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ウォートンの心理学者2人が語る「次世代型のリーダー」になるための5ヵ条【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.108】

ウォートン・スクール経営学教授のアダム・グラントは、現代の職場にふさわしいマネジメント論を説く。

彼は同じくウォートン・スクールで学部長を務めるエリカ・ジェームズと、同校のエグゼクティブMBAプログラム協賛のウェビナーに登壇。

いまリーダーに求められる「成長」とは何かを語った。2人の議論から得られた5つのポイントを紹介する。

1. 新しいアイデアを「証拠ベース」で判断する

新しいアイデアへの抵抗は、多くの職場が抱える共通の問題だ。しかしデータに基づいて行動することで、未来に備えることができる。

「私は大勢のフォーチュン500企業のCEOやユニコーン企業の創業者のもとを訪れ、こう訴えました。『週の半分は出社していれば、あとは好きな場所で働いたとしても、チームワークは損なわれません。一方、メンバーの生産性と満足度は上昇し、離職率は低下します。このことは、すでに充分な証拠で裏付けられているのです』と」

そして、まずは週1回からでもリモートワークを取り入れることを打診したが、すべてのリーダーに却下された経験を明かした。

ところがパンデミックが始まると、グラントの提案を却下した企業が次々とフル・リモートワークか、オフィス出勤とリモートワークのハイブリッド体制に移行した。

2. 「論理的いじめ」をしない

自分の欠点を認め、質問し、相手の視点を学ぼう。

「ある学生から『論理的いじめ』と指摘されるまで、私は自分の間違いに気づいていませんでした。この学生はキャリアに関して、ある大きな決断をしようとしていました。でも、特定の方向に傾きすぎているように思えたので、何か盲点があるのではと心配になり、あえて強く反論してみたのです」

この戦術は、コミュニケーションの方法として有効とは言えない。相手に防衛か攻撃、あるいは撤退かの選択肢しか与えないからだ。そこから、グラントも自身の変化があったと語っている。

「自分と違う意見を持つ人がいると気づいたらすぐに、自分は反論されるとヒートアップする悪いクセがあると伝えるようにしています。すると相手も腹を割って話をしてくれるようになる。双方が相手から学ぶ姿勢を持つようになるのです。」

3. もう必要のない知識や意見は捨てる

グラントは、自分自身の思い込みを疑ったときの経験を語った。パンデミックが始まるまで、彼はウォートンスクールがオンライン授業を開始することに断固として反対していた。オンラインでは対面授業の熱気が失われると考えていたからだ。

また、彼はオンライン授業だからこそ得られた体験を次のように話している。

「以前は、手を挙げた学生をランダムに指していましたが、手を挙げるのはたいてい外交的な白人の男子学生です。でもオンライン授業で教鞭を執るようになって以来初めて、学生たちから寄せられる多様な意見をリアルタイムで見ることができました。」

4. 他者を成功させる能力を持つ

他者を成功させる能力がなければ、自分自身の成功もない。だからこそ、効果的なリーダーシップ・スキルの習得に時間をかけることが重要なのだとグラントは話す。

「キャリアのハシゴをどれだけ登ろうと、ひとは1人では成功できません。むしろ高く登れば登るほど、他者を成功させられるかどうかが自分の成功を左右するようになります。

経営やファイナンスの問題に取りくむときと同じくらいの徹底した分析的な態度で臨まない限り、効果的なリーダーシップスキルとは何かを明らかにすることはできません。自分のキャリアの可能性を自ら制限してしまうことになるでしょう」

5. リーダーシップは「ハードスキル」と心得よ

「方程式がない」からこそリーダーシップの習得は難しいと、ジェームズは指摘する。

「数字を入れれば、自動で正解が出てくるというわけにはいきません。状況はさまざまです。仕事仲間から最高のものを引き出すためには、自分自身の感情的知性、思考力、対人能力が問われるのです」

「この指摘は、私たち心理学者が教えているスキルを実践することの重要性と難しさを、とても深みのあるニュアンスで表していると思います。もはやソフトスキルのためのハードデータは存在しません。リーダーシップの力自体がハードスキル(定量化できる能力)なのです」

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