
日記と思うと、写真集の白黒写真も違った見え方をするように思った。

5.富士日記(上)(中)(下) 武田百合子

上・中・下となっていて、(上)(中)については結構前に読み終わっていたのだけれど、(下)が進まず、2023年に読み終わった。

作家・武田泰淳の妻である、武田百合子さんの富士山麓の別荘での生活で書かれた日記。

毎日食べたものなども楽しいし、お隣の大岡昇平夫妻とのエピソードや当時はあまりいなかった、女性ドライバー(百合子さん)のエピソード、(下)はだんだんと近づく夫との別れなど。
(下)を読んでいくにつれ、大好きな富士日記が終わっちゃうと思うとなかなか読み進めることができなかったが、逗子の古本屋さんで武田百合子さんのムックを手に入れ、まだ続きが読める!と励まされて?読み終った。

須賀敦子さんの本もそうだけど、最初から作家ではなかった人の経験や視点に惹かれる。武田百合子さんの本は「犬が星見た ロシア旅行」も好きだった。登場してくる人物がいきいきとしている。富士日記も外川さんや隣の老夫婦などまるで会ったことがあるような気になってくる。山荘にも行ったことがあるような気がしている。私もベッドにもぐりこんで「黒い雨」を読んだような気がする。(実際は私は「黒い雨」を読んでない)

「絵葉書のように」(中公文庫)も購入したので、もう少し百合子さんの視点を楽しもうと思う。

ほかにも

銀色夏生さんのつれづれノートは必ず読むし、今回は「インドの聖地タワンへの瞑想ツアー」(角川文庫)も、とてもよかった。一緒に旅をしている方々が皆さん魅力的に見えて楽しく読めた。自分では行けないところへ連れていってもらったよう。「マイ遺品セレクション」みうらじゅん(文春文庫)なども、相変わらずのみうらさん節でおもしろかった。

全部は書かないけれど、平行していろいろ読みながら、1年で10冊くらいは読み終わっていそう。2024年はもうちょっと冊数を増やしたいと思う。

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