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「いいライター」なんていらない。編集者が本当にライターに求めているたったひとつのこと

返ってきたブーメラン

編集という仕事柄たくさんの優秀なライターの方と仕事をしてきましたが、この人とまた絶対に仕事をしたいと思う人は意外に多くないと感じています。不遜すぎる言い方ですみません。

これはこちらが支払っているギャランティとか原稿料とか報酬とかお金とかの問題があるのかもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、仕事への取組みが「それなり」だと感じてしまう瞬間があるんです。

「それなり」は悪い意味ではなく、及第点以上で良いのだけど、すごく良いわけではない。そんな感じのニュアンスで使っています。

原稿がうまい人。面白い人。とにかく早い人。

自分が一番に求めているのは、必ずしもそういうことじゃないんだと最近思い始めています。

条件に見合った仕事をするのはとても大事なことだと思います。
ライター業は身ひとつでやる過酷な仕事。労多くして功少なし。生活もかかっている。むしろ、そんな限られた時間と労力で最大限の結果を出そうとする人ばかりで、そういう人たちの頑張り(あるいは踏ん張り)で出版業界は成り立っています。

昔は編集プロダクションで働いていました。「受注側」として編集もライターもやってきた経験があります。がんばりに限界があるのはよく知っています。「それなり」でやらないと回らないことが多かったです。

だから「それなり」の仕事をされたとしても不満を言うつもりは毛頭ありません。まぁまぁ良かったよねと満足して仕事を終えることも多いです。
ただ一方で、ライターを本気にさせられていない自分への失望みたいなものが後から込みあげてくることも珍しくありません。

一番に求めているのは結局、「本気度」なんです。
一緒になって本気の仕事がしたいだけなんだと最近はつくづく感じます。

こうしたら面白くなる。こうしたら良くなる。
こちらが求めていないのに、そういう提案や意見がバンバンくる。
作業で終わらず、どんどん発想が膨らみアイデアを出し合える。
本全体の構成と文章の構成をしっかり練ってくれているのがわかる。
売れるかどうかわからないけど、一緒に熱狂してくれる。

その上でギャラにうるさすぎず(問題発言)、実力も備えてくれていれば最高。
当然、そんな都合の良い人はなかなかいないよなぁ…と思っていたのですが、最近出会いました。

もう最高なんです。本当に素晴らしいんです。
長年追い求めた理想の相手と巡り合ったような気持ちになっています。
仕事の質が高いのはもちろん、それ以上にそこまで深く考えているのかと驚くぐらい頭を使ってくれている。熱意にあふれている。
その人と次にどんな仕事をしたいか、考えるだけでわくわくしてくるんです。

どこに着地するかわからないけど、面白いところに飛んでいけそうな気がする。面白いものを読者に届けられると確信できる。
いまはこの出会いに感謝して、粉骨砕身がんばろうと思っています。

……ここまで偉そうに書いておいてあれですけど、これはつまりまずはお前がもっと本気になれ、お前が着火剤になって、周りを熱狂させろってだけの話でしたね。優秀なライターは忙しいんだから、どれだけ熱を入れてくれるかは、お前次第。

編集ウン十年目で気づいた遅すぎる真理。

文/アワジマン
迷える編集者。淡路島生まれ。陸(おか)サーファー歴23年のベテラン。先天性の五月病の完治を目指して奮闘中。

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