創業メンバーが考える「未経験の企業こそ、副業人材を活用すべき理由」とは?|シューマツワーカーCOO星耀介インタビュー
サービス開始からもうすぐ6年。900社以上の企業に副業人材のマッチングと伴走支援を提供してきたシューマツワーカーが、副業人材を活用したい企業担当者向けに”副業の現場”から、さまざまな知見をお届けするnoteマガジン。
今回はシューマツワーカーの創業メンバーで、現在、株式会社シューマツワーカー取締役COOを務める星さんにお話を伺いました。
シューマツワーカーにニーズがあることを確信した瞬間
ーー今日はよろしくお願いいたします! 星さんはシューマツワーカーのローンチ当初から「副業人材の活用」に関わるサービスに携わっておられます。サービス提供開始の頃の様子を、教えていただけますか?
今日はよろしくお願いいたします!
実は、シューマツワーカーのサービスの提供を開始した当初から、企業様側にも副業人材側にも「副業人材の活用」に対して大きなニーズがあることを確信していました!
シューマツワーカーをローンチしてすぐに、サービスをご提供した企業様から「すごく良いサービスだね!」と驚かれたことが何度もあって。当時はまだ、世の中に「副業」というもの自体が一般的でないタイミング。企業にとっては初めて副業人材を活用するケースがすごく多かったですし、ワーカーさん側も初めてというケースもありました。当然、初めてだからうまくいかないことの方が多かったと思います。けれど、サービスに共感していただいたいくつかの企業さんからは本当にすごく喜ばれたんです。
「副業で来てくれている方、大活躍してくれて、助かっています!」
直接そんなふうに言っていただいたことは、今でも心に残っています。
現在ならば、副業人材の活用事例などの情報も世の中に出ていますし、自社のリファラルや紹介で副業の方と働いてみてから、シューマツワーカーへ、というケースも多いのですが、当初はシューマツワーカーで初めて副業人材の方とお付き合いをスタートするというケースが多く、その成功体験も新鮮で、大きいものだったのだと思います。
ーー企業の方にそのような反応をしていただけたのは嬉しかったのですね。成功要因はどのように考えましたか?
登録している方がすごく優秀だった、というのが理由だと考えています。優秀な人材が初期からシューマツワーカーに登録してくださっていたというのは、シューマツワーカーのようなサービスがそれまでなくて、個人の方にとっても「待たれていたサービス」だったからだと思いますが、とてもありがたいことでもありました。
現在でも、シューマツワーカーには優秀な人材がたくさん登録されていますが、自分の知人経由や自らの営業で副業案件を得るよりも、専門的な企業(シューマツワーカー)からサポートを受けられることで、安心して使っていただけるという面があるようです。僕たちとしても、こんなに優秀な方がたくさん登録してくれるシューマツワーカーから、もっとたくさんのマッチングを生みたいというふうに思います。
ーー個人の方にとっても、シューマツワーカーに登録する価値があるのですね。
僕たちもサービス開始当時は、どういう方が優秀な人材なのかという見極めができていたわけではないのですが、それでも「本当に優秀だなぁ」とか「ご経験も豊富だな」と思うような方たちから、
「こういう機会をありがとうございます!」
と言われた経験もありました。リモートワークが一般的でない頃に、ワーカーさんと一緒に企業様のオフィスに面談に伺ったことなど、思い出深いです。
副業人材の活用が “未経験” の企業様にこそおすすめしたい!
ーーそれから6年。シューマツワーカー、それから副業人材に関わる新規事業に携わってきた中で考える、「副業人材の活用を、おすすめしたい企業様」はどんな企業様でしょうか?
正社員採用にこだわりがあり、副業人材の活用をまだしたことがない、という企業様にこそおすすめしたいです。
初期からサービスに関わってきて、「正社員採用にこだわりがある」という企業様ほど、一人目の副業人材の活用が成功したときの変化とインパクトが大きくて、次の方、また次の方と、副業人材の活用の幅が広がり、結果として非常に良い成果をあげることができたというのを目の当たりにしてきたんです。
「副業人材も活用できる」という成功体験があれば、企業の人材活用における選択肢が広がります。組織戦略のあり方まで変えてしまうという変化の大きさに、驚くこともあります。
とはいえ、最初の副業人材のアサインにはハードルがあるのは分かります。だからこそ、シューマツワーカーではしっかりとしたサポート体制を作っています。マッチングで終わりではなく、伴走支援まで必ずするのは、より多くの企業様にこの成功体験をしていただきたいからです。
企業に人材のニーズがあるのであれば、そこに対してマッチングできる優秀な人材のデータベースがあるという自信があるので、ぜひ挑戦していただきたいと思います。
副業人材活用に伴走してきたからこそ生まれた新サービス「FreelanceForce」(ベータ版ご提供中)
ーー2021年には新しい事業立ち上げを担っていますね。現在携わられている、新規事業「FreelanceForce(フリーランスフォース)」について教えてください。
副業・フリーランスの情報を一元管理するサービスです。業務委託契約は、正社員と違い、契約期間が限定されていることが多く、それに対し「契約更新」といったフローが発生します。その他、下請法、番号法と言った周辺の法律にも対応していく必要があり、企業側には、一定の知識を持った上で情報管理をしていくことが求められています。
僕たちのサービスでも、管理する企業側の使い勝手、満たすべき機能はもちろんですが、副業や業務委託でこのサービスを使うことになる個人にとっても使いやすいプロダクトにしたいという目標を持っています。
ーーこの事業を立ち上げた背景を教えていただけますか?
