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起業して初期ユーザーがリテンションするまでに何をするか

今までデザイナーとして創業〜PMFの時期のスタートアップに関わることが多かったのでそこで大事だと思ったことをまとめます。

もはやこの手の話は他にもまとまってる記事は山ほどある気はしますが、こういうのは実感があるときに書くのが大事だなと思って書いています。

コアバリューを検証する

まずなんといってもここで、自社のサービスのコアバリューを磨き、ユーザーに刺さるものにすることです。

これがなければ新しいサービスを作る意味がないので、当然です。

ターゲットとするユーザー属性の人に使ってもらって、継続するかどうかを見ていきましょう。

継続しない場合、次の理由が考えられます。

1. コアバリューが間違っている
2. ターゲット属性が間違っている
3. 1と2は合っているが、継続に当たって何らかのハードルがある
4.  コアバリューは合っていそうだが、継続するまでの魅力があるものにはなっていない

(今回は最初から考えられるすべての要件を作り込んでリリースする形ではなく、リーンスタートアップなどで出てくる最小限の価値から始めていく開発の仕方を想定しています)

1.コアバリューが間違っている場合

コアバリューが間違っている場合はもう一度ユーザーインタビューから始めましょう。

ユーザーが本当に求めていることと、提供しようとしていたソリューションが違うので、これを磨いてもどうしようもありません。

2.ターゲット属性が間違っている場合

おかしい、インタビューでは確かにこれがニーズがあったのに... という場合は、もしかしたらターゲット属性が間違っているかもしれません。

想定するユーザー像と継続しなかったユーザーで異なる条件はないか考えてみて、違う場合はよりそのコアバリューが発揮されうる条件の人を選んで再テストしましょう。

インタビュー相手が応援や興味本位で近づいて来ていたり、本当に課題を抱えていなかったりすると分析の対象にはなりません。

3.コアバリューとターゲット属性は合っているが、継続に当たって何らかのハードルがある場合

利用者は継続しなかったものの、インタビューで明確な利用へのハードルが見つかった場合がこれに当たります。

これは、今回あげた4つのパターンのうちで最も手応えがあるパターンです。

利用のハードルを潰す改善をしていけば、継続してもらえる可能性が高いからです。

この段階ではインタビューの際にNPSや「このサービスがなくなったら困りますか?」系の質問などで評価を伺い、最高点までに足りなかったところを埋めていくというイメージです。下記の記事に詳しく書きました。

4.コアバリューは合っていそうだが、継続するまでの魅力があるものにはなっていない場合

最後が、特に利用するハードルがあるわけではないし、ニーズもありそうだが、使ってもらえないパターンです。

タベリーのyamottyさんの会社名「10X」には「既存のサービスより10倍いいものを作る」、といった思いが込められているそうです。

また、Aileen Lee (ユニコーンという言葉を作ったCowboy Ventures創業者)が、セグウェイを見て、「歩くよりやや早く移動できるって意味あるの?」と質問したという逸話もあるようです。(下記の記事より引用)

つまり、そのソリューション自体はニーズがあるといえばニーズがあるなというものであっても、既存の代替手段や解決策があるなか、それに対して差がついていない状態だと顧客は使ってくれないということです。

このパターンは、そのソリューションを磨いてまた検証するか、またインタビューからやり直してピボットするかの2択が迫られるでしょう。

しかし、個人的には10Xならぬ、1.2X程度のアイディアを10まで磨き込むのはかなり大変だなーと思います。なので基本は最初から代替手段が少なかったりするところから攻めるのが楽かなと思っています。

あとはそもそもインタビューの時に、そもそも深い悩みや困っていることを掘り下げるのが大事です。その課題を解決するためにお金を払うほどのものでなければ、ソリューションも小粒になってしまいます。

利用ハードルを下げれば成功するという状態を目指す

4パターン見てきましたが、個人的には3つ目の「利用のハードルを下げていけば成功するのでは?」という状態まで持っていくのが大事だと思います。

なので、顧客の深い痛みを把握すること、それに対するソリューションを考えて検証すること、がほぼ全てに当たると思います。

いろいろアイディアは思いつくと思いますが、コアバリューに手応えを感じるようになるまでは、それ以外の開発は控えましょう。

その後は地道にコアバリューの向上と利用ハードルを下げる開発を繰り返す

手応えが出てきたら、利用のハードルがある段階でも協力してくれたユーザー(キャズム理論でいうイノベーター)は成功事例として立てて、アーリーアダプターにも広げていきます。

その過程でも各キャズムにぶつかる場面が来ると思います(このユーザー層は継続しないな、など)。その時は、最初のユーザーが継続するかいなかでハードルを潰す作業をしたことと同様に、コアバリューをブラッシュアップしたり、利用のハードルを大きなものから一つずつ解消していく繰り返しをしていくことで突破できるのかなと思います。

詳しくはこちらの記事で説明していますが、属性ごとにユーザーをプロットしておくと、このユーザーの継続は達成できたので、次へいこう、という判断がしやすいです。

関連記事

キャズム理論の概要が載っています。上位2.5%はイノベーターといわれ、革新的なサービスを応援したり、興味関心を持ってくれて使ってくれます。

でも個人的にはそれは本当にニーズがあり、ソリューションがフィットしての利用・継続とは限らないと思うので、次の13.5%いるとされるアーリーアダプターからが初期ユーザーくらいに思っておいた方がいいかなと考えています。

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