坊主が嫌でサッカーをやめた
「サッカー部に入りたい奴は来週の本入部までに坊主にしてくること」
中学1年生4月の仮入部期間初日、この言葉がサッカー部顧問から発せられた時の衝撃を今でも覚えている。前々からサッカー部は坊主にしなければいけないと聞いてはいたが、いざ目の前で言われるとその重みに潰されてしまった。この時、小学校6年間続けた大好きなサッカーを辞めると決めてしまった。
サッカーをすることは楽しい。自分にとってそれは明らかであり変わらない。ただ、坊主にするのはいやだ。この気持ちの方が勝った。
今になって、なんてくだらない理由なんだろう、と思う。
と同時に、10年前とはいえなんて時代遅れなんだろう、とも思える。
(ちなみにその中学は公立の市立中学なのに、僕の入学当時はサッカー部の他に野球部と男子バレーボール部は絶対坊主で、学区外からも生徒が来るほどのスポーツ校だった)
僕は同じく坊主がいやだという理由でサッカー部に入らなかった友達と一緒に、なんとなくソフトテニス(軟式テニス)部に入った。
そこから自然とサッカーに対する気持ちが薄れていった。
視点の変化
高校3年の春、球技大会がやってきた。競技は一応経験者ということでサッカー。1、2年の時も同じくサッカーで出たが、この高校最後の球技大会は今までと違うことがあった。同じくサッカーを選んだ同じクラスのTが球技大会の前日にあるLINEを送ってきた。
それは次の日の試合のプレビューだった。ただの高校生同士の球技大会の試合。でも、その試合の展開を予想し、どこが見所になるのかをまるで雑誌の記事みたいに書いてあったのだ。
最初は何やってんだこいつって、ちょっと馬鹿にした感じだった。でも読んでいるうちに、試合が楽しみになってきた。
わくわくしてきた。
これくらいのプレビュー俺でも書ける。
わくわくと同時にちょっと悔しくなってきた。
よし、試合が終わったらレビューを書いてやろう。
球技大会の結果はよく覚えていないけど、2人で試合のレビューを送り合ったのはよく覚えている。すごく楽しかった。
そうか、プレーすること見ること以外にもこんな楽しみ方があるのか。
それからサッカー雑誌やネット記事でプレビューやレビューをよく読むようになった。それらを読んだ上で試合を見ると、さらに面白いことに気づいたのだ。
前より好きになった
一度サッカーから離れてしまったからこそ、違う楽しみ方に気づいた今、もうサッカーから離れてしまうことはないと思っている。
前よりも好きにさせてくれたTには感謝しかない。
それが今の僕の原動力。
現在大学生。サッカー関係、特にサッカーメディアの仕事に就きたいと思っている。いろんな人にわくわくさせるような記事、コンテンツを届けたい。
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