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目指すはバズ!ではない。ヘアメイクアップアーティストが自らコンテンツを作る理由とは

デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する『資生堂インタラクティブビューティー(通称 SIB)』は資生堂の中でも、デジタルに特化した業務を担っています。

そこで働くメンバーは、IT関連はもちろん、PBP(“パーソナルビューテーパートナー”の略で美容部員を指す)、マーケター、会計担当、人事担当・広報担当、研究者、デザイナーなど多岐にわたります。そんな中には、一見デジタルとは結びつきにくそうな「ヘアメイクアップアーティスト」も。

デジタル×ヘアメイクアップアーティストって、どんなケミストリーが生まれるのでしょう?

今回は、SIBメンバーとして、web美容記事からライブストリーミング、YouTubeやインスタグラム、そしてラジオなど、様々な媒体でコンテンツを配信中のヘアメイクアップアーティスト、齋藤 有希子さんにインタビューしました。

斎藤 有希子
資生堂ヘアメイクアップアーティスト。初書籍「40代からの見直しメイク」著者。わかりやすく、ほどよいトレンド感のある大人向けtipsの提案が得意で、インスタグラム1分メイク動画“見直しメイク100人チャレンジ”が人気。YouTubeやライブストリーミングなど、デジタル中心に活動している。
▼Instagram
https://www.instagram.com/yukikosaito.hma/
▼YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAeW7D2lL7xJeG-Eo53xM1rVWCi6QZtVb
▼LINE
https://lin.ee/5p2WWdf/member/saito/
▼プロフィール
https://hma.shiseido.com/jp




■ヘアメイクの現場から、コンテンツ制作へ。きっかけは?

<きっかけ1>育休明け、第一線から外れマミートラックに

まず、育休から復帰したタイミングでヘアメイクの仕事が激減したのです。10年以上前になりますが、ヘアメイクは様々なブランドから依頼されて撮影現場で働く、現場ありきの仕事。

子どものお迎えや急な体調不良など、働き方に制限のある私は、撮影現場
でのヘアメイクの仕事に携わることが難しくなってしまいました。

そんな中、自分が働ける限られた時間の中で、ママであるという経験を活かし、ママプロジェクトのリーダーに任命されました。

託児サービス付きのメイクセミナーを開催し、それまで広告撮影の現場では体験したことのない生活者とのリアルな接点を持つ中で、ビューティーで人に幸せになってもらえるヘアメイクの仕事の素晴らしさを再認識しました。

そこからは、どうしたら生活者にもっと楽しんでもらえるか、どんな情報を生活者が必要としているかを考えて仕事をするようになりました。

ママ向けのメイクイベント

<きっかけ2>現場でのヘアメイク。その背景にも興味があった

2つ目の理由は、依頼されたヘアメイクだけを現場で行うという仕事のやり方に少し違和感を覚えてしまったことです。

「どうしてそのヘアメイクなのか」というバックグラウンドから、一緒に作り上げていきたいと思ってしまったんです。たぶん、元々企画寄りの仕事が好きだったのだと思います。

■広告出稿はゼロ!オーガニックでファン拡大中の秘訣とは

バズることは全く目指してないんです、私!

バズって瞬間的にフォロワーが増えることよりも、必要としてくれる人に、本当に欲しい情報を届けてあげることが大切だと思っています。

SNSにとどまらず、ラジオでも美容情報を発信している

いっときすれ違う人よりも、末永く誠実にお付き合いできる方と繋がれたらいいな、と思って情報を発信しています。狭く深い方々に共感を得られているのが、じわじわとファンの方がついてくださっている理由かもしれません。

あとは、広告のようにキレイすぎない、リアルさがウケているのかも!私自身がモデルとなって、自分のくすみやシミをカバーしながらベースメイクする動画を撮ったこともありますよ!