シューマツワーカーをご利用いただいている企業様へのヒアリングの中で、こんなお声をいただいたことがきっかけでした。
「副業・業務委託人材が企業内で活躍してくれるようになって嬉しいが、管理に課題がある」
管理といっても幅広いのですが、具体的には課題は2つあることもわかりました。一つは契約管理、一つは副業・業務委託人材の稼働状況の把握です。
また、副業・業務委託で働く個人にとっても、この管理面の課題は重要であることがわかりました。ある調査で、「副業・業務委託をしている中で、トラブルに遭ったことのある人」が全体の37.9%という結果がありました。全体の4割。かなり多いです。
その内容としては、支払いの遅延、業務内容の一方的な変更など。これはシューマツワーカーをやっていく中で直面した経験でもありました。先ほどの企業側の管理課題にも、繋がっていますよね。
新サービスは、こうした課題を全て解決するものにしたいです。企業側も管理しやすい、副業する個人の方も働きやすい基盤をつくっていきたいです。
ーー現状のフェーズについても教えてください。
昨年10月にベータ版をリリースしました。7月に有料化し、すでにいくつかの企業様に、有料版を導入していただき、稼働も開始しています。
この領域ではいくつかすでに先行サービスが出ているのですが、当社のFreelanceForceならではの特徴があります。企業が管理しやすいツールであるのは当然なのですが、シューマツワーカーならではなのは、副業・業務委託として働く個人側にも目を向けたプロダクトであることです。
ーー具体的にはどのような部分でしょうか?
一つは個人サイドにもアカウントを発行するシステムであること。これにより、個々人が締結している契約内容が随時確認できたりなど、副業・業務委託で働く個人にとっても便利になります。さらに、稼働の状況を副業・業務委託人材が記録し、企業と共有できる。稼働状況の見える化ができるんです。
副業・業務委託となると、リモートワークがメインとなるので、稼働状況が見えにくい、今日何をやっているのかわからないというのは各社で課題になりがちなんです。ここは解決していきたい。
実は、すでに「稼働状況の見える化」部分は、シューマツワーカー経由で副業人材と契約・稼働している企業様にはご提供しているんです。
「副業人材を活用するにあたって、これがなければ困る!」
と言われるほど反響もありました。これをご提供するまでは各社で、スプレッドシートで管理するか、または信頼関係をベースにしたやりとりでやっていくかなど不確実な方法が多く、トラブルの芽になりやすかった部分だったんです。
新規事業はこれまでのシューマツワーカーの経験、企業様から伺ってきた課題を解決するためにやってきたことが凝縮したような事業になると思っています。
CEO松村とともに、シューマツワーカーの立ち上げへ
ーーここからは、星さんのキャリアとシューマツワーカーでの役割の変化について聞いていきたいと思います。そもそも、星さんはどのような経緯でシューマツワーカーに関わったのでしょうか?
