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「編プロ」って知っていますか? 出版社と編プロの編集者の違いとは?
私、「編プロのケーハク」と名乗っておりますが、そもそも「編プロ」ってご存知ですか?
編プロとは、「編集プロダクション」のこと。かろうじて認知されている(であろう)一般的なイメージとしては、出版社から委託されて本や雑誌を実際に制作する(手を動かす)外部の(アウトソーシング)制作会社というところでしょうか?
まあ、その通りなんですが……(笑)。出版社からの制作依頼を引き受けて、納期までに完成データを納めるっていうだけが仕事のすべてでもないんですよね。否、制作依頼を待っているだけでは、この出版不況のご時世で食ってはいけません(笑)。
全国には、規模の大小さまざまな編集プロダクションが存在します。4〜5人で運営している小規模な会社であれば、ジャンルの専門性を絞っているところもあるでしょうし、私が所属する会社のように50人規模の大きいところであれば、出版から企業PR、デジタルまで、その業務内容は多岐にわたります。
今回は、このうち書籍出版における編プロの立ち位置について簡単に説明します。
出版社だけではノルマをまかなえない!
さて、出版不況といわれる昨今。たしかに全体の出版点数が減少傾向にあることは間違いありません。とはいえ、出版社の書籍担当者は年間の担当冊数ノルマが課されていることが多いと思います。その数、ひとり当たり年間10冊前後というのが多いかもしれません。
書籍の場合、一冊のページ数や情報の深さなどもあり、大体制作期間は3〜6ヵ月くらいが一般的。それを年間で10冊こなそうと思うと、すべてを出版社の編集者が自分で内製するのは現実的ではありません。そこで必要となってくるのが、制作を外部の制作会社、すなわち編プロに委託することです。
その場合、役割的にどうなるのかというと、出版社は印刷を含む全体の予算管理や、プロモーション、企画の方向性の管理といった映画でいうプロデューサー的な役割を果たし、編プロの編集者は実質的な制作ディレクションを行う映画監督のような役割分担となります。
結局は実力が評価されるシビアな世界
ところで、編プロの編集者は、一方的に制作依頼を待っている受身のスタイルだけかというと、そうではありません。企画そのものを出版社に提案することもあります。その企画が成立すれば、そのまま制作を請け負うことになります。
編プロの強みを挙げるとすれば、複数の出版社とつながりを持ち、自由に提案することができるということ。A社で企画が通らなくてもB社に再提案し、成立すれば自身の企画を実現させることができます。つまり、出版社特有の傾向に左右されず、意外と自分の好きな企画を通しやすい環境にあるといえます。
とはいえ、ケースによってまちまちですが、編プロは平均収入が出版社に比べて低かったり、仕事の効率化を図れないと労働時間が長かったりとデメリットもあります。まあ、その辺はよしとして……(笑)。
ざっくりと分類するなら、自分の手を動かして実質的な本づくりに携わるのが編プロ、企画のプロデュースをメイン業務とするのが出版社の編集者、というのが私の個人的な見解です。
基本的に、編プロは下請けなので「立場が弱い!」というのが基本ですが(笑)、たとえば、提案した企画の多くがベストセラーになってきたりすると、出版社内での発言権や説得力が増し、対等な立場で仕事のパートナーになれることも多いです。
結局は、編プロだろうが出版社だろうが、編集者はクリエイターなので、実力が評価されるシビアな世界に生きていることに相違ありません。
(文/編プロのケーハク)
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