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実はBMIはインチキ? 世界的な肥満指標が広まった理由とその弊害【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.75】

健康管理において、BMIほど大きな影響を与える指標はない。病院の診察室だけでなく、オンラインの計算機やスマート体重計、スポーツジムにおいても、BMIに遭遇する。

計算方法は簡単だ。体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割る。その結果、BMI値が18.5未満の「低体重」、18.5〜24.9の「普通体重」、25.0〜29.9の「過体重」、30以上の「肥満」という4つのカテゴリーに分類される。

疫学者と2人の肥満治療医、健康心理学者、社会学者に話を聞いたところ、BMIが人間の健康を測るのに非常に役立つと答えた人はひとりもいなかった。それどころか、詐欺と言う人さえいた。

BMIは何の役に立つ?

1830年代にベルギーの統計学者が「平均的な人間」を定量的に表現するために導入したこの計算方法は、ボディマス指数(Body Mass Index)と名づけられ、1970年代にミネソタ州の生理学者であるアンセル・キーズ博士によって広められた。

1972年に行った7000人以上の健康な中年男性を対象とした研究において、キーズ博士らはボディマス指数のほうが、保険会社が採用している方法よりも体脂肪予測においてより正確であり、はるかに簡単であることを示してみせた。

平均的にボディマス指数が高い人は体脂肪率が高いため、過去数十年で世界で3倍近く増大している肥満率を把握するのに役に立つ。

さらに、BMIは死亡率と「J字カーブ」の関係がある。BMIが非常に低い、あるいは非常に高い人は早死のリスクが高いのに対し、「普通」から「過体重」の範囲の人々は死亡リスクが低いとされている。

BMIは「正確」?

しかし、BMIは研究ツールとして「個人を対象とした場合にはほとんど役に立たない」と、オタワ大学家庭医療学准教授のヨニ・フリードフ博士は言う。たとえば、BMIは体重のうち、脂肪と筋肉、骨がそれぞれ何パーセントを占めているか教えてくれない。

そのため、筋肉質のアスリートは、体脂肪がほとんどないにもかかわらず、ボディマス指数で高い数字になりがちだ。また、年齢を重ねると、筋肉や骨の量が減り、腹部の脂肪が増えるのが一般的だ。

このような体組成の変化は健康上の懸念事項であるにもかかわらず、BMIの数値が変化しなければ気づかれないこともある。

BMIに変わる指標は?

体重が気になる場合、不健康な体脂肪をより直接的で適切に計測するためには、ウエスト周囲径を測るといい、とマンソンは言う。これにより腹部の内臓脂肪の推定ができる。

内臓脂肪は、過剰に溜まると、2型糖尿病、高血圧、冠動脈疾患など、肥満に関連する特定の症状のリスクを高める。また、皮下脂肪よりも害が大きいと言われている。

体の大きさで健康状態を判断するのではなく、血糖値や中性脂肪、血圧などの数値のほうが健康状態をよりよく把握できると、トミヤマは言う。さらに、本人の体の調子も重要だ。

よりよい健康を求めるなら、ボディマス指数よりも、自分でコントロールできる行動を優先するべきだとトミヤマは言う。

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