僕は新卒でスマホアプリ運営会社に入社しました。現在CEOの松村とは、松村が起業する前、この会社で先輩・後輩として知り合いました。
当時ソーシャルゲームが流行っていましたし、スマートフォンへの移行期でもあって、仕事は非常に忙しかったです。
一方で、そのころに、他の会社のお手伝いのようなことを始めました。プロボノのような感じで、無報酬でやっていました。スポーツ系のスタートアップで、メディア立ち上げをやっていました。プロジェクト自体が頓挫してしまって長くは続かなかったのですが、その時にした「社外の人と関わる」という体験が、大きな充実感とやりがいを感じられ、その後、副業の事業に関わる上でも、大きな意味を持つ経験となりました。
当時、本業では、毎日毎日、社内で企画会議をし、企画の資料を作るといったことの繰り返しで、社内にずっとこもっているような働き方だったというのもあると思います。「社外に出て、違う業界で働く人に会う」ことがとても新鮮で、楽しかったんです。
その後、先輩・後輩として仲の良かった松村が起業し、今度はそちらを手伝うようになりました。当時やっていたのは「社食コレクション」という法人向けの福利厚生サービスで、従業員が近所の飲食店の食事を「社食」として使えるというサービスです。
2016年9月に「株式会社 社食コレクション」という、シューマツワーカーの前身となる会社を立ち上げました。当初は僕は前職に在籍したままで、無報酬で週末にだけお手伝い、という感じでしたが、半年ほど経った頃には退職し、松村に合流しました。
それから、松村が「副業人材のマッチングサービスを始めたい」と言い出すんです。社食コレクションと並行した形で始まりました。そこからは、社食コレクションのために飲食店営業に行って、シューマツワーカーのために人材の営業に行って、という日々が始まりました。
やがて、副業人材マッチングプラットフォームに主軸事業をシフトしていきました。先ほども話しましたが、シューマツワーカーは、ローンチ当初から手応えを感じられたんです。
副業によって得られた充実感が、シューマツワーカーの原体験
ーーそもそもなぜ、副業人材のマッチングプラットフォームをやるという発想が出てきたのでしょうか。
当時、僕たちの周りにも、徐々にスタートアップを立ち上げて経営する人が増え始めていました。開発がうまく進んでいる企業に松村がヒアリングすると、決まって、こんな答えが返ってきたそうなんです。
「(起業直後のフェーズでは)エンジニアの採用はできない。けれど、前職で同僚だったエンジニアに副業で入ってもらって、開発がスムーズに進んでいる」
GREEやDeNAなどのメガベンチャーから起業するという方が増えていた時期だったので、「前職のつて」というのは有力な採用手段でもあり、副業人材への有用なアプローチ方法だったと思います。
しかし、実際に起業する方は、メガベンチャー出身者だけではありません。優秀なエンジニアに、副業で良いのでサービス開発に加わってほしいというスタートアップは多いものの、副業人材になってもらえるような方とそもそも知り合う機会、出会う機会がないという課題を持つ企業は多かった。そこに非常に大きなニーズがありました。
当時、メインのメンバーは松村と僕だけ。事業に関係する全てを二人で駆け回りながら進めていきました。副業人材活用のニーズのある企業様への営業も、副業したい個人の方への営業も。そして契約締結やその後のサポートも全部やりました。。
また、この事業を進めていくことは、松村にとっても原体験があったようですが、僕自身にも同じように、原体験がありました。それが、先ほど話した新卒時代の経験です。社内にこもって激務をこなしていた時期に、本業以外に「社外に出る」ことで得られた充実感ややりがいでした。個人にとっても、本業以外に仕事をすることが大きな糧となる。その実感が、「ハタラクを自由化し、人生の可能性を広げる」というシューマツワーカーのミッションに、深く共感する理由にもなりました。
企業と個人の「副業」への挑戦を、支えるサービスをつくり続けたい
ーー今、星さんは新しい事業にて、企業が副業人材の活用にチャレンジするにあたって直面する課題を解消するサービスの開発・展開を進めておられます。「副業」という働き方が浸透した先にある未来について、どのように考えますか。
「副業」ということ自体、まだ特殊なことかもしれないと思うんです。副業する方も、IT系や特殊なスキルのある方など、限られた方が副業を始めるというケースが多いです。
でも、将来的にもし可能ならば、社会における「仕事がない」という課題を解決するサービスをしていきたいと思っています。もっと多くの業務、業種、業界に、副業を広めていきたいです。副業というのは、企業にとっては、ジョブ型で働くことができるように業務をきちんと整理して切り出せる状態を作ることです。企業にとっては正社員雇用に縛られない状態、個人にとっては在籍する企業での仕事に縛られない、もっと言えば、在籍するかしないかに縛られずに仕事ができる世界です。
特に僕が重視しているのは「仕事がない」という問題です。個人にとって、働きたいのに仕事がないことは、苦しいことでもあり、不幸なことでもあります。
実は、つい最近、地元でそのようなことがありました。仕事がないことを苦にした犯罪ーーどうしてそのようなことが起きたのか、「仕事」というものがもっと多くの方にきちんとマッチングされていく世界にできないのか。地元にいる家族もそのニュースに触れて、「あなたの会社がやっていることは、こういう世界を変えられるんじゃない?」と言っていました。そうでありたいと思いました。
副業は、企業様にとっても、個人にとっても、良い影響をもたらす新しい働き方だと思っています。副業人材を活用するにあたってのハードルがあるならば、それを解消していけるようなサービスを、今後も作っていきたいと思います! ぜひ期待していてください!
ーーありがとうございました!
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