
2週間で実施した、oVice人事チームMVVづくりの全プロセスをまとめてみた
oViceというバーチャルオフィスサービスを提供する会社のHead of HRを担当している宮代です。
半年前までたった1人の人事チームだったのが、気づけば8名体制に。先日初めて全メンバーがリアルで集まったときは、感慨深すぎて泣きそうになりました(笑)。
そんな中、oViceの人事チームのミッション・ビジョン・バリュー(以下MVV)を2週間で作るプロジェクトをチームで実施しました。

人事チームとして初めて行ったプロジェクトであり、すごく学びが得られたので、振り返りもかねて2週間で実施した、oVice人事チームMVVづくりの全プロセスをシェアできたらと思います!
なぜやったのか
oViceの人事チームは日本、グローバル(韓国、アメリカ、チュニジアなど)に分かれている組織です。韓国市場ではようやくPMFが見え始め、US/APAC(特にベトナム)/EURO圏でもチームが徐々にでき始め、日本のみならずグローバルでの組織拡大に取り組んでいる状況です。としたときに、このタイミングでチームMVVを人事部門で横断的に作ろうとした理由(=抱いた仮説)は、大きく次の2つです。
①クオリティ基準がないため、自律自走がやりきれてないのでは?
「これだけ優秀なメンバーがそろっているのに、アウトプット効率や生産性が“最高“のチームとは言えない状態が続いてしまっている」。そんな違和感を抱えていました。具体的にはアウトプット基準に対して、マネージャー的な役割を担っている人が直にコミュニケーションを取らないと、クオリティが十分に担保されない=oViceが目指す「自律」「自走」がやりきれていない状態が続いていました。
なぜだろう?と考えたときに、自分たちでこのクオリティまで高めてアウトプットしないといけないなという理想値が見えてなかった=クオリティ基準が明確にないからかもしれない、という考えに至りました。これが1つ目の理由。
②チーム共通ゴールがないため、リクルートチームとEXチームの向かう方向性のずれが起こる可能性が高いのでは?
また、これまでは「採用」が最重要課題でとにかく採用、採用だったのですが、組織フェーズが10→100に変わったため、よりEX(Employee Experience 従業員体験)が重要になってくると想定しています。
私たちとして組織をどういう状態にしていると理想なのか、と考える中で、採用・EXの共通ゴールがないままだと、それぞれの方向性のずれが起こる可能性が高いなと思いました。
このように,明確な課題感と起こりうると障壁が明確だったので、これら2つの課題解決のために大きなゴール、旗=MVVを作ろうと思った次第です。
ここからは、プロジェクトの時系列に沿って得られた学びを振り返っていきます。
事前準備
目的・アウトプットに適切な事前準備は何か?を思考する
前提として、HRは「私はこう思う」という”自分の思想”を持っていないと施策がなかなか前に進めない業務特性があります。特にoViceのようなスタートアップでバーチャルオフィスという新たな市場での成長を目指す組織は、「正解がない領域」にぶつかることがほとんど。それでも、事業をスピード感をもって前に進めていくためには、個々人が理想を持った強い意志=「これは120%だ」と思えるようなアウトプットを出し切ることが不可欠。
そのため、MVVについて発表し、決めていくMVVセッションの前の事前準備の段階では、うるさいくらいに「120%のアウトプットを持ってきてください」とHRメンバーに向けて言い続けました。

「120%のアウトプットを」と言い続けたのはもう一つ理由があって、MVVにはそれに込められた人の熱量が重要だからです。MVVって、例え自分が作っていなくても共感できることってあるじゃないですか。「じゃあ共感できるMVVってどういう要素があるだろう」と考えたら、「それが本当に重要だと心の底から思っている人の熱量があるな」と思ったんです。
MVVという言葉の定義の認識をそろえる
今回日本の人事メンバーのみならず、グローバルの人事メンバーなど様々なバックグラウンドを持った関係者がいたこともあり、MVVの定義に対する認識を事前にそろえました。
【MVVの定義】
「Mission編 (実現したいこと)」
・oViceというサービス(Full Remote, Newnormal, Change lifeStyle)の特性に合わせて、HRチームとして何を実現したいか?→自律分散型組織の確立
「Vision編 (Missionを達成するための大方針/方向性) 」
(ex. oViceを用いた全く新しい仕組みの構築)
「Value編 (大枠の方針を早く進めるための動き方)」
・この動き方を体現すると、HRチームがより早く前に進むもの
・市場の特性を踏まえる
・語呂が良い(使いやすい)
・基準/指針になるものになっている
Valueは多くても4つ(4つ以上だと覚えられないので笑)、これを見たら自分の仕事に対してGood・Moreの振り返り、セルフジャッジができるもの、という基準についてもすり合わせを行いました。
100%の完成度を求めない
oViceの事業の進め方同様、MVVについても速く進めるために「まず形にする」のが重要だと考えました。MVV策定って、これまでの経験を振り返るとほんとに時間がかかるんですよ(笑)。各個人の納得感の醸成を重要視しすぎたり、これで完成版だといきなりしようとしていたりするのが長引いてしまう要因だと考えたため、今回のHRチームのMVV策定においては期限を「2週間」と定め、メンバーには「まずver.1を作ろう」というコミュニケーションを取りました。
事前準備段階では、他のメンバーのアイデアは見ないようにする