自身がモデルとなったメイク動画

■コンテンツの企画も生活者起点。リアルな声を拾い上げる

コンテンツの内容を企画する時は、生活者のリアルなお悩みや期待に応えたいという思いから、定期的に各媒体でアンケートを実施したり、ライブ配信中のコメントを参考にしたりしています。

大人気の、お悩み解決企画

ヘアメイクという仕事上、私自身は意識せずに行っている工程でも、生活者からすると「知らなかった!目からうろこ!」とお声をいただくことも多く、こちらもその都度気づきをもらっています。

例えば、ファンデーションの塗り方や選び方。
私は肌悩みが出やすく隠したいゾーンとナチュラルに仕上げたいゾーンの塗り方を無意識のうちにやってしまいます。

でも実際に生活者とコミュニケーションを取る中で、それって当たり前の知識ではなく、多くの方が躓きやすい部分なのだと知ることができました。

様々な媒体で情報を発信しているからこそ、多くの生活者と接点を持つことができます。こんな疑問やお悩みに対してどういった情報を発信すれば、生活者にどんなメリットや価値が提供できるかを常に考え、コンテンツを作成しています。

それから『資生堂』として、信頼していただける情報や技術にする!ということも日頃から心掛けています。

■媒体ごとに違う、フォロワーのニーズに合わせた情報発信を

LINE、インスタグラム、YouTube、ラジオなど、様々な媒体でコンテンツを発信していますが、実は同じテーマだとしても内容を変えています。

配信場所や内容は多岐に渡る

媒体によって、商品のことを詳しく知りたいのか、テクニックやお役立ち情報を求めているのか、または悩みを解決したいのかなど、属性が少しずつ異なっているので、その媒体をフォローしてくださっている方々が何を一番求めているのか、どんなメリットがあるのか、という軸はブラさずにコンテンツを作ろうと心掛けています。

■コンテンツ企画からバナー制作まで。全てをこなす「齋藤商店」

ヘアメイクアップアーティストのお仕事は、先述したように依頼されたヘアメイクを現場で行うことがメインでした。

ただ、自分が提案したコンテンツをお届けするには、企画はもちろん予算管理からモデルやフォトグラファーのアサイン、契約、掲載前には原稿執筆からバナーのデザインまで。本当にありとあらゆることを自分で行わなければなりませんでした。ディレクター、アシスタント、そしてヘアメイクすべてを一人でこなしていたので、社内からは「なんでも取りそろえる齋藤商店」と呼ばれていました。
 
ですが、撮影などの現場で依頼されたとおりのヘアメイクを行うという瞬発的な仕事の仕方を変えたいと思っていたこともあり、全体をデザインするということは楽しかったですね。

私自身、年齢とともに増える肌悩みやライフスタイルなど、生活者に近い感覚を持っていると思うので、そんな自分が納得性のあるコンテンツや情報を届けることができるのは、全体を通して関わる”商店”ならではだと思っています。

■デジタル×ヘアメイク=リアルに寄り添った最高峰テクニック

デジタルとヘアメイクアップアーティストのお仕事は結びつくの?と思われるかもしれません。

数々の現場で培った知識やテクニックなど、自分が持てる知識を余すことなく伝え、それが実生活の中で必要とされ、リアルに使われていく。

生活者に対して真摯なコンテンツを作り続けることで、バズらずとも、深く、熱量のあるフォロワーさんたちと繋がっていけるのだと思います。

そしてそういった方々のリアルな声に耳を傾け、それを元にコンテンツを作成していくことで、さらにコンテンツの精度が上がっていくという、良いループができていると感じます。
 
試行錯誤することも多いですが、私が作るコンテンツが、どなたかのリアルなお悩み解消や、私のコンセプトでもある『もう一度メイクが楽しくなる』、そんなベネフィットや行動変容に少しでも繋がっていたら嬉しいです。



取材・執筆:須野原 慶恵(すのはら よしえ)
資生堂インタラクティブビューティー株式会社所属。長年、資生堂のwebサービス「ワタシプラス」やその他webサイトにて、美容やライフスタイルのトレンド情報を制作。一人の生活者としての素朴な疑問や、自身も興味があるテーマを深堀りしたコンテンツ企画が得意。
バックパックでの世界旅行や、ラオス在住の経験あり。


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