自分の意見に対するバイアスがかからないようにするために、こう伝えました。みんながいいねというからそうする、ではなく自分がoViceの良いと思うことを考え抜くプロセスことこそがが大事だと考えたためです。
MVVセッション
上記のような事前準備を踏まえて、MVVについて発表し決めていくMVVセッションの日を迎えました。「最速で一番納得感のあるチームMVVを作るにはどうしたらいいか?」を考えたときに、事前準備後に実際にメンバーと決めていくフローの中でもいくつか意識したポイントがありました。
「自分」がベストだと思うアウトプットを持ってくる
MVVセッションでは、課題の再共有をした後、事前に考えてきてもらったチームMVV案を1人4分ずつ順番に発表。順番に発表し終わったらM→V→Vの順番に推し(どの要素がいいと思ったのか)をシェアしディスカッション、という流れで実施しました。
【全体の流れ】
事前準備
↓
MVVセッション
※チーム別(日本人事チーム、グローバル人事チーム)で実施
※1セッションの時間の使い方
- 5min:課題の共有 @Shunya Miyashiro
- 25min:4min Presentation/Memo @All
- 25min:ディスカッション Mission→Vision→Value @All
- 5min:決定
↓
(後日)最終バージョンのシェア
他のメンバーが出したアイデアに「のっかり合う」
「私はこのMVVがいいと思うんだ」と強い意志をもった発表が各メンバーから行われたことで、批判が起きなかったのはもちろん、様々な共感がその場で生まれました。
その後は他のメンバーが出したアイデアに「のっかり合う」のが大切だと考え、発表後のディスカッションでは、「この要素は絶対入れたいよね」というポイントをどんどん集めて整理していくというプロセスを取りました。
一つのアイデアも深ぼったり新しい視点を付け加えることで、「1」だったものが「2」にも「10」にもなります。これがチームで進めていく意義ですし、認識がすり合わさっていくために必要なプロセスだとあらためて思いました。
表現方法は1人が責任持って決める
セッション実施後MVVとしてまとめるのは、あえて私1人で行いました。なので「ありがとうございました。では、持ち帰って私の方で言語化しますね」と伝えていて。表現の部分は「あれもいい」「これもいい」となりやすく、すでに”推し”の要素がすり合わさっている状態であれば表現方法で3時間も4時間も時間をかけるのはもったいないと考えたためです。そのため私が各チームのアウトプットの要素を踏まえて1つのMVVにまとめて、シェアし、フィードバックをもらい完成に近づけていきました。
他のチームのアウトプットやアイデアについても事前にシェアしない
今回は日本とグローバルの人事チームそれぞれで行ったのですが、当事者意識を無くさないよう、事前準備段階の「他のメンバーのアイデアは見ないようにする」というポイント同様、日本の人事チームのアウトプットについては一切共有せずセッションを実施しました。
MVVセッション後
そうして完成したのが冒頭に上げたこちらの日本、グローバル共通の人事チームとしてのMVVです。

詳細:


(たとえばグローバルチームとのセッションでは「モチベーションを維持する」にフォーカスした発表があり、MVVの一つの要素として追加されています。背景としてはヘッドクオーター機能がなくセールス&マーケティング、エンジニアリングチームの拠点としての機能が強い組織が強いエリアは共通して組織としてのモチベーションの担保が日本と違って難しいという課題感が構造的にあるためです。モチベーションを維持するという観点もっているんだなというのをあらためて認識したので追加しました)
MVVを言い続ける
ver.1 としてのMVVができたら、あとはひたすら意識的にMVVに基づいたコミュニケーションを取っていきました(特に行動に対するフィードバックが行いやすいバリューの観点で)。例えば「まずはver.1からでいいのでアウトプットベースでコミュニケーションしていきましょう」「まさにコミュニケーターモデルですね!」ととにかく口に出していきます。会社のバリューと同じで、作るのと同じように浸透させていくことで同じ方向性を向いていくことが大切です。
チームMVVができたことによって生まれた変化
チームMVVができたことによって、様々な変化がありました。例えば「これってどうしたらいいですか?」という問いかけがほとんどなくなったました。これは海外のHRのチームについても同様です。
アウトプットベースで、自分の意志を持って取り組みを進めなくてはならない共通認識がクリアに持てたことで、チームの視点が「採用」「EX(従業員体験)」をよくしていく、といったレベルから2個も3個もグッと上がったからだと思います。
まとめ
2週間で実施した、oVice人事チームMVVづくりの全プロセスにおいて意識したポイントについて、あらためて整理してみました。
【oVice人事チームMVVづくりの全プロセスにおいて意識したポイント】
・目的・アウトプットに適切な事前準備は何か?を思考する
・MVVという言葉の定義の認識をそろえる
・100%の完成度を求めない
・事前準備段階では、他のメンバーのアイデアは見ないようにする
・「自分」がベストだと思うアウトプットを持ってくる
・他のメンバーが出したアイデアに「のっかり合う」
・表現方法は1人が責任持って決める
・他のチームのアウトプットやアイデアについても事前にシェアしない
・MVVを言い続ける
ちなみに完成までにかかった時間はこんな感じでした。
【完成までにかかった時間(期間:2週間)】
・プロジェクト概要の進め方のまとめ(2時間)
・事前共有・口頭/テキスト(30min)
・各自MVVアウトプット出し(1時間30min)
・ディスカッション(2時間)
・言葉決め(2時間)
合計:8時間
今回のnoteが人事関係者にかぎらず同じような課題感のあるチームを率いる方などの参考に少しでもなっていたらうれしいです!
おしらせ
(気づけば前回同様5,000文字越えのボリュームになっていたにも関わらず……)最後までお読みいただきありがとうございました!
……そして今、oViceでは人事メンバーを超積極的に募集しています!(切実)
△「人事未経験✖︎BizDev人材」の募集にフォーカスしている背景についてはこちらのnoteにまとめているので、よかったら合わせてご覧ください!
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